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5話

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◇◆◇◆◇◆


広くて長い廊下を戻り、今度は食堂を目指す。


通りすがる人全員がお辞儀をするが、トトはそれに目もくれていない。


───〖私に〗ではなく、〖トトに〗お辞儀をしている。………。トトは前から四天王とやらになっていたのかな。


私が四天王だなんて、みんなは納得しているのだろうか……。沢山構えている兵隊さんの方が随分強そうだけど…。


「あっ、ついたよキキ~」


またまた2人のメイドさんがでっかいドアを開けてくれる。………え各ドアに2人ずつ付いてるの?てか力持ちすぎない?


◆◇◆◇◆◇

「キキ~!キキの席はこれ~!じゃじゃーん!」


トトが先に入り、嬉しそうに紹介してきたのは豪華な豪華なイス。まるで王座のような風格がある。


部屋の中央に1つの大きなテーブルがあり、同じデザインの椅子が4つ置かれている。そして所謂誕生日席には、更に豪華な椅子が堂々と置かれていた。


たぶんこれは四天王+魔王様のテーブルなんだろう。食堂っていうからてっきりもっとわいわいがやがやした感じだと思ってたのに…。


この城に庶民的空間はないんかな?………この部屋売るだけで一生遊んで暮らせるぞこれ。


「キキ~何してるの~??座りなよ~」


ぽんぽんと椅子を叩くトト。言われた通りの席に座ってみる。


ふっかふかで、そしてデカい。私が子供だからじゃない。大人でもデカいサイズ。


トトは隣の席にぽすんと座ると、「ごはん~」とのほほんとした声を出す。


─────「………えっ!?」


するとさっきまでは確実に居なかったコックさんらしき人達がいっせいに出てきて、お皿やらフォークやらを並べ始めた。奥からは調理の音が聞こえてくる。


そしてあっという間に出来上がった料理達が運ばれてくる。見たことも無い豪華で沢山の料理。


「ききーなにしてるのぉ。たべなきゃテーブルうまっちゃうよぉ」


料理に気を取られすぎてトトを見ていなかったが、隣をみるとさっき運ばれてきた料理のお皿が空になって積まれていた。


──えまってまってまって。その体のどこに入ってるの…!?……。6歳児の食事量じゃないよそれ…。


とは言いつつ、キキもさっきから自分のお腹がなっているのに気づいていた。


いただきますをして1口口に入れる。生きてきた中で、1番柔らかいお肉。当たり前だが、カイがやるよりも薄く綺麗に切れているお肉。


暖かい食事も初めてだった。生きてきた中で暖かかったのはミルクくらいだろう。………覚えてないけど。


………カイ、火傷治ったかな…。

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みんなの感想(1件)

花雨
2021.07.29 花雨

新作投稿の欄で見ました(^^)
これから始まる物語って感じで気になったのでお気に入り登録させてもらいました(^^) 文面も参考になります。良かったら私の作品も観てくださいね(^^)/

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