散る花のエクストラクト

しっど

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「虚ろな瞳の中で」

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特異点「転送(意識)」



その瞳は何も映さない。
その瞳は目の前で起こる如何なる事象にも応答しない。
まるで魂はそこに宿っていないかのように。



私はついに手に入れたのだ。ここまで来るのにどれだけの犠牲を払ったか。
それでも私はついにここへたどり着いた。
私は特異点を手にしたのだ。

「意識を転送する特異点」

これを手にした私はもはや不老不死である。
この老いぼれ萎れ枯れ切った肉体を捨て、瑞々しい肉体へ乗り移るのだ。



「さあ、始めなさい」

私は少女の額に針を刺した。そして私の額にも。
そして装置を作動させた。



「私はハチドリ。花弁を散らす者」
無防備になった肉体を傍目に優雅に装置を手に取る。

残されたのは主なき肉体が二つ。
ただ虚空を見つめていた。
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