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第167話 過去のおはなし(3)
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「こんな朝早くからご苦労様だね」
「そっちこそ…ってあなたすごい顔よ」
「?」
「隈が目の下いっぱいに。昨日ちゃんと寝れたの?」
「…一晩中起きてた」
「それでよく来ようと思ったわね…」
それもそうだ。そう言えばなんでこんな朝早くにここに来たんだろう。
「…あ、そうだ。昨日の話!私とチーム組むって話はどうなったの?」
「そう言えばそんな事言ってたな」
「えぇ~、もっと真剣に考えてよ~」
「んな事言われても知らない」
ベラドンナの上目遣いにこちらを見ている気がする。何だよコイツ。
「…まぁいいけどさ。あ!でも偶然一緒に会ったわけなんだからさ。今日だけでも一緒に組まない?」
「え?」
「ねぇ、いいじゃん!私とあなた、最強のコンビだよ!」
私の何を知ってそれを言っているのだろうか?
「組むって言っても何するの?」
「あ、それはね」
ベラドンナはそう言うと冒険者ギルドの中に入った。
「…………冗談だろ」
その内容に思わずそう口から漏れてしまう。指差したのは壁の上の方にある
「大丈夫よ!私達なら行ける!」
「いや死ぬ普通に」
徹夜明けでこれに挑んだらマジで永眠してしまう。
肝心の内容はドラゴン退治。それもただのドラゴンではなく、対ドラゴン用の装備をして、対ドラゴン用の部隊を編成して討伐するような大物。
「あの…その…多分辞めておいたほうが…」
「私達なら大丈夫です。心配しないでください!こう見えて上位魔法数十個使えるんで!」
「それは…そうとしてですよ。まだ若い方がイグニールドラゴンを倒すのは少々気が引け…」
「でも冒険者ギルドに依頼が来てるってことは、あのドラゴンで困ってる人がいるってことですよね?街に降りて来る前に早く倒した方が」
「そうですけど…」
どうやら聞く限り受付嬢もあまり勧める気ではないらしい。というかそうでなくては困る。たまらず私もベラドンナに寄る。
「あら、新しい依頼の受注なら後ろに…」
「いやコイツ一応今日はパートナーなんで。おい、ちょっと来い」
「あ、うん。待って~!」
ひとまず依頼の事で話があると冒険者ギルドの片隅の席に座らせる。
「正気か!?アイツ殺しに行くなんて。この辺り一帯の騎士団総出でかかっても殺せるか分かんないやつだぞ!」
「だからこそよ。あのドラゴンを倒さないと街の人達が…」
「あのねぇ、街の人街の人とか言う話じゃない。魔王軍の討伐隊の元リーダーならアイツやばい事くらい分かるだろ。てか知っとけ」
「そんなに言わなくても…私はただ…誰かの役に立ちたいって…」
「でた。そういうの私が一番嫌い。それを言ってる奴の内面はどうかしてると思うよ。信用できる奴なんかいない。大体あいつ倒すのに私にどれだけのメリットが…」
そこまで言って言葉を切る。さっきからベラドンナの様子がおかしい。
「……何?言いたい事があるなら……って…!」
顔を上げ、こっちを向いたベラドンナの目からは涙が出ていた。
「そ、そんなに言わなくたってぇ…ひどいよぉ~。私そんなつもりないのにぃ…」
「……!?」
私は引いていた。こいつ本当に討伐隊の元リーダーだったのか!?という驚きとどこにそんな号泣する要素があったのかにだ。メンタルが死ぬ程弱すぎる。こいつ今まで何学んできたんだ?駄目だこいつ駄目だ。
「おいおい、一匹狼さんよぉ、そんなに嬢ちゃんイジメて楽しいか?あん?」
「…何の用?」
彼女がヒクヒクと泣いていた刹那、ツカツカと歩く音。見ればまためんどくさいのがやって来た。
「嬢ちゃん大丈夫か?よしよしそんなに泣くな。お兄さんが付いてるぞ、そうだ!俺が今から何か旨い物を買ってきてやる!」
私を無視する形で割り込んで来た男、黄緑のスポーツヘアー、あちこちに武具を入れるポケットが付いたゴツくて黒いタンクトップを着た男、名前はジョニー。
「さぁ、ほらこんな陰気臭い女とは離れて俺と一緒に行こうぜ。なっ?」
「そっちこそそんな風に女の子を誘うのが楽しいわけ?」
私は登場際にジョニーから言われたセリフをアレンジして返してやる。
「んだようるせぇな。おめぇには関係ねぇだろ?」
「そうだね確かに関係ないね。前々から私を誘ってて断られたらキレて逆にボコボコにされたあなたとはもう関係は…」
「おいそれ以上言うんじゃねぇ、殺すぞ」
そう言うとジョニーは優しげな口調を止め、ドスを効かせこちらを睨みつける。
「そんなんだからあんたに私みたいな女の子が寄り付かないんだよ。分かんないの?」
「おいおい、そっちこそ俺の誘いに乗ってりゃ今頃悠々自適にのんびり俺と暮らせてたのによぉ。お前が断ったから今じゃ一人ぼっちで質素な暮らしをやる羽目になったんだよなぁ?一匹狼。そんなんだから敵ばっか作るのが分かんねぇのか?」
ヒヒヒと下品な笑いを繰り出し、こちらを見下してくる。
「ハァ~何言ってんの?敵?噂話でそんなに翻弄されちゃってかわいいね。それとね、私は一人になりたいから一人になったんだよ。あんたみたいなうるさい馬鹿みたいなのと一緒にいたらたまらないからさ」
「……てめぇ!いい加減にしたらどうだ?お前が負け組なの分かってんのか!?あぁ!?」
「負け組って、誰基準で言ってんだよ。私が負けるって、そんな訳ないじゃん」
私は小馬鹿にするような笑いを浮かべ、調子の良い口調でジョニーに言う。寝てない事が逆にテンションが上がる要因となってるかもしれない。
「アハハまったく。そんなんだからまだクソ童貞なんだよ?」
「…殺してやる!」
目の前に対峙するジョニーはそう言うとタンクトップから大きいナイフを取り出した。
「へぇ、私とやる気なの。なら次は何本骨を折ってやろうかな!」
全身に魔力を込め、そこまで私が言った時だ。突然、すぐ隣から凄まじい圧力を感じた。全身を凄まじい例えきれない何かが私を包むような。
ジョニーの仕業かと思ったがジョニーも動かない。その目は何かとんでもない物を見る感じでじっと私から見て右側を見ている。
「……二人共いい加減にして。ここが冒険者ギルドの中なの分かってる?周りの人達の事を考えて」
何かが隣に…違う彼女だ。
ベラドンナ。怒気のこもった声が耳の奥深くまで届き渡る。
彼女の表情は顔全体を包む暗いオーラのような形で見えなかった。だが彼女の青色の眼だけは確認できた。間違いなく、かなり怒っている。
「ちょっ!?そんな…おい落ち着けよ!
……それじゃあ俺はここで」
ジョニーは慌てたようにそう言って足早に立ち去って行った。
「……アナリス」
「…!何…?」
「落ち着いて少し、分かった?」
その低い声に私はひとまず落ち着くしかなかった。
「そっちこそ…ってあなたすごい顔よ」
「?」
「隈が目の下いっぱいに。昨日ちゃんと寝れたの?」
「…一晩中起きてた」
「それでよく来ようと思ったわね…」
それもそうだ。そう言えばなんでこんな朝早くにここに来たんだろう。
「…あ、そうだ。昨日の話!私とチーム組むって話はどうなったの?」
「そう言えばそんな事言ってたな」
「えぇ~、もっと真剣に考えてよ~」
「んな事言われても知らない」
ベラドンナの上目遣いにこちらを見ている気がする。何だよコイツ。
「…まぁいいけどさ。あ!でも偶然一緒に会ったわけなんだからさ。今日だけでも一緒に組まない?」
「え?」
「ねぇ、いいじゃん!私とあなた、最強のコンビだよ!」
私の何を知ってそれを言っているのだろうか?
「組むって言っても何するの?」
「あ、それはね」
ベラドンナはそう言うと冒険者ギルドの中に入った。
「…………冗談だろ」
その内容に思わずそう口から漏れてしまう。指差したのは壁の上の方にある
「大丈夫よ!私達なら行ける!」
「いや死ぬ普通に」
徹夜明けでこれに挑んだらマジで永眠してしまう。
肝心の内容はドラゴン退治。それもただのドラゴンではなく、対ドラゴン用の装備をして、対ドラゴン用の部隊を編成して討伐するような大物。
「あの…その…多分辞めておいたほうが…」
「私達なら大丈夫です。心配しないでください!こう見えて上位魔法数十個使えるんで!」
「それは…そうとしてですよ。まだ若い方がイグニールドラゴンを倒すのは少々気が引け…」
「でも冒険者ギルドに依頼が来てるってことは、あのドラゴンで困ってる人がいるってことですよね?街に降りて来る前に早く倒した方が」
「そうですけど…」
どうやら聞く限り受付嬢もあまり勧める気ではないらしい。というかそうでなくては困る。たまらず私もベラドンナに寄る。
「あら、新しい依頼の受注なら後ろに…」
「いやコイツ一応今日はパートナーなんで。おい、ちょっと来い」
「あ、うん。待って~!」
ひとまず依頼の事で話があると冒険者ギルドの片隅の席に座らせる。
「正気か!?アイツ殺しに行くなんて。この辺り一帯の騎士団総出でかかっても殺せるか分かんないやつだぞ!」
「だからこそよ。あのドラゴンを倒さないと街の人達が…」
「あのねぇ、街の人街の人とか言う話じゃない。魔王軍の討伐隊の元リーダーならアイツやばい事くらい分かるだろ。てか知っとけ」
「そんなに言わなくても…私はただ…誰かの役に立ちたいって…」
「でた。そういうの私が一番嫌い。それを言ってる奴の内面はどうかしてると思うよ。信用できる奴なんかいない。大体あいつ倒すのに私にどれだけのメリットが…」
そこまで言って言葉を切る。さっきからベラドンナの様子がおかしい。
「……何?言いたい事があるなら……って…!」
顔を上げ、こっちを向いたベラドンナの目からは涙が出ていた。
「そ、そんなに言わなくたってぇ…ひどいよぉ~。私そんなつもりないのにぃ…」
「……!?」
私は引いていた。こいつ本当に討伐隊の元リーダーだったのか!?という驚きとどこにそんな号泣する要素があったのかにだ。メンタルが死ぬ程弱すぎる。こいつ今まで何学んできたんだ?駄目だこいつ駄目だ。
「おいおい、一匹狼さんよぉ、そんなに嬢ちゃんイジメて楽しいか?あん?」
「…何の用?」
彼女がヒクヒクと泣いていた刹那、ツカツカと歩く音。見ればまためんどくさいのがやって来た。
「嬢ちゃん大丈夫か?よしよしそんなに泣くな。お兄さんが付いてるぞ、そうだ!俺が今から何か旨い物を買ってきてやる!」
私を無視する形で割り込んで来た男、黄緑のスポーツヘアー、あちこちに武具を入れるポケットが付いたゴツくて黒いタンクトップを着た男、名前はジョニー。
「さぁ、ほらこんな陰気臭い女とは離れて俺と一緒に行こうぜ。なっ?」
「そっちこそそんな風に女の子を誘うのが楽しいわけ?」
私は登場際にジョニーから言われたセリフをアレンジして返してやる。
「んだようるせぇな。おめぇには関係ねぇだろ?」
「そうだね確かに関係ないね。前々から私を誘ってて断られたらキレて逆にボコボコにされたあなたとはもう関係は…」
「おいそれ以上言うんじゃねぇ、殺すぞ」
そう言うとジョニーは優しげな口調を止め、ドスを効かせこちらを睨みつける。
「そんなんだからあんたに私みたいな女の子が寄り付かないんだよ。分かんないの?」
「おいおい、そっちこそ俺の誘いに乗ってりゃ今頃悠々自適にのんびり俺と暮らせてたのによぉ。お前が断ったから今じゃ一人ぼっちで質素な暮らしをやる羽目になったんだよなぁ?一匹狼。そんなんだから敵ばっか作るのが分かんねぇのか?」
ヒヒヒと下品な笑いを繰り出し、こちらを見下してくる。
「ハァ~何言ってんの?敵?噂話でそんなに翻弄されちゃってかわいいね。それとね、私は一人になりたいから一人になったんだよ。あんたみたいなうるさい馬鹿みたいなのと一緒にいたらたまらないからさ」
「……てめぇ!いい加減にしたらどうだ?お前が負け組なの分かってんのか!?あぁ!?」
「負け組って、誰基準で言ってんだよ。私が負けるって、そんな訳ないじゃん」
私は小馬鹿にするような笑いを浮かべ、調子の良い口調でジョニーに言う。寝てない事が逆にテンションが上がる要因となってるかもしれない。
「アハハまったく。そんなんだからまだクソ童貞なんだよ?」
「…殺してやる!」
目の前に対峙するジョニーはそう言うとタンクトップから大きいナイフを取り出した。
「へぇ、私とやる気なの。なら次は何本骨を折ってやろうかな!」
全身に魔力を込め、そこまで私が言った時だ。突然、すぐ隣から凄まじい圧力を感じた。全身を凄まじい例えきれない何かが私を包むような。
ジョニーの仕業かと思ったがジョニーも動かない。その目は何かとんでもない物を見る感じでじっと私から見て右側を見ている。
「……二人共いい加減にして。ここが冒険者ギルドの中なの分かってる?周りの人達の事を考えて」
何かが隣に…違う彼女だ。
ベラドンナ。怒気のこもった声が耳の奥深くまで届き渡る。
彼女の表情は顔全体を包む暗いオーラのような形で見えなかった。だが彼女の青色の眼だけは確認できた。間違いなく、かなり怒っている。
「ちょっ!?そんな…おい落ち着けよ!
……それじゃあ俺はここで」
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