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序章 陽に泳ぐ魚
一話
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人並みと言えば聞こえはいいけれど、随分と平凡な人生を送ってきた。唯一人と違う点といえば、今まさにナイフで刺されたことくらいである。
いつも通りの通勤電車の中、前触れもなく狂った男が目の前に躍り出てきた。手にはサバイバルナイフが、血管が浮き出るほどにキツく握られていた。
僕の見た目がひ弱で、狙いやすいと思われたのだろう。意を決した男はナイフを僕の左脇腹に突き立てた。なるほど、刺されると確かに熱い。
そんな感想くらいしか浮かばないまま、この人生に大した執着も感じないまま、僕の意識は途絶えた。
目を覚ますと、僕は薄暗い路地裏にL字の体勢でうなだれていた。あれ、死んだのではないかと混乱していると、小さい影が目の前を遮った。
鼠かと思い、目で追うとたしかに動物だった。動物だったのには違いないが、異質だった。赤く、トゲトゲしい鱗に覆われていたのだ。
トカゲかとも思ったが、フォルムは僕の知るネズミそのものだった。こんな生き物見たことがない。ネズミは僕のことなど気にも留めずに奥の暗闇へと消えていってしまった。
いまだ夢を見ているのではないだろうかと錯覚し、ありきたりだが、頬をつねってみた。じんわりと痛みを感じた。確かに現実なんだ。
しかし不思議なのは、先程刺された左脇腹が全く痛まないことだった。ホントに夢じゃないとしたらこれはいったいどういうことなのか。
立ち上がるといくらか視界が明るんだ。細い隙間の先から光と喧騒とが一挙にこちらへと飛び込んでくるのでそれに向かって行ってみた。
路地裏を抜け出すと、一層明るく、そして開けた通りにでた。いや、単に通りというにはあまりに大きい。中世ヨーロッパの雰囲気をまとう大道であった。何より大勢の人々が通りを賑わしていた。
人間が大勢いるのを見て少し安心したけれど、自分がわけのわからない状況にあることに変わりはなかった。それに問題がもう一つ。
この人間たち、どう見ても日本人ではないのだ。日本語が通じないのでは人がどれだけいたって、どうしようもない。
しかし、話しかけてみないことには分からないし、そもそも他に解決策が見つからないので、勇気を出して一番近くにいた雑貨屋らしきところに入ってみた。
ドアを開けると備え付けのベルが愉しげな音を鳴らした。なので中に入るとすぐに主人らしき年増の女性が僕に気づいた。
「いらっしゃい。」
かえって混乱してしまった。どうして日本語を話しているのだ。彼女は別にカタコトでもなかった。至って自然に日本語を話したのである。
「どうしたのお客さん。何か困ったことが?」
固まる僕に、見かねた主人がそう言って不思議そうな表情をしながら近寄ってきた。
「ああ、いや、なんでもないです。ただ聞きたいことがいくつか。」
「聞きたいこと?」
良かった。話が通じれば随分と状況がよくなる。
「そもそもここがどこかを教えていただけませんか。」
聞かれた女性は一瞬怪訝そうな顔をした。が、途端に笑い出してしまった。
「あなた、ここがどこか知らずに来ちゃったの?おかしな人ね。ここはね、ホルンメラン。シャラパナ公国の都市よ。」
聞いたことない国名に、聞いたことない都市名だった。
するとますますおかしい。
「僕はそのような国の名前は聞いたことがないのですけれど、そもそもあなたはどうして日本語が話せるのですか?」
「ニホンゴ、なにそれ?」
「いや、ですから僕が話してるこれです。あなたにだって通じてるじゃない。」
「何言ってるのよ。さっきからあなたも私もずっとリダ語で話してるじゃないのよ。」
リダ語……またまた聞いたことのない名前だ。するとなんだ。僕は日本語を使っているつもりでこのリダ語を話していたということか。謎が一層増えてしまった気がする。
それからもいくらか女主人に話を聞いてから店を後にした。入店したくせに何一つ買わずに出てきてしまったことは大変心苦しかったが、まず日本円が使えるわけがないし、そもそも一銭たりとも金を持っていない。彼女も優しくそれを許してくれた。
さて聞いてわかったことだが、この世界、僕が元いた地球とは全くもって異なる場所である。国の数は二十数個しかなく、今いるシャラパナはその中では大きい方だそう。
それだからこれほど栄えているように見えるホルンメランも首都というわけではなくて、第三都市くらいのものだという。
何も知らない僕のことを、女主人は大変不思議がっていたが、僕は終始記憶喪失ということで押し通した。最後に聞いた話が最も耳寄りだった。
なんとこの都市、外部からの移民に比較的優しく、簡単に住民票を作ることができるのだそう。通りをずっと北に行ったところにある役所で作ることができると言うので、僕は今そこを目指して歩いている。
いまだこの世界を信じきれずにいるものの、だからといって浮浪するわけにもいかないので、とりあえずの家も探そうと思う。
見慣れないものは数多くあれども、一番僕を驚かしたのは、動物たちだった。知っているのも多くいた。猫や犬、豚も歩き回っており、時折馬が馬車を引っ張っていた。
しかしそんな中に、人一人二人を軽く覆ってしまうような大きな翼を持つ怪鳥だの、家ほどの丈がある巨大な牛だの、檻に入れられたトゲだらけのサラマンダーだのが堂々と町中で生きていたのだ。一目では到底信じられなかったし、目眩さえした。
まるっきりの別世界をようやく受け入れ始めたあたりで、一つ、目新しくも懐かしい光景に出会った。小さな八百屋、その店先に陶器でできた壺が置いてあった。中は水で満たされており、そこを小さな魚が沢山泳いでいた。
壺のまわりには子供たちが大勢群がり必死に見つめていた。その様子を店主らしき、恰幅の良いおじさんが優しい眼差しで眺めていた。
女の子が顔を上げておじさんに話しかけた。
「ねえねえ、赤色と白色のハプルばっかじゃん。黒色のハプルとかっていないの?」
おじさんはたしなめるようにこう答えた。
「黒いハプルなんて見たことねえよ。ハプルっつったら赤か白かってもんだろうよ。てかそもそもここはハプル屋じゃなくて八百屋なんだよ。」
女の子はつまらない顔をしたが、すぐにまた壺の中へと視線を落とした。
それにしてもあの小魚、ハプルという名前なのか。僕があれに興味を持ったのは他でもない、もといた世界でメダカを愛好して育てていたからである。それもただ育てていたんじゃない。
品種改良や新種の配合に躍起になっていた時期もあったのだ。夢中になってしまうほどメダカが好きだったから、あのハプルという、小魚にも興味を持ってしまった。そうか、ハプルには今のところ二色しか存在していないのか……
やがて役所についた。豪勢な造りの建物で白い壁面が陽に輝いていた。役所の勝手は知っている。なんて言ったって僕はもともと役所勤めだからだ。まあ役所といっても田舎の区役所なのだが。
手続きは思っていたよりもはるかにスムーズに進んだ。やはりこちらでも言葉が通じた。何より僕は、我ながらとてつもなく怪しい身分だから、何か詰問でもされるのではなかろうかと心配していたが、全くそのようなことはなく、住民票が完成してしまった。
さらに嬉しかったのは、役所と提携しているという不動産屋から格安の物件まで紹介してもらえたことだった。家賃は五十日で八万イデだった。
イデという通貨の相場が分からないので何とも言えないが、多分安いのだろう。場所は地図で渡されたのでそれを頼りにさっそく行ってみることにした。
場所は奇しくも、最初に入った雑貨屋の隣で、ちょうど大通りからみて、雑貨屋の背に入ったところだった。建物は年季が入っていたが、文句がないほどにはきちんとした家だった。
ドアを開けようと言うところで再び雑貨屋の年増と顔を合わせた。
「あら、あなた戻ってきたの?」
「ええ、奇遇なことにここに住むことになりました。これからどうぞよろしくお願いします。」
さっきは薄暗い屋内で気づかなかったが、彼女はなかなか端麗な容姿をしていた。ブロンドの長髪は錦糸のように艶めき、切長の目はまつ毛の先に至るまで涼やかに流れていた。
彼女は優しく微笑んだ。
「こちらこそよろしくね。もうお客さんなんて呼ぶわけにはいかないから、名前教えてちょうだいな。」
「ああ、そうでしたね。長谷川大成っていいます。」
「長い名前してるわね。タイセイって呼ばせてもらうわ。私はフィリムって名前よ。改めてよろしくね。」
彼女は右手に透明の袋を持っていた。よく見れば水の中をハプルが数匹泳いでいた。
「それ!どうしたんですか?」
食い気味に聞いてしまった。
「これね、さっき近所の人にもらったのよ。私興味なんてないのにね。あなた興味あるの。」
「あ、ハイ!魚育てるの好きなんですよ。」
「あら、記憶なくしたって言ってた割には魚が好きだってことは覚えてるのね。フフフ、まあいいわ。譲ってあげる。ついでに水槽も後で持っていってあげる。」
そう言ったフィリムは僕にハプルの袋を手渡して自分の雑貨屋へと戻っていった。袋を空にかざしてみると、淡い光の中をハプルたちが細くチョロチョロと泳ぎ回っていた。
いつも通りの通勤電車の中、前触れもなく狂った男が目の前に躍り出てきた。手にはサバイバルナイフが、血管が浮き出るほどにキツく握られていた。
僕の見た目がひ弱で、狙いやすいと思われたのだろう。意を決した男はナイフを僕の左脇腹に突き立てた。なるほど、刺されると確かに熱い。
そんな感想くらいしか浮かばないまま、この人生に大した執着も感じないまま、僕の意識は途絶えた。
目を覚ますと、僕は薄暗い路地裏にL字の体勢でうなだれていた。あれ、死んだのではないかと混乱していると、小さい影が目の前を遮った。
鼠かと思い、目で追うとたしかに動物だった。動物だったのには違いないが、異質だった。赤く、トゲトゲしい鱗に覆われていたのだ。
トカゲかとも思ったが、フォルムは僕の知るネズミそのものだった。こんな生き物見たことがない。ネズミは僕のことなど気にも留めずに奥の暗闇へと消えていってしまった。
いまだ夢を見ているのではないだろうかと錯覚し、ありきたりだが、頬をつねってみた。じんわりと痛みを感じた。確かに現実なんだ。
しかし不思議なのは、先程刺された左脇腹が全く痛まないことだった。ホントに夢じゃないとしたらこれはいったいどういうことなのか。
立ち上がるといくらか視界が明るんだ。細い隙間の先から光と喧騒とが一挙にこちらへと飛び込んでくるのでそれに向かって行ってみた。
路地裏を抜け出すと、一層明るく、そして開けた通りにでた。いや、単に通りというにはあまりに大きい。中世ヨーロッパの雰囲気をまとう大道であった。何より大勢の人々が通りを賑わしていた。
人間が大勢いるのを見て少し安心したけれど、自分がわけのわからない状況にあることに変わりはなかった。それに問題がもう一つ。
この人間たち、どう見ても日本人ではないのだ。日本語が通じないのでは人がどれだけいたって、どうしようもない。
しかし、話しかけてみないことには分からないし、そもそも他に解決策が見つからないので、勇気を出して一番近くにいた雑貨屋らしきところに入ってみた。
ドアを開けると備え付けのベルが愉しげな音を鳴らした。なので中に入るとすぐに主人らしき年増の女性が僕に気づいた。
「いらっしゃい。」
かえって混乱してしまった。どうして日本語を話しているのだ。彼女は別にカタコトでもなかった。至って自然に日本語を話したのである。
「どうしたのお客さん。何か困ったことが?」
固まる僕に、見かねた主人がそう言って不思議そうな表情をしながら近寄ってきた。
「ああ、いや、なんでもないです。ただ聞きたいことがいくつか。」
「聞きたいこと?」
良かった。話が通じれば随分と状況がよくなる。
「そもそもここがどこかを教えていただけませんか。」
聞かれた女性は一瞬怪訝そうな顔をした。が、途端に笑い出してしまった。
「あなた、ここがどこか知らずに来ちゃったの?おかしな人ね。ここはね、ホルンメラン。シャラパナ公国の都市よ。」
聞いたことない国名に、聞いたことない都市名だった。
するとますますおかしい。
「僕はそのような国の名前は聞いたことがないのですけれど、そもそもあなたはどうして日本語が話せるのですか?」
「ニホンゴ、なにそれ?」
「いや、ですから僕が話してるこれです。あなたにだって通じてるじゃない。」
「何言ってるのよ。さっきからあなたも私もずっとリダ語で話してるじゃないのよ。」
リダ語……またまた聞いたことのない名前だ。するとなんだ。僕は日本語を使っているつもりでこのリダ語を話していたということか。謎が一層増えてしまった気がする。
それからもいくらか女主人に話を聞いてから店を後にした。入店したくせに何一つ買わずに出てきてしまったことは大変心苦しかったが、まず日本円が使えるわけがないし、そもそも一銭たりとも金を持っていない。彼女も優しくそれを許してくれた。
さて聞いてわかったことだが、この世界、僕が元いた地球とは全くもって異なる場所である。国の数は二十数個しかなく、今いるシャラパナはその中では大きい方だそう。
それだからこれほど栄えているように見えるホルンメランも首都というわけではなくて、第三都市くらいのものだという。
何も知らない僕のことを、女主人は大変不思議がっていたが、僕は終始記憶喪失ということで押し通した。最後に聞いた話が最も耳寄りだった。
なんとこの都市、外部からの移民に比較的優しく、簡単に住民票を作ることができるのだそう。通りをずっと北に行ったところにある役所で作ることができると言うので、僕は今そこを目指して歩いている。
いまだこの世界を信じきれずにいるものの、だからといって浮浪するわけにもいかないので、とりあえずの家も探そうと思う。
見慣れないものは数多くあれども、一番僕を驚かしたのは、動物たちだった。知っているのも多くいた。猫や犬、豚も歩き回っており、時折馬が馬車を引っ張っていた。
しかしそんな中に、人一人二人を軽く覆ってしまうような大きな翼を持つ怪鳥だの、家ほどの丈がある巨大な牛だの、檻に入れられたトゲだらけのサラマンダーだのが堂々と町中で生きていたのだ。一目では到底信じられなかったし、目眩さえした。
まるっきりの別世界をようやく受け入れ始めたあたりで、一つ、目新しくも懐かしい光景に出会った。小さな八百屋、その店先に陶器でできた壺が置いてあった。中は水で満たされており、そこを小さな魚が沢山泳いでいた。
壺のまわりには子供たちが大勢群がり必死に見つめていた。その様子を店主らしき、恰幅の良いおじさんが優しい眼差しで眺めていた。
女の子が顔を上げておじさんに話しかけた。
「ねえねえ、赤色と白色のハプルばっかじゃん。黒色のハプルとかっていないの?」
おじさんはたしなめるようにこう答えた。
「黒いハプルなんて見たことねえよ。ハプルっつったら赤か白かってもんだろうよ。てかそもそもここはハプル屋じゃなくて八百屋なんだよ。」
女の子はつまらない顔をしたが、すぐにまた壺の中へと視線を落とした。
それにしてもあの小魚、ハプルという名前なのか。僕があれに興味を持ったのは他でもない、もといた世界でメダカを愛好して育てていたからである。それもただ育てていたんじゃない。
品種改良や新種の配合に躍起になっていた時期もあったのだ。夢中になってしまうほどメダカが好きだったから、あのハプルという、小魚にも興味を持ってしまった。そうか、ハプルには今のところ二色しか存在していないのか……
やがて役所についた。豪勢な造りの建物で白い壁面が陽に輝いていた。役所の勝手は知っている。なんて言ったって僕はもともと役所勤めだからだ。まあ役所といっても田舎の区役所なのだが。
手続きは思っていたよりもはるかにスムーズに進んだ。やはりこちらでも言葉が通じた。何より僕は、我ながらとてつもなく怪しい身分だから、何か詰問でもされるのではなかろうかと心配していたが、全くそのようなことはなく、住民票が完成してしまった。
さらに嬉しかったのは、役所と提携しているという不動産屋から格安の物件まで紹介してもらえたことだった。家賃は五十日で八万イデだった。
イデという通貨の相場が分からないので何とも言えないが、多分安いのだろう。場所は地図で渡されたのでそれを頼りにさっそく行ってみることにした。
場所は奇しくも、最初に入った雑貨屋の隣で、ちょうど大通りからみて、雑貨屋の背に入ったところだった。建物は年季が入っていたが、文句がないほどにはきちんとした家だった。
ドアを開けようと言うところで再び雑貨屋の年増と顔を合わせた。
「あら、あなた戻ってきたの?」
「ええ、奇遇なことにここに住むことになりました。これからどうぞよろしくお願いします。」
さっきは薄暗い屋内で気づかなかったが、彼女はなかなか端麗な容姿をしていた。ブロンドの長髪は錦糸のように艶めき、切長の目はまつ毛の先に至るまで涼やかに流れていた。
彼女は優しく微笑んだ。
「こちらこそよろしくね。もうお客さんなんて呼ぶわけにはいかないから、名前教えてちょうだいな。」
「ああ、そうでしたね。長谷川大成っていいます。」
「長い名前してるわね。タイセイって呼ばせてもらうわ。私はフィリムって名前よ。改めてよろしくね。」
彼女は右手に透明の袋を持っていた。よく見れば水の中をハプルが数匹泳いでいた。
「それ!どうしたんですか?」
食い気味に聞いてしまった。
「これね、さっき近所の人にもらったのよ。私興味なんてないのにね。あなた興味あるの。」
「あ、ハイ!魚育てるの好きなんですよ。」
「あら、記憶なくしたって言ってた割には魚が好きだってことは覚えてるのね。フフフ、まあいいわ。譲ってあげる。ついでに水槽も後で持っていってあげる。」
そう言ったフィリムは僕にハプルの袋を手渡して自分の雑貨屋へと戻っていった。袋を空にかざしてみると、淡い光の中をハプルたちが細くチョロチョロと泳ぎ回っていた。
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