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第144話 要求
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2022年9月15日 日本標準時
午前10時00分
日本 東京都 千代田区 霞ヶ関 東京駅
____________________
「こっちだ!早く!」
「全員ハンカチで口と鼻を塞げ!」
「逃げろ!毒ガスだ!」
東京駅の中から溢れ出す黄緑色のガス、そこから人の影が次々と出てきていた。
「警官隊の突入は!?」
「警視庁爆発物処理班の到着待ちです!」
「救急隊員も巻き込まれるぞ!待機だ!」
「まだ仲に人がいるのに放置ですか!?」
「我々が突入しても無駄だ!安易に死者数を増やすわけにはいかん!」
「爆発物処理班10分後に到着予定!」
「公安の部隊もこちらに来るとのこと!」
「自衛隊への要請は!?」
「上空にテレビ局のヘリコプターが!」
「離れろ離れろ!死ぬぞ!」
この日、東京駅は黄緑色の毒ガスによって色付けされた。
____________________
同時刻 東京都 江東区 首都高速9号深川線 高架下
「毒ガステロ……」
ヒカルは短く、静かにそう呟いた。その言葉には落ち着きさえあった。
サイレン音は明らかに増えていた。それら全ては遠くから聞こえ、段々と消えていった。
「とりあえず行ってみるか。あいつが言ってた大きな事はこれかもしれない」
「え…行くのか…」
正直毒ガスが蔓延る地帯に足を踏み入れはしたくない。
「大気中に分散はしないはず。少なくともそんな高度なガスは作れない。軍が作るとかなら違うけど」
「それじゃあ安心…ではないよな?」
「ガスくらい魔法でどうにかしろ。それになんか…面白そうじゃん」
そう言ったヒカルの顔は笑っていた。多分正気じゃない。人が死んでる可能性もあるってのに。
「千代田区まではすぐそこだよ。行くぞ!」
「歩き?」
「当たり前…いやタクシーにするか。俺の資金無くなるけど…」
それから20分程タクシーに揺られながら霞ヶ関に着いた。かなりの渋滞で途中から降りる羽目にはなったが。
周辺にはおびただしい量の人達、その大半が警察官や消防士、救急隊員が東京駅に辿り着くまでの道を埋め尽くしていた。
上空には既にマスコミのヘリコプターやらが飛んでおり、現場は騒然としている。
「まあ大体こうなるだろうな。ニュース見たけど俺達がいたジャンクション以外でも謎の爆発が起きているらしいし」
「それは…やばいな。こういうのは日常茶飯事なのか?」
「超珍しい。この国だったら20年に1度あるかないかってくらい。この大惨事」
「…その大惨事がこれか…」
目の前には緑色のガスに優包まれた東京駅と湧き溢れる人達によって禍々しい雰囲気を醸し出していた。
____________________
「総理!警視庁より自衛隊の緊急出動要請が!」
「緊急記者会見の準備も現在進めています!」
「この一連の事件はテロリストによる行為と公安が!」
慌ただしくなった国会議事堂内。周りにいる取り巻きの議員やらが報告を繰り返してくる。
「あの爆発事故の続きか?何が原因だ?死者は?」
「死者数は既に二桁。現在解析中の毒ガスによる中毒症状によります」
「毒ガスだと?どこで撒かれた?あの爆発事故との関係は?」
「詳細は不明です。しかし山陽新幹線の21,22番線で警備員が謎の筒状の物を発見したのが最初、発煙筒と当初は思われていたそうですがそこから謎のガスが…」
「はぁ…分かった…まったくなんだと言うのだ…」
「それと…30分前警視庁に向けて謎のメッセージが送られてきていたと」
「メッセージだと?」
「はい」
「内容は…?」
「日本政府への要求。5億円を渡さなければ死者がでると」
「…………」
その時、外に待機していたであろう人間が一斉にこちらへと駆け込んでくる。
「大変です総理。同様の事件が英国でも確認。ロンドン駅で同じく毒ガステロが…」
「総理!警視庁に再び謎のメッセージが!これが終わりではないと!」
「ど、どうなっている?一体…これは…?」
周りの時が一斉に遅くなるような倦怠感を新竹吉郎は感じながらその場に立ち尽くした。
午前10時00分
日本 東京都 千代田区 霞ヶ関 東京駅
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「こっちだ!早く!」
「全員ハンカチで口と鼻を塞げ!」
「逃げろ!毒ガスだ!」
東京駅の中から溢れ出す黄緑色のガス、そこから人の影が次々と出てきていた。
「警官隊の突入は!?」
「警視庁爆発物処理班の到着待ちです!」
「救急隊員も巻き込まれるぞ!待機だ!」
「まだ仲に人がいるのに放置ですか!?」
「我々が突入しても無駄だ!安易に死者数を増やすわけにはいかん!」
「爆発物処理班10分後に到着予定!」
「公安の部隊もこちらに来るとのこと!」
「自衛隊への要請は!?」
「上空にテレビ局のヘリコプターが!」
「離れろ離れろ!死ぬぞ!」
この日、東京駅は黄緑色の毒ガスによって色付けされた。
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同時刻 東京都 江東区 首都高速9号深川線 高架下
「毒ガステロ……」
ヒカルは短く、静かにそう呟いた。その言葉には落ち着きさえあった。
サイレン音は明らかに増えていた。それら全ては遠くから聞こえ、段々と消えていった。
「とりあえず行ってみるか。あいつが言ってた大きな事はこれかもしれない」
「え…行くのか…」
正直毒ガスが蔓延る地帯に足を踏み入れはしたくない。
「大気中に分散はしないはず。少なくともそんな高度なガスは作れない。軍が作るとかなら違うけど」
「それじゃあ安心…ではないよな?」
「ガスくらい魔法でどうにかしろ。それになんか…面白そうじゃん」
そう言ったヒカルの顔は笑っていた。多分正気じゃない。人が死んでる可能性もあるってのに。
「千代田区まではすぐそこだよ。行くぞ!」
「歩き?」
「当たり前…いやタクシーにするか。俺の資金無くなるけど…」
それから20分程タクシーに揺られながら霞ヶ関に着いた。かなりの渋滞で途中から降りる羽目にはなったが。
周辺にはおびただしい量の人達、その大半が警察官や消防士、救急隊員が東京駅に辿り着くまでの道を埋め尽くしていた。
上空には既にマスコミのヘリコプターやらが飛んでおり、現場は騒然としている。
「まあ大体こうなるだろうな。ニュース見たけど俺達がいたジャンクション以外でも謎の爆発が起きているらしいし」
「それは…やばいな。こういうのは日常茶飯事なのか?」
「超珍しい。この国だったら20年に1度あるかないかってくらい。この大惨事」
「…その大惨事がこれか…」
目の前には緑色のガスに優包まれた東京駅と湧き溢れる人達によって禍々しい雰囲気を醸し出していた。
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「総理!警視庁より自衛隊の緊急出動要請が!」
「緊急記者会見の準備も現在進めています!」
「この一連の事件はテロリストによる行為と公安が!」
慌ただしくなった国会議事堂内。周りにいる取り巻きの議員やらが報告を繰り返してくる。
「あの爆発事故の続きか?何が原因だ?死者は?」
「死者数は既に二桁。現在解析中の毒ガスによる中毒症状によります」
「毒ガスだと?どこで撒かれた?あの爆発事故との関係は?」
「詳細は不明です。しかし山陽新幹線の21,22番線で警備員が謎の筒状の物を発見したのが最初、発煙筒と当初は思われていたそうですがそこから謎のガスが…」
「はぁ…分かった…まったくなんだと言うのだ…」
「それと…30分前警視庁に向けて謎のメッセージが送られてきていたと」
「メッセージだと?」
「はい」
「内容は…?」
「日本政府への要求。5億円を渡さなければ死者がでると」
「…………」
その時、外に待機していたであろう人間が一斉にこちらへと駆け込んでくる。
「大変です総理。同様の事件が英国でも確認。ロンドン駅で同じく毒ガステロが…」
「総理!警視庁に再び謎のメッセージが!これが終わりではないと!」
「ど、どうなっている?一体…これは…?」
周りの時が一斉に遅くなるような倦怠感を新竹吉郎は感じながらその場に立ち尽くした。
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