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なんでみんなやらないの?
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【ファンタジー世界】
この世界には魔物が存在し、日々冒険者達が魔物を狩り、その素材を冒険者ギルドへ売る事で生計を立てていた。
冒険者ギルドとは、現代社会でいう所の職安に近い。様々な依頼がギルドへ持ち込まれ、冒険者達は自分に合った依頼を受けるのだ。ギルドは依頼料の何割かを仲介料として頂く仕組みだ。
さて、冒険者ギルドには日々様々な依頼が持ち込まれる訳だが、初心者冒険者用に必ず用意されている常時依頼がある。それは─
『薬草採取』である。
ファンタジー小説では定番の、逆に必ずと言って良いほどにある薬草採取である。
しかし、これを読んでいる目の前の君は疑問に思った事はないだろうか?
現代社会でも春には山菜採りなどあるが、ファンタジー世界で魔物の出る山や森を、年中駆け廻り、薬草を採取してくる事に。
すなわち
非常に効率が悪いのだ!
小説によって少し変わるが、薬草をそのまま傷薬として使ったり、薬草をポーションなどの原料にするものが多い中、1つの傷薬やポーションを作るのにどれだけの薬草が必要か、考えた事はあるだろうか?
普通に傷薬して商品としての量を作る場合は、渇かしたり、すりおろしたりすると現実的に、最低でも10束ほどは必要になるだろう。つまり、ファンタジー要素が含まれてもポーション1つに薬草10束ほど必要だと考えてみよう。
(あくまでも例えであり、必ずしも正しい訳でではない)
仮にこの仮説で話を進めるとどうだろう?
生傷の絶えない冒険者達が飲んでいるポーション1つに薬草が10束だと、とても供給が追い付かないと思わないだろうか?
なぜなら
山に生えている薬草。例えば群生地があって大量に持ってこれるとしても、多くの主人公以外では収納バックなど持っていない。一般冒険者が1度で運べる数は限られている。
薬草と言うか、植物類は意外に大きくてかさ張るのだ。
イメージしやすいように、現実世界にある『アロエ』などスマホで検索して見て欲しい。これは極端な例だが、もう少し小さくても10~20束ぐらいが運べる限界ではないだろうか?
それなのに日常生活に必要な薬草の採取の賃金は安い。何処にでも生えているからこそ安い。
薬草採取で生計を立てるにはどの小説でも難しいとされているほどに。
(薬草で生計を立てている弱い主人公は生活ギリギリの貧乏だよね?)
何処にでも生えていると書いたが、いざ探そうすると『まとまった量』を採取するのは難しいのだ。前回と同じ場所に必ず生える訳でもないからね。
これを踏まえて、ファンタジー世界ではどうやってポーション類が出回っているのやら………不思議である。
『ポーション』
これまたファンタジー世界では定番な回復アイテムである。大抵は低価格で買えるが、薬草をお店に卸してポーションを作って貰うと手間賃が掛かるため価格は上がる。
それは当然だとしても、薬草の10倍以上の値で売られるのは不思議なものだ。
まぁ、ポーションの作り方は一部の小説では秘匿されたりして特別な秘術がいるように書いてある小説もある。
【つまりは下請けが叩かれて泣き寝入りしている現代社会を表しているかのようである】
世知辛い世の中なのだ。
(いやマジで…………ぐすん)人生談
・
・
・
・
・
・
・
・
こほん!
ナレーションはここまでにして本編を始めよう。
とある王国の、辺境にある街に少し変わった一家が住んでいた。この街は辺境にあるにも関わらず、魔物の生息する『魔の樹海』が近い為に大勢の冒険者で賑わっていた。そして、冒険者が集まるという事は、その素材を買い取る商人や、装備品、アイテムを売る商店街が建ち並んでいた。
そんな中、『街の郊外』にちょっと大きな屋敷が建っていた。
「ふんふんふん♪」
上機嫌で畑に水を与えている女の子がいた。しかしその女の子はジョウロなど持っていなかった。手の平から魔法で水を出していたのだ。
「毎日精がでるね」
そこに女の子の兄がやってきた。
「あら?レイお兄様、珍しいですね?今日は樹海へは行かれなかったのですか?」
「ああ、先日深層まで潜ったからな。休息日ってやつさ」
この少女の兄レイ・クリスタルは丁度20歳で、数少ない冒険者の最高ランクS級冒険者である。ちなみに美形のイケメンである。(死ねば良いのに)本音
「シオンこそ、毎日飽きないな。今年の出来はどうだい?」
レイの妹であるシオン・クリスタルは街の外に広大な農場を保有し、大勢の農民や初心者冒険者を雇い、大量の【薬草】を栽培していた。
意外に薬草の栽培は難しく、始めた当初は勝手に育つ場合もあれば枯れる場合もあり、大きさもバラバラであった。肥料を変え、土壌を変え、水を変えてようやく安定して栽培出来るようになったのだ。
恐らく、多くの小説の世界の一般常識では薬草は自生しているのが普通であり、栽培できないと考えられているのではないだろうか?
「今日の昼頃には収穫出来るかしら?それとお兄様、薬草は『今年』ではありませんよ。1ヶ月に2回は収穫出来るのですから」
一昔前は、冒険者に必需品であるポーションはいつも品薄状態であった。需要に供給が追い付いていなかったのだ。しかも、薬草採取の賃金が安い事と、一度に採取してこれる数に限度があったからだ。何処にでも生えていそうで、いざ探すと見付からなかったりと当然の事だった。
「そうだった!すまない。余り詳しくなくて・・・いつもお世話になっているのにな」
「気にしないで下さい。お兄様が無事に帰って来てくれる事が大事なのですから」
昔、生傷の絶えないレイの為にシオンは薬草を採取して集めていた。しかし、いつも見付かるとは限らず、見付けても少量だったりと苦労した。そこで思いだったのが薬草の栽培であった。しかし、いざやってみると思うように育たなかった。当然だ。簡単に栽培出来ていたら誰でもやっている。何回も試行錯誤している内にようやく安定した栽培が可能になった。
原理はわかっていないが、魔物のいる森の土を混ぜる事で薬草が良く育つ事がわかった。そして水だ。
水も時々、魔法で作り出した水をやることで元気に育ったのだ。もしかしたら魔力が薬草の発育に関係しているかも知れない。
そうして、シオンは両親が資産家だった事と兄レイが上級者冒険者となった事で、街の郊外に大規模農園を作り、街の特産品へとなっていった。初心者冒険者の仕事が無くならないように配慮して、農園で働いて貰っているのだ。
最初は戸惑いの声もあった。でもすぐに消えた。何故なら─
当然だろう。魔物の出る山や森を駆けずり廻らなくても良くなり、歩合制で薬草が見付からずお金が貰えない事もある仕事(クエスト)より、安全で、必ず賃金が貰えてお昼ご飯も出て、薬草採取より賃金が高いとなれば誰も文句は言わないだろう。
ムフフフ、福祉厚生は手厚くしているのですよ!しかも冒険者最高ランクのレイが時々、初心者冒険者の面倒を見てくれるとなれば大人気のクエストになるのに時間は掛からなかった。
ちなみに、一定期間このクエストを行うとここの薬草で作られたポーションも貰える特典が付くのである。初心者冒険者にはありがたいクエスト(仕事)なのだ。
夜には盗賊から薬草園を守るクエストも別であるので、初心者冒険者達は実践の雰囲気も学べるオマケ付き。
この場所以外では薬草栽培に成功した所はなく、日々遠くからポーションの買い付けに来る商人が後を絶たない。
そして、大量の薬草が自由に使えるようになった事で、薬草成分の研究する【薬学】が発達したのは嬉しい誤算であった。シオンは昼は薬草の栽培、夜は薬学の研究と忙しい時間を送っていた。
そして今までは教会などでしか販売されていなかった上級ポーション(ハイポーション)や、解毒に効くキュアポーションなど低価格での開発、販売に成功した。流石に教会から抗議文が送られ、魔女として告発された時は焦ったが、多くの冒険者達や一般市民からの抗議デモが各地で起こり、教会は地位を失墜させシオン護られることになった。
うむ、どこの時代でも出る杭は打たれるものなのですね。
こうして、一部では危ない事もあったが、1人の少女が始めた薬草栽培が後に、辺境の街を発展させ、『薬学の聖地』として長く賑わうのであった。
この世界には魔物が存在し、日々冒険者達が魔物を狩り、その素材を冒険者ギルドへ売る事で生計を立てていた。
冒険者ギルドとは、現代社会でいう所の職安に近い。様々な依頼がギルドへ持ち込まれ、冒険者達は自分に合った依頼を受けるのだ。ギルドは依頼料の何割かを仲介料として頂く仕組みだ。
さて、冒険者ギルドには日々様々な依頼が持ち込まれる訳だが、初心者冒険者用に必ず用意されている常時依頼がある。それは─
『薬草採取』である。
ファンタジー小説では定番の、逆に必ずと言って良いほどにある薬草採取である。
しかし、これを読んでいる目の前の君は疑問に思った事はないだろうか?
現代社会でも春には山菜採りなどあるが、ファンタジー世界で魔物の出る山や森を、年中駆け廻り、薬草を採取してくる事に。
すなわち
非常に効率が悪いのだ!
小説によって少し変わるが、薬草をそのまま傷薬として使ったり、薬草をポーションなどの原料にするものが多い中、1つの傷薬やポーションを作るのにどれだけの薬草が必要か、考えた事はあるだろうか?
普通に傷薬して商品としての量を作る場合は、渇かしたり、すりおろしたりすると現実的に、最低でも10束ほどは必要になるだろう。つまり、ファンタジー要素が含まれてもポーション1つに薬草10束ほど必要だと考えてみよう。
(あくまでも例えであり、必ずしも正しい訳でではない)
仮にこの仮説で話を進めるとどうだろう?
生傷の絶えない冒険者達が飲んでいるポーション1つに薬草が10束だと、とても供給が追い付かないと思わないだろうか?
なぜなら
山に生えている薬草。例えば群生地があって大量に持ってこれるとしても、多くの主人公以外では収納バックなど持っていない。一般冒険者が1度で運べる数は限られている。
薬草と言うか、植物類は意外に大きくてかさ張るのだ。
イメージしやすいように、現実世界にある『アロエ』などスマホで検索して見て欲しい。これは極端な例だが、もう少し小さくても10~20束ぐらいが運べる限界ではないだろうか?
それなのに日常生活に必要な薬草の採取の賃金は安い。何処にでも生えているからこそ安い。
薬草採取で生計を立てるにはどの小説でも難しいとされているほどに。
(薬草で生計を立てている弱い主人公は生活ギリギリの貧乏だよね?)
何処にでも生えていると書いたが、いざ探そうすると『まとまった量』を採取するのは難しいのだ。前回と同じ場所に必ず生える訳でもないからね。
これを踏まえて、ファンタジー世界ではどうやってポーション類が出回っているのやら………不思議である。
『ポーション』
これまたファンタジー世界では定番な回復アイテムである。大抵は低価格で買えるが、薬草をお店に卸してポーションを作って貰うと手間賃が掛かるため価格は上がる。
それは当然だとしても、薬草の10倍以上の値で売られるのは不思議なものだ。
まぁ、ポーションの作り方は一部の小説では秘匿されたりして特別な秘術がいるように書いてある小説もある。
【つまりは下請けが叩かれて泣き寝入りしている現代社会を表しているかのようである】
世知辛い世の中なのだ。
(いやマジで…………ぐすん)人生談
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こほん!
ナレーションはここまでにして本編を始めよう。
とある王国の、辺境にある街に少し変わった一家が住んでいた。この街は辺境にあるにも関わらず、魔物の生息する『魔の樹海』が近い為に大勢の冒険者で賑わっていた。そして、冒険者が集まるという事は、その素材を買い取る商人や、装備品、アイテムを売る商店街が建ち並んでいた。
そんな中、『街の郊外』にちょっと大きな屋敷が建っていた。
「ふんふんふん♪」
上機嫌で畑に水を与えている女の子がいた。しかしその女の子はジョウロなど持っていなかった。手の平から魔法で水を出していたのだ。
「毎日精がでるね」
そこに女の子の兄がやってきた。
「あら?レイお兄様、珍しいですね?今日は樹海へは行かれなかったのですか?」
「ああ、先日深層まで潜ったからな。休息日ってやつさ」
この少女の兄レイ・クリスタルは丁度20歳で、数少ない冒険者の最高ランクS級冒険者である。ちなみに美形のイケメンである。(死ねば良いのに)本音
「シオンこそ、毎日飽きないな。今年の出来はどうだい?」
レイの妹であるシオン・クリスタルは街の外に広大な農場を保有し、大勢の農民や初心者冒険者を雇い、大量の【薬草】を栽培していた。
意外に薬草の栽培は難しく、始めた当初は勝手に育つ場合もあれば枯れる場合もあり、大きさもバラバラであった。肥料を変え、土壌を変え、水を変えてようやく安定して栽培出来るようになったのだ。
恐らく、多くの小説の世界の一般常識では薬草は自生しているのが普通であり、栽培できないと考えられているのではないだろうか?
「今日の昼頃には収穫出来るかしら?それとお兄様、薬草は『今年』ではありませんよ。1ヶ月に2回は収穫出来るのですから」
一昔前は、冒険者に必需品であるポーションはいつも品薄状態であった。需要に供給が追い付いていなかったのだ。しかも、薬草採取の賃金が安い事と、一度に採取してこれる数に限度があったからだ。何処にでも生えていそうで、いざ探すと見付からなかったりと当然の事だった。
「そうだった!すまない。余り詳しくなくて・・・いつもお世話になっているのにな」
「気にしないで下さい。お兄様が無事に帰って来てくれる事が大事なのですから」
昔、生傷の絶えないレイの為にシオンは薬草を採取して集めていた。しかし、いつも見付かるとは限らず、見付けても少量だったりと苦労した。そこで思いだったのが薬草の栽培であった。しかし、いざやってみると思うように育たなかった。当然だ。簡単に栽培出来ていたら誰でもやっている。何回も試行錯誤している内にようやく安定した栽培が可能になった。
原理はわかっていないが、魔物のいる森の土を混ぜる事で薬草が良く育つ事がわかった。そして水だ。
水も時々、魔法で作り出した水をやることで元気に育ったのだ。もしかしたら魔力が薬草の発育に関係しているかも知れない。
そうして、シオンは両親が資産家だった事と兄レイが上級者冒険者となった事で、街の郊外に大規模農園を作り、街の特産品へとなっていった。初心者冒険者の仕事が無くならないように配慮して、農園で働いて貰っているのだ。
最初は戸惑いの声もあった。でもすぐに消えた。何故なら─
当然だろう。魔物の出る山や森を駆けずり廻らなくても良くなり、歩合制で薬草が見付からずお金が貰えない事もある仕事(クエスト)より、安全で、必ず賃金が貰えてお昼ご飯も出て、薬草採取より賃金が高いとなれば誰も文句は言わないだろう。
ムフフフ、福祉厚生は手厚くしているのですよ!しかも冒険者最高ランクのレイが時々、初心者冒険者の面倒を見てくれるとなれば大人気のクエストになるのに時間は掛からなかった。
ちなみに、一定期間このクエストを行うとここの薬草で作られたポーションも貰える特典が付くのである。初心者冒険者にはありがたいクエスト(仕事)なのだ。
夜には盗賊から薬草園を守るクエストも別であるので、初心者冒険者達は実践の雰囲気も学べるオマケ付き。
この場所以外では薬草栽培に成功した所はなく、日々遠くからポーションの買い付けに来る商人が後を絶たない。
そして、大量の薬草が自由に使えるようになった事で、薬草成分の研究する【薬学】が発達したのは嬉しい誤算であった。シオンは昼は薬草の栽培、夜は薬学の研究と忙しい時間を送っていた。
そして今までは教会などでしか販売されていなかった上級ポーション(ハイポーション)や、解毒に効くキュアポーションなど低価格での開発、販売に成功した。流石に教会から抗議文が送られ、魔女として告発された時は焦ったが、多くの冒険者達や一般市民からの抗議デモが各地で起こり、教会は地位を失墜させシオン護られることになった。
うむ、どこの時代でも出る杭は打たれるものなのですね。
こうして、一部では危ない事もあったが、1人の少女が始めた薬草栽培が後に、辺境の街を発展させ、『薬学の聖地』として長く賑わうのであった。
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