主観の良し悪しでなく正解か不正解かで判断される平等な異世界に人間偏差値25の僕が飛ばされて

中西ユウ

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一章

粗鹵狭隘 ※※(R18G)

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 チェックアウトが11:00a.m.とのことで、それより前に宿屋を後にしようと考えたのが運の尽きだった。いつも昼過ぎから事がはじまるかと思えば──、
「……ゲボッ!?」
「──お、お客様っ!!」
 こちらの行動など筒抜けにも等しいことをすっかり忘れていた。いくら仕込まれている最中だったとしても吐き気をなんとか我慢すれば外へ出られる──ある意味もっとも自信があったはずの作戦も足すら浸からないプール以上の浅知恵にすぎなかったのだ。しかも誰の目にも明らかな光景として、本当に無関係な第三者の視界に映してしまった。
 主の驚きに被さるように周囲の人間からも悲鳴が上がり、戸惑いを露に「性器が口から出ているぞ!」と実況リポートする者もいれば、よほどの異臭で貰いそうにえずいている者もいた。
 もうすべては終わった──。
 いまさらだが、口から肛門まで1本道という既知の事実をこれほど恨む日がくるとは思わなかった。憮然と立ち尽くす間に眼前は精の海と化し、ゆっくり体内へと戻っていくなり崩れ落ちるようにしてそこへと倒れ込んだ。衝撃で上がる飛沫が目に入り、汚れた涙となって流れる。
 部外者が近寄れないなか──、
「──大丈夫ですかっ!?」
「…………」
 その張本人は例の親切心を剥き出しで、当然といえば当然だが自身の放ったものを物ともせずこの身を抱き上げた。
 魔族のトップ相手に逃げきることなんて土台無理な話だったのに、いったいこの数日間何をやっていたんだろう──。結果として、この宿屋も逝き場所ならぬイキ場所として利用されただけだった。ここで気になるのが、なぜか自分がまだ生きていることである。自ら望むまでもなく期間内に殺されるだろうと悪い意味で高を括っていたのが事実なら、彼による強姦致死が何度も成立していたのもまた然りだった。まぁ、異世界なんてなんでもアリみたいな設定の地に飛ばされている時点でそういうのが罷り通る理由の考察など野暮もいいところなのかもしれないが、やたらとポジティブでハーレムを侍らせているような主人公でもないわけで──心からなんの夢も希望も持てない身として、それらしい言い訳の1つくらいは聞いておきたいというのが本音だった。
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