浅野正人

モモンとパパン

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浅野正人

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夏のじりじりした日差しにさらされると、
立っているだけでも背中の汗がにじみでてきます。

デパ地下にある喫茶店で、浅野正人が、
冷たいアイスコーヒーを一人で飲んでいました。

店の中は、正人をいれて数人しか
いませんでした。

正人がお店にやって来て、ちょうど
一時間がたちました。
正人は、まだ、一口もアイスコーヒーを
飲んでいませんでした。

二時間がたちました。

正人は、ようやく、ストローで一口、
口にふくみました。
ごくりと喉が鳴りました。

まわりは昼食時で、席はお客で全部うまって
いました。

三時間が過ぎました。

正人は、まだ一口しかアイスコーヒーを
飲んでいませんでした。
氷はとっくにとけてなくなって、だいぶぬるく
なっていました。

おもむろに、正人は席を立ちトイレに行きました。
小便でした。正人は、トイレから戻ると、店員さんを
呼んでイチゴのショートケーキを頼みました。

正人は、イチゴのショートケーキは、きて
すぐに全部たいらげてしまいました。

四時間、五時間が過ぎた頃、やっと
二口目のアイスコーヒーを一口飲みました。

六時間、七時間めは何も飲みませんでした。

店の中は、正人をふくめて若い女性しか
いませんでした。

若い女性は、今来た所でした。

女性は、紅茶を頼みました。

女性が、一口紅茶を喉に流しこんだ時、
店内の音楽が、ジャズからオペラに
変わりました。テノール歌手が一人で
歌いあげていました。

なぜか、石のように動かない正人と、
このオペラが、とても雰囲気にぴったりで、
石像にでてくるイタリア人のようでした。

八時間が過ぎ、九時間が過ぎ、、、。午後九時の
閉店時間になりました。

お店に残っていたのは、正人とあの若い女性
二人だけでした。

正人は、すうっと席を立ちました。

そして大仏様のような顔でお会計を
済ませました。「854円です。有難う
ございました」店員さんが言いました。

正人は、店を出てデパートの外に出ました。
日はどっぷり暮れて暗くなっていました。

正人の手は汗をびしょりかいていました。

正人は、実はたぬきでした。

たぬきが人間に化けるとこうなるのでした。
チャン チャン!!
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