ゆうれいせん

モモンとパパン

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ゆうれいせん

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ギーコ。ギーコとだれかが、オールをこぐ音がする。

しかし、そこは、なにもない ようしゃない真夏の太陽が
照りつける、なぎの海だった。

カモメがつがいで、海の上を飛んでいた。
カモメは、するすると海面に近づいて、
海の上におりたった。その時、

「バッシャン!!!」

と、大きな音がしたと思ったら、つがいのカモメは
姿を消していた。

ギーコ。ギーコと、音は北の方角に
遠ざかった。

人がよりつかない島があった。

いままで、あれだけ南風がふいていたのに、
ぴたっと止んで、波の音だけが
寂しく聞こえていた。
白い浜辺は、人の足跡でいっぱいだった。

さらに北へいくと、岬の高台にあるお屋敷に
いつもきまって 夕方五時にやって来る
律儀な老人がいた。
老人は、お屋敷に入ろうとせず、そこから
海を眺めて、「ほうっ!見える!ゆうれいせんじゃ」と、
言うのでした。
老人は、三百六十五日そこへやって来るのでした。
老人は、ある時から腰を悪くして
寝たきりの状態になってしまいました。
老人は、独り身でした。
腰が痛いので、食事を作るいがいは
何もできないのでした。
老人は寝たきりなのに、何かにとりつかれた
みたいに 目がギラギラしていました。
ぶつぶつ小言をつぶやくようになりました。

「ゆうれいせん、、。ゆうれいせん、、。」

日が落ちて、あたりがどっぷり暗くなり
心地いい海風が吹いていましたが、
また、風がぴたっと止んでしまいました。

ギーコ。ギーコ。ギーコ。

どこからともなく、きしんだオールを
こぐ音がします。

「キャハハハ~~」。


          おわり
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