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見下しジル
しおりを挟むジルは全ての人間を見下していた。
彼はスラム街で育った貧しい青年だったにもかかわらず、貴族から強奪したタキシードに袖を通し、いつなん時でも身分不相応な身なりで生活していた。
薄汚いスラム街の人間は勿論、町人や貴族ですら自分からすれば下民。
そんな自分が汚れた格好をするなんてあり得ない。そんな理不尽があって、いいわけがないとスラム街で1番高い場所に寝床を構えていた。
しかし、誰も彼を馬鹿にする者はいない。
ジルに敵う者など、このスラム街にはおろか、世界にいるのかすら想像できなかったからだ。
ある日、ジルは自分の国のパレードに遭遇した。
そこで目にした女に心を奪われる。
彼女は国王の1人娘だった。
ジルは当然、彼女と結婚するのは自分しかいないだろうと本気でそう確信していた。
それは心から愛したと言うより世の下卑た人間共と彼女が不釣り合い、自分のような優れた人間こそが1番彼女に相応しいと言う消去法によるものだった。
と言っても彼女に近づく手段など持ち合わせていないジルには彼女を誘拐する他に結婚と言う契りを交わす方法はなかった。
その結果、王女誘拐と言う大罪を犯したジルは死刑となり葬られた。
その亡骸からこぼれた魂は導かれるように、とある神殿に辿り着いた。
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