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5章:帝国観光ですよ!

烏合の衆とは良くいったものだ

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私達がジークの力になると盛り上がっていた頃、城塞都市では善戦していた。


「傷付いた者は即座に戻れ!ミノタウロスやオーガにはレベルの高い冒険者と後方より魔法で援護しろ!間違っても味方に当てるなよ!」


イルベルトの指示の下に、城門前では激しい攻防戦が繰り広げられていた!
城門前は開けた平原になって居たが、入口付近はちょっとした石垣で道が作られており、同時に侵入するには人数が制限されていた。帝国軍は横一列で隊列を組前進して、魔物を押し返した。しかし開けた場所に出てしまうと大型魔物の攻撃を避けることが出来なくなるため、冒険者と連携し、大型の魔物は冒険者が対応する形で帝国軍は小型魔物の掃討と、冒険者の援護に集中した形となった。

「ミノタウロス2匹撃破しました!城塞都市付近の見える範囲には居ません!」

「よし!良くやってくれた!冒険者を一度下げらせて休ませろ!帝国軍はそのまま魔物を狩りまくれ!」

「「「おおっ!!!!」」」


一見押している風に見えていたが、イルベルトとギルド長は気付いていた。ポーションも残り少なくなり、重傷者以外では使えなくなってきたことに。こちらは人数に限りがあるが、魔物はまだまだいる事に・・・

「くそっ!消耗が激しい!戦える者が少なくなってきた!」

城門の街の内側には怪我人で溢れていた。ある者は地面に横たわり、ある者は座り込んで痛みに耐えていた。

「イルベルト副官!1度、全部隊を街に戻しましょう!これでは持ちません!ミノタウロスのような大型の魔物が来なければ何とかなります!」

部下の助言にイルベルトも1度考え、決断する。

「そうだな、1度街に引いて傷の手当てと体力回復に努めるべきか・・・よし!全部隊に・・・」

イルベルトが撤退を合図しようとした所に、火急の伝令が届いた。

「大変です!オーガが多数接近しています!その後ろにはリザードマンやオークが多数続いています!」


!?


「くそっ!俺達が疲弊した所を狙ってきたのか!?魔物がそんな知恵を!?」


イルベルトは今回の魔物が、軍隊みたいに組織だった動きをしている事に驚愕していたが、戦争でいう、部隊の投入といい絶妙なタイミングでの増援といい、魔物を相手にしているよりは国同士の戦争をしている風に感じていた。


「すでに予備戦力は無い。疲弊したすでに出ている部隊で対処しなければならないが・・」

敵の軍勢を見る限り無理だ。数が違い過ぎる!

「全部隊撤退せよ!結界魔法が壊されるまで籠城戦に切り替える!」


イルベルトの声に、オーガ達がやってくる前に全部隊が街に戻る。後は結界魔法がいつまで持つか・・兎に角、時間を稼がないと。イルベルトが今後、どう対処するか考えていると見張りの兵から報告がきた!

「た、大変です!!!!東の方角よりやって来る軍勢を確認!貴族の私設軍及び帝国軍の軍旗を確認しました!!!!!」


遂に待っていた希望がやってきたのだった。

「やったぞ!援軍だー!!!」
「助かったんだ!!!」
「良かった!!!」
「生き抜いたんだ!!!」


城塞都市の冒険者、帝国軍、市民全てが喜びに満ちた。

しかし─



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
帝国貴族Side

勇み足でやって来た帝国貴族とその私設軍は、速い進軍速度で城塞都市の見える丘までやって来た。

「そろそろ見えて来る頃だな?」
「そうですね!我々が1番乗りのようですな!」


駆け足で応援にきた貴族達は、すでに魔物を倒した後の報奨に付いて考えていた。スタンピードと言っても、これだけの軍勢が居れば楽勝だと安易に考えていたのだ。複数の貴族達から集まった私設軍勢は300人ほどいるが、ただし正規で貴族に仕えている騎士は半数ほどであった。残りの半分は急遽、集めた傭兵であったのだ。

そして城塞都市を一望できる丘に差し掛かった所で魔物軍勢を確認した。


「な、なんだ!あの魔物の大群は!?」
「オーガやリザードマンなど上位魔物が多数いるぞ!」
「城塞都市城門が破壊されているぞ!・・・いや、魔方陣?結界魔法で防いでいるのか!」


魔物の軍勢を見て動揺する。この人数で魔物の軍勢にぶつかるのは自殺行為に等しい。名将なら少ない軍勢でゲリラ戦仕掛けたり、戦略的陣形取り、上手く魔物を削る事も出来ただろうが今回、1番乗りした貴族達にそんな気概は無かった。待って居れば、後方から次々に他の帝国軍が追い付いてきて3千名の軍勢となったのだが・・

「話が違うぞ!こんな魔物の大群に勝てる訳が無い!俺達は抜けさせてもらうぞ!」
「そうだ!私の傭兵団も抜けるからな!」


次々に傭兵達が逃げ出し、それを動揺している貴族達に止める手立ては無かった。

「ま、待て!契約違反だぞ!」
「そうだ!これまでの金を返せ!」

ここにきて、まだ状況の読めぬ貴族達の言う事を傭兵達が聞くわけもなく、気付けは私設軍勢は半数になっていた。そしてせっかくきた軍勢から次々に離脱者が出ていった所を城塞都市からも見えていた。

「逃げていく・・・」
「逃げやがった!?
「マジかよ!」
「俺達を見捨てるか・・」




城塞都市の冒険者や帝国軍、市民達の【希望】が【絶望】に変わった瞬間だった。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

シオン
「見苦しいですわね。まったく死ねばいいの」

愚者の声
「こら!言葉が悪いよ!」

シオン
「あんなクズ貴族どもに生きる価値はありませんわ!」

愚者の声
「それは同意するけど、善良な読者の皆様が読んでいるんだから・・ね?」

シオン
「私に指図しないでくれますか!存在する価値もない愚者が!」

愚者の声
「私の方が扱い酷くない!?」
( ノД`)
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