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一話 誕生
しおりを挟む目が覚めるとそこは不思議な世界だった。
なんだ。ここは。
そう思い、俺は辺りを見回して見る。しかし……見回せなかった。いや、正確に言うと、見られなかった。
どういう事かは、分からないがどうやら視覚を失くなったみたいだ。
最悪だ。植物状態か?
最後の記憶は、確か……そうだ。事故にあったんだ。
何なんだ、あの警官。
職質って何かしらの条件が必要だったんじゃないか。いかにも怪しそうとだ、とか。いや、それだと、俺が怪しそうって言うことになるから考えるのは、やめておこう。
そんなことより、ここはどこだ。
やはり……視覚は無い。
聴覚は……ない。
嗅覚は……ない
味覚も無いし、勿論、触覚も……いや、ある。あるぞ。
だが、これは触覚とは少し違う気がする。何というか、見えてないのに何となく分かるし、体も動かせそう、みたいな。
……ふと、妙な感覚に陥ったので、一旦触覚を閉じた。
何だったんだあれは。最後に、何かが、見えた気がした。もしかして、さっき、視覚がないって思ったのは気のせいかもしれない。そう思い、もう一回試してみる。
おお、見える、見えるぞ。
青々とした葉っぱが生い茂る、たくさんの大木、さえづる鳥、川のせせらぎ……
あれ、ココドコダ?
いや、おかしいだろ。何処だよ。ここ。普通なら病院にいるんじゃないのかよ。
よし、落ち着いた。一旦整理しよう。
確か、俺はトラックに引かれて死んだ。それは、間違いない。そしたら、大自然のなかにいたと。…………………………?
ま、……まあいい。理由は後で考えよう。
とりあえず、重要なことは、これからどうするかだ。うん。そうだな。それなら、辛うじて分かる。まずは、食料、水の調達だ。
暫く歩いていくと、水源を見つけた。よかった。これで後、三週間は持つだろう。
人間は食べ物なしでも三週間はいきられるって何かで見たことあるからな。そんな、事を思いながら水をすくおうと、水面を覗くと、……そこにはいつもの巨漢の姿は写っていなかった。
だか、イケメンになっていたわけでもない。
それは……人間ですらない。ネズミだった。
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