悪役令嬢はGL展開を回避する為に婚約破棄を目指します!

鬼京雅

文字の大きさ
50 / 53
三章・チョウシュウ王子との婚約破棄編

50話・モンスター達の発情期です

しおりを挟む

 近頃、バクーフ王国の東にあるバクーフ森にもモンスターがちょこちょこ現れます。私の悪役令嬢としての魔力を漂わせておけば、ダンジョンにこもっているはずの弱いモンスターさえも現れるのです。特にバクーフから依頼されてはいませんが、ギャーギャーウルサイので始末します。山菜採りに来た人間の死体も転がっているので放置していたら危険です。

「ハイブリッドサンダー!」

 雄ゴブリンが雌ゴブリンと草むらでゴソゴソしてるので電撃魔法をくらわせます。どうやら、モンスターも繁殖期のようですね。しかし、人間を襲うのは違うので始末します。これは魔王が復活する予兆が原因なのでしょう。

「これでは今後のバクーフ全体的な問題になるわ。ダンジョンはバクーフ騎士団が入口を封鎖して監視する必要ががある。すぐには騎士団も動けないだろうから、私が対処しておこう。他のクエストクラスは、国がヤバイ時にしか動かないから面倒だわ」

 そんな事をグチりながらも、スララにはダンジョンの入口に光の魔力の痕跡を残して発情期モンスターが外に出ない任務を与えています。とりあえずモンスターの発情期はダンジョン内で済ませてもらいましょう。どこまで繁殖しても、彼等は共食いもするから増え過ぎる事も無いしね。

 そして、今日は天気も良いのでニートさんと、スズカとお花見をします。ニートさんの小屋の近くは色々な花が咲いているし、空が広く感じるのでお花見スポットとしては最高です。今日はバーベキュー形式で、スララは野菜なり肉なりを焼いてくれます。人間のスラトモードでね。

「拙者は今日はバーベキュー大臣です。なので、どんな野菜でも肉でも焼いてあげましょう。みなさんは拙者の焼いた食べ物だけを食べれる愚民なのです!」

『一言多い』

 と、私とスズカはスラトを熱い鉄板に押し付けた。少し蒸発したスラトは水分補給をして回復していたわ。やはりヒロインモードが解除されたスズカはいいわね。

(でも、ここまでスズカとツッコミのタイミングが合うなんて、悪役令嬢はスズカも向いているとしか思えないわ)

 そんな事を思いながら、私達はバーベキューを楽しむ。ニートさんの異世界畑で採れる野菜と、スズカが持ってきた高級肉。これが私の調合した秘伝のアヤカタレと混じり合い、濃厚過ぎるハーモニーで全身を活性化させてくれるわ……。

「でも、何でこのピーマンは肉が入ってるんだろ?  スズカが詰めたわけじゃないでしょ?」

「詰めてないわよ。私がこんな面倒な事をすると思うの?  これは確かミートピーマンだよねニートさん?」

「そうだよスズカ姫。僕の異世界畑のミートピーマンは今が旬だね。ピーマンなのに、すでに肉が入っているというレアなピーマンがミートピーマンなのさ。これはチョウシュウ王国でゲットした種なんだよ。あの国は海運が盛んだから、その影響で土地の野菜も多種多様なのさ」

 へぇーと私は頷いた。

「確かに美味しいわ。ピーマンの苦味も強くなくて、肉汁もたっぷり出てジューシー。チョウシュウ王国は海運が盛んなだけあるのね。でも、今回は魔王軍に襲われる事になってしまった」

「そうね。アヤカの言う通り、魔王軍はもうこのバクーフにも存在してるでしょう。チョウシュウにいると言う事は、ジパング大陸のどこに存在してもおかしくはないわよ」

 その言葉に、私もニートさんも黙り込む。スララはモリモリと焼いた肉や野菜を食べているわ。硬い話はつまらないのでしょう。そして、スズカは私に言う。

「気を付けなさいアヤカ。魔王軍は確実に動いている。バクーフ王を狙ったという事は、バクーフ王国を破壊して奪おうとしている連中もいるという事。私を狙うよりも、王がいなくなった方が国は混乱するからね。そこを魔王軍は必ず突いてくるわ。その時は頼んだわよアヤカ」

「魔王軍か……個人的にあまり関わり合いたくないけど、勇者様が出て来るなら関わるしかないわね。私は自分の呪いも、スズカの呪いも解いてやるんだから」

「まだ言ってるの?  諦めが悪いのねアヤカは」

「当然でしょう?  諦めが悪くて、最悪なのが悪役令嬢ですからね!」

 そう言うと、みんな笑ってくれたわ。こんな穏やかな日々がずっと続いてくれるといいんだけど、現実は甘くない。そこに咲いている花のようなキレイな日々だけじゃない。バーベキューの鉄板の焦げカスのような、全部終わった……という事もある。

「アヤカ。この肌色のキノコモモは甘くていいわよ。キノコの先っぽの割れ目からモモの甘い汁が出て美味しいわ。飲み干したら焼いて食べるといいみたい」

「何か美味しそうだけど、形がリアルね。リアル過ぎるわ」

「何がリアルなの?  スケベなアヤカ」

「ウルサイわね。私はニートさんのを思い出すから……」

 ヤバ!  ニートさんのを思い出す!  という事を言ってしまったわ。ニヤニヤするスズカは私をバカにしている。すると、照れていたニートさんは私に手を伸ばして来たの。あれ?  私は襲われるのーー?  こんな真昼間からーー。

「二人共伏せて!」

『!?』

 突如、凄まじい爆発音が頭上でしたわ!  どうやら敵の奇襲を受けたようね。ニートさんの反応が良かったから助かった……。全員顔と服が汚れてはいるけど、無事のようね。でも……。

「スララがいない?  ニートさん、スララはどこ?」

「今の爆裂魔法の攻撃をドラゴンの羽で弾いて頭上で爆破してくれたんだ。すでに空中で警戒してくれているよ」

「アヤカ。敵はおそらく一人ね。爆裂魔法で奇襲をかけて来た共通点からして、この前のバクーフ王襲撃事件の犯人かも」

 確かにそうだわ。今の敵の爆裂魔法はバクーフ王襲撃事件と同じ魔法。スナイパージョブのスーパーレーザー魔法で奇襲して、爆裂魔法で混乱させて逃げていた。つまり、ここは何としても追いかける必要があるわ。バクーフ騎士団のクエストクラスとしてね。

「私が敵を倒してくるわ。ニートさんとスララはスズカをよろしく。このお花見を潰した罪は重いわよーー」

 私は高速で駆けて私達の花見を襲った敵を追いかけたわ。もしかしたら魔王軍の可能性もあるからね。チョウシュウ王国に魔王軍が現れた以上、このバクーフにも潜入されている可能性もあるから。森の中を駆ける敵に対して、私は魔法攻撃をする。

「そこで立ち止まれば命は助けてあげるわよ。ライトニングレーザー!」

 森に多くの被害を出さない為、線の範囲で速度も早いレーザー魔法で敵を攻撃しているの。しかし、敵は後ろ向きなのに上手く回避してくれるわ。でも、それはある場所への陽動よ。私の陽動に引っかかる敵は、木が一本しかない開けた場所にたどり着いたわ。木の後ろに隠れている敵に対して私は言うの。

「追い詰めたわよ。その木の後ろにいるのはわかっているわ。出て来て姿を見せなさい。私の気が変わればアナタ死ぬわよ?」

「……」

 どうやら、敵は声も発せず黙ったままね。バクーフ王襲撃事件の時はマグン……とか言ってたけど、今回の敵はボロを出さないわ。

(この敵が魔王軍である可能性は充分にある。なら、ここで捕らえておくのが正解ね。バクーフ王襲撃事件の件もあるし、何か知っている可能性もあるわ)

 膠着状態になるので、私は強硬手段に出たわ。

「氷の柱よ……迷宮となれ!  ブリザードラビリンス!」

「これも定めか――」

 男の言葉を魔法で聞けていない私は、氷結魔法・ブリザードラビリンスを使う。その木の後ろに隠れている敵を氷の牢獄に閉じ込めて封印してやったわ。これで敵の顔も拝めるわね。

「さて、鬼ごっこの時間は終わりよ。アナタがどこの誰かは吐いてもらうわよ。勿論、内臓とかと一緒にね」

 雑草の上を歩いて行く私は木の後ろで、氷の牢獄に閉じ込められているアホをこらしめてやる事にしたわ。ゾクゾクする感情を持て余している私は氷の冷気の冷たさを感じるーーと、同時に氷の牢獄は崩壊した。

「……」

 ブリザードラビリンスが壊された?
 そんなバカな!  と思い氷のガレキとなる場所を見つめたの。その場には敵の姿も無く、だだ氷の残骸が冷気を上げて転がっているだけ。上空にも敵の感覚はしないと感じたので、私はファイアーで氷の残骸を溶かしたの。すると、その地面には穴が空いていたわ。人が一人通れるような穴がね。

「まさか……地面を掘って逃げた?  しかもこれはあらかじめ掘ってあった穴ね。今の短期間では掘っていたら私もわかる。どうやら敵は威力偵察にでも来たのかしら?  私の実力か、誰かの実力を見るために」

 今の敵の実力に少し驚いていたわ。このクエストクラスの私にこんな屈辱を与えてくれるなんてね。必ず、倍返しにしてやるけどね!

「それにしても、敵は私の氷結魔法・ブリザードラビリンスを粉々に砕くほどの実力者。まさか、魔王軍の人間がもうバクーフに来ているのは本当なの?  まさか、この前王の命を狙っていた魔軍王子とは本当なのかも知れないわ……」

 私は魔王軍の魔軍王子の存在が気になったの。あれが正真正銘の魔王軍の王子という事をね。
 そうして、バクーフ王国に魔王軍の使者が正式にやって来ました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。

山田 バルス
恋愛
 結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。  また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。  大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。  かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。  国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。  スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。  ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。  後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。  翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。  価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...