メフィストルデのバレンタインデー

神通百力

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メフィストルデのバレンタインデー

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 惑星――メフィストルデは数年前から地球の恒例行事とも言えるバレンタインデーを取り入れていた。数年前にネノーゼ長老が地球へ訪れた際にバレンタインデーという行事に感銘を受け、惑星に持ち込んだのである。
 ただ残念なことにメフィストルデにはチョコレートがない。仕方なくチョコレートの代わりに名産品のサヴァルテトロンを使用している。サヴァルテトロンはぶよぶよとしており、弾力がある。齧ると口の中に甘味が広がる。ネノーゼ長老曰くチョコレートとは似ても似つかない食感だが、甘味という点では同じとのことだ。
 バレンタインデーはメスがオスにチョコレートを渡す行事のようだが、メフィストルデにはメスしかいない。地球には単為生殖たんいせいしょくという言葉があるらしく、メスだけで子を産むことを指すようだ。私たちはまさにそれに分類される。
 それゆえにメフィストルデのバレンタインデーはメスがメスにサヴァルテトロンを渡すことを指すのだ。地球でいうところの友チョコというものになるのかもしれない。ここでは友サヴァになるのだろうか?
 私は今、マーケトルデ――地球で言うところの市場――でサヴァルテトロンを選んでいるところだ。渡すのなら、良いものを選びたい。一際大きいものを選んで購入した。
 私はそのままネノーゼ長老の家に向かった。バレンタインデーという行事を持ち込んでくれたお礼をするためだ。
 家が見えてきた時、ネノーゼ長老が出てくるのが見えた。
「ラールじゃないか。ちょうど良かった」
 ネノーゼ長老は駆け寄ってくると、サヴァルテトロンをくれた。
「ありがとうございます! 私も用意してきたので、受け取ってください。バレンタインデーを持ち込んでくれたお礼です」
「ありがとう。うちで一緒に食べようか」
「はい」
 私はネノーゼ長老の後をついていき、家に入った。
 それから仲良くサヴァルテトロンを食べた。
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