殺し屋の娘は憧れた兵士になって愛されてます

鈴菜えり

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拉致監禁

37話 いざ、

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「シュオナよ、今から話をすることは公式な話ではない。普通に話してくれて良い。シュオナは自身を『私』と言うのに慣れていないようだな。敬語は出来ているのに不思議なものだ」
各国の国王と王子、そして各国の護衛の兵士2名を残して玉座の間から出ていった。
シュオナはコルグとサーナ以外安心できる人物がいなくなり、不安とどうすればいいのか分からず混乱する。
「父上、シュオナをあまり緊張させないでください」
ラキル王子がシュオナに駆け寄り抱きしめる。それに続くように各王子達も父親達から離れシュオナに近づく。
その光景を国王達と王子達をよく知るであろう自国の兵士達は驚きながら眺める。
もうサーナ副総隊長並に抱きつくようになった王子達。シュオナは国王達に失礼ではないかと心拍数を上げながら大人しくする。
「ゼルルタ王。シュオナに聞きたいことがあるようですが、それは捕縛の件ですよね?それなら俺たちも保証しましょう。シュオナなら指定した日までに片付けることでしょう」
ミハヤ王子がゼルルタ王に確信を持って言い放つ。
「そうではないのだ、ミハヤ王子。
帰還してからの息子もそうだが…、何故そこまで一介の兵士のそこの娘…シュオナをそこまで構う。命を助けてもらって気に入り執着するのは分かるが、あまりにも執着しすぎだ。何がそこまでお前達を変える?」
「父上、俺とライルはシュオナを妻に迎えたいと思っています。ですが、強制的に妻にしてもシュオナに恨まれるだけでしょう」
「兄さんの言う通り。俺達を見てくれなくなる」
「ですから、こうして距離を縮めていけばいいと思ったのです」
シュオナの腰を持ちさらにぎゅっと抱きしめる。
「ラキル、ライル。お前らだけがそう思っているのではない。我らもまた同じ、抜けがけなど許さん」
ブラッド王子はラキル王子の反対側に手を回し抱きしめる。王子達から全員からシュオナへ思っている気持ちを言う。
「王子方!僕は誰の妻にもなる気はないし、ただの平民が王子達と釣り合うわけがないだろ!離せ~!」
国王の前という事を忘れ、普段の喋り方になり遠慮というものを忘れて離れようと体を動かすシュオナ。それを楽しそうに見ながら絡んでくる王子達を国王達は呆然と見ていた。
それを見ている兵士達はフリーズしている。楽しそうにしている王子達に驚いているが何より驚いているのは一介の兵士風情が王子にタメ口で話し、足掻いているという事。普通の兵士ではありえないことだった。
コルグとサーナもここまでとは知らず固まっている。
「もういい加減にしてくれ!僕は王子達と仲良くする為に兵士になったんじゃねぇ!」
シュオナも言いたい放題である。王子達はそんなシュオナをお構い無しに抱きついたり口説いたり自身の趣味の改善策を聞いたりしている。
「お前達、もういいだろう。シュオナがキレかかっておる。もう部屋に戻れ」
ゼルルタ王がため息混じりに言葉を発する。それを聞いた王子達は部屋へシュオナを連れていこうとするが父親達に止められてしまい渋々部屋へと行った。
「助かった…。国王様、助けていただきありがとうございます」
深々と頭を下げてお礼を言う。
「息子が面倒をかけた。気に入っているのは分かったが、まさか部屋にまで連れて行こうとは思わんかった」
「国王様、それは僕も予想外です…。
では、気を取り直して、裏切り者を捕まえに今から出発しようと思います!」
「本当に1人で向かう気なのですね」
「ルアジュ国王様、僕はただこんなことをしでかした奴らを締め上げに行くだけですから、そこまで思いつめたような顔をしないでください」
「ですが、貴女は兵士であっても女性です。例えあの男の子供であったとしても心配してしまいます。息子達の恩人でもある貴女が傷を負い帰ってきたら…」
悲しい顔をするルアジュ国王。
「きっと息子達が看病したいと言い出すだろうな」
そんな言葉の続きを付け足すようにレギナ国王が言う。
「レギナ国王様、想像できるようなことを言わないでください…。もしそんなことがあったら僕が大変な目にあいますし、鍛錬ができません…」
「それだけでは済まんと思うぞ?ほれ、コルグとサーナを見よ。あれを見て怪我をして帰ってきたら結局同じこと」
シュオナはゼルルタ国王に言われて気になり視線だけを向ける。コルグとサーナの表情を見ると、眉間に皺を寄せ、ものすごく睨んでこちらを見る。
「こわっ……。僕、あんなに睨まれるような事言った覚えがありません…」
「其方は言っただろう。『1人で捕まえに行く』とな」
ため息混じりにメイデン国王が言う。
「1人で行った方が見つかりにくいというだけですよ?それに僕の能力は自分以外に悪影響を与えてしまうので連れて行けないという理由なんですがね…」
「先も聞いたがそんなにか?
少しでも見せることは出来んのか?」
やはり気になっていたのか各国王も気にしていたように顔色を変える。
「はい…。昔使った時は通った道が全て周りが焼け焦げました。人の場合なら1度だけ悪人を捕まえてきて試した結果、悪人は干からびて塵となり死にました。また別の奴は体が風船が破裂したような感じで死にましたね。
なんででしょうね…、師匠は大丈夫だったんですが。いや、他の人を師匠と比べるのはおかしいですね」
そう言い終わると国王達は青ざめて、もういい。といい、5~10日以内に戻ることを条件にすぐに出発していい許可を頂いた。リュイを兵士する以外の褒美は帰ってきてから伝えると各国王達に言われた。
何故なんだろうか…。寒気がする。
そんなことを思いながら許可を貰ってすぐに玉座の間から一瞬で姿を消して国の外まで転移する。
「きっと急に居なくなって国王達ビックリしただろうな~。ま、コルグ総隊長達がいるし大丈夫だろ」
そのままシュオナは国からなるべく距離をとる為に歩いて行くのだった。
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