悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

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戦争の始まり

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騎士団長は部下からの報告を聞いて、耳を疑った。

「なんだと!?」

「帝国が南に兵を集めています!数は5千ほど!」

アクエリアス家に帝国の姫であるレイラ公爵婦人が嫁いでから、帝国と王国はほとんど小競り合いもなく10年以上は良好な関係を築いていた。
それも、レイラ公爵婦人がデルタ公爵にベタ惚れで、自分の娘も天使のように可愛がっているのは帝国でも良く知られていたからだ。
これが下級貴族なら関係ないが、帝国の姫が幸せに暮らしている国に、理不尽に攻め込んだりは出来ないからだ。

なのに何故?と、言う話しになるが、心当たりがありすぎる騎士団長は苦虫を噛んだような顔をして顔を歪めた。

「帝国の元姫の娘を不当に扱った報復と考えるのが妥当か…………それに、アクエリアス家の引っ越しも先日、完了したと聞いたからな。憂いなく攻め込めるか………」

帝国が本気を出せば万の軍勢は出せるだろうが、今まで平和だったため、帝国に隣接する国境の守備兵の数は年々減っていった。
下手に国境に兵を増強すると、緊張感がでて軋轢を生むため、逆に減らすことで信用しているとアピールができ、貿易など友好関係になっていったのだ。

馬を走らせながら騎士団長は、己の息子が加担したシオン令嬢の修道院送りの悪行を再度後悔した。
馬を走らせている数は300ほど、残りの2千以上は徒歩のため、後から追いかける事になっていた。

「騎士団長!もし南の国境砦に着いたとしても、我々だけでは対処出来ません!」
「わかっている!しかし、我々が早急にたどり着いた事で帝国の進行が止まるかも知れん!」

騎士団長もこの騎馬隊のみで5千の帝国軍をどうにか出来るとは思っていなかった。ただ、騎馬隊は平原では無視出来ない攻撃力を持つため、圧力を掛ける事が出来れば良いと考えていた。無論、傷付いた仲間の救援も兼ねている。

こうして、徒歩3日の距離にある南の国境に1日で到着した騎士団長だったが、目の前の光景を見て顔を青くする事になった。

少し時間は遡る─

ヒューズ将軍が率いる帝国軍は、威力軍事演習を初めていた。

「言いか!これは皇帝直々からの命である!最近のぬるま湯に浸かった練習を忘れ、原点に立ち返り、本気で気合いを入れろ!!!」

歴戦の猛者であるヒューズ将軍と皇帝直々の命令であれば気合いを入れない訳にはいかない。下手をすれば減給や懲罰行きになるからだ。

「「「うおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!」」」

大地が震える程の雄叫びを上げながら、王国の国境砦の前で軍事演習が始まった。
演習以外に500の兵士を砦側に配置し、万が一、砦の200の兵が出て来ても対処出来るようにしていた。

気合いの入った帝国軍は万にも匹敵する気迫で、演習に身を投じた。
多彩な、軍の移動から始まり、右翼の型から左翼の型、扇状の型などの移行など、ヒューズ将軍の指示が的確なのと、良く訓練されているのがわかった。

そして、お互いの組手の演習に入った所で、王国の砦から白旗を持った兵士が帝国軍へやってきた。

「わ、私は使者として来ました。砦を預かる隊長から、降伏するとの事です!」

!?

ヒューズ将軍は目を開いて内心、驚いた。砦からみれば、これば軍事演習だとわかるはずだ。威力目的なのだが、何もせず降伏とは………せめて数日待てば王国から同数ほどの援軍も来るだろうに。演習を初めて数時間で降伏するとは思っていなかったのだ。

「………これは困った」

あくまでも南に王国の意識を向けさせる事が目的であり、本気で砦を奪って戦争をする気はなかったのだ。少なくとも帝国側は。
しかし、それを知るのはヒューズ将軍とその側近のみであり、末端の兵士は自分達の気迫が王国をビビらせて、無条件降伏させたと気分が高揚していた。

「皇帝陛下も王国軍が来たら迎撃せよと言っていたしな。砦は貰っておくか」

こうして、ヒューズ将軍は血を流さず南の国境砦を手に入れたのだった。

そして、王国騎士団長がやって来たときには、砦には帝国の旗が靡いていたのだ。

「もう落とされていたのか…………」

砦から目をやると、砦の兵士達がこちらに向かっていた。

「お前達!無事だったか!?」

砦に詰めていた兵士は王国の騎士団をみて喜んだ。

「何があった?」

1人の兵士が事の顛末を話した。砦を預かる隊長が、保身の為に無条件降伏したことを。そして誤算だったのは、一般兵は武器を取り上げて解放し、隊長クラスは捕虜にされたことを。

砦の隊長は抗議したがヒューズ将軍の一睨みで沈黙した。砦にはだいたい隊長クラスしか知らない抜け道や隠し部屋がある事が多いため、隊長クラスを捕縛し捕虜にしたのだ。貴族であれば身代金も請求出来るからだ。

辺境に飛ばされた無能隊長はそこまで頭が廻らなかったのである。

「クソッ!せめて籠城してくれれば、砦と外から挟撃出来たのに!」

すでに敵の手に落ちた砦を見つめながら、後方の次の街に撤退するのだった。





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