美麗エルフは鬼畜極道に堕つ

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第4章 抗争

第4話②

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 城の中は今まで見たことのない造りだった。まず、駐車場に車を停めてから向かったのは無人の受付。様々なベッドのある部屋の写真が壁のパネルに映し出されている。その中から鷹臣は最も値段の高い部屋を選択していた。
 エレベーターなどは至って普通のビルのものと変わりがない。到着した階には部屋番号の書かれた扉があるだけで、何だか想像していたようなものではなかった。

 突き当りの部屋へと入る鷹臣の後を着いて行く。広い部屋の中には大きなベッドが一つ。その他、大型のテレビモニターや広い浴槽などがある。
 しかし、ベッドは一つしか置かれていないし、浴室は無駄に広い。泊まったことはないが、悠真たちに聞いていた旅館や城のような場所とは異なっている気がする。

「これがラブホですか?」

 キョロキョロと辺りを見回しながら尋ねる。鷹臣は部屋の説明書きのようなものを読んでいたが、バサリとその案内をテーブルの上へ戻すと、ニヤリと笑んだ。
 ゾクゾクと悪寒が走り抜ける。何だか嫌な予感しかしない。

「そういえば、お前、以前裏ビが何かって聞いてきたよなぁ?」

 歯を見せて笑う鷹臣は何とも楽しそうな顔をしている。セイルは訝しんだ表情を浮かべながら、鷹臣から一歩、二歩と距離を取った。

「そんな警戒すんな」
「ひぇっ!」

 手首を取られて引っ張られる。ベッドサイドに腰を下ろした鷹臣の膝の上へと座らせられた。
 リモコンを手にした鷹臣が百インチ近い大型テレビの電源を入れる。突然響いてきた大音量の喘ぎ声に思わず耳を両手で塞いだ。

「わーッ!!」

 モニターに映し出される男女の性行為。陰部はモザイクで隠されているが、モニターが大きい分、迫力がある。画面いっぱいに映し出された局部に固く目を瞑った。

「おい、きちんと見ろよ。これがAVだ。裏になると、このモザイクが外れる。恥ずかしい場所が全世界に垂れ流されるって訳だ」
「い、言わなくて良いですからぁ~!!」

 ブンブンと首を横に振った。他の人たちの性行為を見るなんてそんな破廉恥なこと、考えたこともなかった。しかも、それが誰とも知れぬ人たちに晒されるなんて。
 ガタガタと震えていると、嬌声が唐突に止まった。ソッと目を開いてみれば、画面の中は青色一色になっている。
 ホッとしながらやっと耳から手を離した。部屋の四隅にはスピーカーが取り付けられている。このスピーカーによって家でテレビを見る時などよりも遥かに大音量で部屋中に響いていたのだろう。

「な、何だったんですかぁ、今のは」
「だから、AVだっつってんだろ」

 鷹臣はスマートフォンを取り出し、リモコンと一緒に何か作業を行っていた。何をしているのかはさっぱり分からない。しかし、セイルは今しがた見えてしまった映像を思い出して気が気でなかった。

「あの、私、お風呂! 入ってきても良いですか?」
「ああ。せっかくの広い風呂だ。ゆっくり入ってくれば良い」

 またもやニッコリと笑う鷹臣が怖い。ゾクゾクとした悪寒を感じながら風呂場へと駆け込んだ。
 長い髪は後ろでお団子を作り、大きな浴槽に湯を溜める。何故か浴槽にライトがついており、湯の中を照らしている。何の機能か分からず首を傾げていると、浴室の扉が開き、全裸の鷹臣が入ってきた。

「わー! 私、まだ入ってます! からぁ!!」
「問題ねぇだろ。こんだけ広いんだから。それとも、俺は海に入ったまま凍えてろってか?」

 それを言われてしまってはグゥの音も出ない。確かに一人で入るには広すぎる浴槽だし、鷹臣一人が増えたところで何の問題もない。

「にゅ、入浴剤入れましょうよ! なんか、すっごく種類豊富なんです!」

 浴槽の中に湯が溜まってから入れようといくつか入浴剤を持って入っていた。それらを手に持って鷹臣へと見せる。至極楽し気にセイルの手の中の入浴剤を眺めていた鷹臣だったが、白色の入浴剤を手に取ると、もうすぐいっぱいになる浴槽の中へと中身を投入した。

「多分、お前が一番喜ぶのはこれだろ」
「喜ぶ? って、何でです……わわわわわっ!」

 鷹臣が湯をかき混ぜたことでモコモコと表面に泡が立ち始めた。あっという間に浴槽の表面に広がる。掌で泡を掬い上げる。こんな風呂に入ったことがない。

「すごい! お風呂アワアワですよ~!」

 掬った泡をフッと吹けば、ふわりと舞い上がる。まるで雲の中の風呂のようでテンションまでうなぎ上りだ。

「ガキはこういうの好きだろ」
「ガキ……って、こう見えても私、鷹臣さんよりも長生きしてるんですからね!」

 プイと膨れ面を作ってそっぽを向けば、鷹臣が笑う声が聞こえてくる。ツンとしていると、鷹臣がどこかのボタンを押したのか浴槽内のジェットバスが作動した。泡が量産されていく。

「わ~! 泡で溺れちゃいますよぉ!」

 溢れた泡は浴槽内から零れ、浴室の床を泡塗れにしながら排水溝へと流れていった。しばらくすると止めてくれたが、それでも出来上がった大量の泡で浴槽内はいっぱいだ。

 ガキと言われて揶揄われるのは気に入らないが、これだけの泡を前にすれば遊びたくなってくる。ソワソワしながら鷹臣を盗み見ていれば、プッと吹き出した後に今度は鷹臣の方から掬い上げた泡をセイルの方へと息で吹きとばしてきた。空中に舞う泡をキャッチすると、「猫かよ」と言いながら笑われる。今度はセイルの方から泡を鷹臣へと吹けば、鷹臣が泡を捕まえるのが面白くて何度も泡を吹いた。
 それに満足すると、今度は泡でタワーを作ってみたり、泡を球体状にしてそれを重ねて泡だるまに挑戦してみたりと存分に泡風呂で楽しんだ。
 そんなセイルを鷹臣はただ穏やかな顔で眺めているばかりだった。
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