黒き死神が笑う日

神通百力

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メデューゲン

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 人間とメデューサの間に生まれたメデューゲンは生まれた時から盲目だった。自分がどんな姿をしているのかも知らず、小さい頃から近所の住民たちに化け物と忌み嫌われていた。なぜ化け物と呼ばれなければいけないのか、メデューゲンにはまったく理解できなかった。
 両親に自分は化け物なのかと問うたことがあったが、そんなことはないと優しく言ってくれた。近隣の心無い言葉に心が傷つきながらも、メデューゲンは両親とともに毎日を楽しく過ごしていた。
 そんなある日、メデューゲンは両親の勧めで手術を受けることになった。手術は数時間もかかったが、見事に成功した。メデューゲンは初めて世界を見ることができるようになったのだ。
「それでは目を開けてください」
 医者の言葉にメデューゲンは頷いた。恐る恐る目を開けると、目の前の椅子に医者が座っていた。そしてメデューゲンの目に見られた医者はした。

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