主観の良し悪しでなく正解か不正解かで判断される平等な異世界に人間偏差値25の僕が飛ばされて

中西ユウ

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一章

慮外千万 ※※(R18G)

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 映像で確認したところ直前の相手だった男性には唾をつけて入口をしっかりほぐしていたので、それもまたおしおきの1つだったのかもしれない──そう考えると、ヘドロのごとく重い溜息が無意識に漏れる。
「ひょっとして初めての経験だったのですか?」
「えっ? まっ……まぁ……」
 青髪の男性は愕然とした表情を浮かべて問い尋ねていたが、そのとき思ったように当事者の自分に言わせれば、こんなこと当たり前のように慣れているほうが驚きである。
「そんな状態で一気に喉元まで伸ばされたなんて……。呼吸もままならなかったんじゃないですか?」
「はぁ……」
 そりゃ気道を完全に塞がれればね──。泥酔者が吐しゃ物を詰まらせて窒息することはあっても、仕込まれた雄の象徴でそんな目に遭うとか──ファンタジーとはいえ誰得の状況なのか──。やはり後は野となれ山となれとばかりに退場した悪事に対する皮肉だったのか──そう考えると、もっと形の残らない死を選ぶべきだったと改めて思う。
「ダメ押しの一手が水槽ですもの……。そりゃあ気持ち悪くもなりますよね」
 金髪の男性は足元のバケツを見ながら、さも納得とばかりに言った。記憶が曖昧な間どうやらここで何度も嘔吐したらしく、その大半が精液だったという──「発見したときお腹がパンパンに膨れていたので、出せるだけ出さないと──ともう必死でしたよ」と生々しい補足までつき、その光景がいやでも目に浮かんだ。
「でも、その後のフィグニス様、どこか様子が変でしたよね……?」
「……えっ……?」
 赤髪の男性がさも不思議とばかりに告げたように、魔族は自身のザーメンで満たされた水槽に身を乗り出したのも束の間、ハッと切れ長の目を丸くしていた。映像自体はそこで終わっていたが、彼にとっても予想外の状況だったことは明らかだ。
「いつものあの方なら、ドヤ顔で挑戦者を塔から追い出しているはずなのですが……」
「…………」
 なるほど、そういうことか──確かにそれなら相手が戸惑いを隠せなかったことも頷ける。
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