111 / 181
6章:スタンピード!
偵察も命懸けです
しおりを挟む
「明るくなって来たとはいえ、まだ薄暗い!魔物に目を光らせろ!手の空いている者は目についた魔物の駆逐に廻れ!」
イルベルトの指示の下、落とし穴の設置と周辺の魔物の駆逐に大忙しだった。イルベルトは魔の森からの土龍が通る可能性の高い道を計算し、その道筋に落とし穴を設置する。ただ、この作戦には大きな問題があった。いくら土龍がまだ現れていないとはいえ、ナーガの配下が見張っていて土龍の進行ルートを変える可能性があったのだ。
しかし、魔物の目を盗んで落とし穴を作るなんて不可能だった。故に、仮説を立てて賭けにでた。
まずナーガは土龍を誘導出来るが操れる訳ではない。よって、落とし穴があると分かっても避けて通れない可能性。
逆にある程度、土龍を動かせる事が出来ても、落とし穴を多く作りレインの魔法で視界を奪い誘導して落とす。
前者の案が1番犠牲の少なく土龍を倒せる可能性が高い。後者だと前回同様、土龍を正面から攻撃して落とし穴に誘導しないといけない。犠牲者が増えるだろう。しかし、現時点では賭けるしか無かったのだ。ナーガがどこまで土龍を動かせるかなどわからないからだ。
「絶対に城塞都市を守ってやるぞ!」
小さく呟くイルベルトに、揺るがない意思が見えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ー同時刻ー
魔の森に向かったリーゼン達は─
「流石はレイン様の魔法ですね。ここまで魔物の近くを通っても気付かれないなんて……」
「しかし、流石は帝国軍の斥候部隊ですね。匂いを消す薬剤なんてあるんですね?」
馬の後ろにいる斥候部隊の者が答える
「これは多分、王国軍でもあると思いますよ?」
「えっ!?マジで?」
リーゼンは驚いた声上げる。それをサクラが注意する
「こら、声が大きい!」
「あ、すまん」
斥候は馬の後ろで苦笑いをする
「フィリアス騎士団は精強で、優れた戦術を立てますが搦め手は使わないのですね」
「いえ、フィリアス騎士団もあります……この悩筋馬鹿が知らないだけです」
リーゼンはムッとした顔で言い返す
「誰が悩筋だ!」
「「お前だよ!」」
サクラとエミリアの声がハモった。そしてまたまた斥候達は苦笑いをするのだった。実は、飛龍騎士団のサクラには馴染み深い薬剤ではあるのだ。軽装装備で、色々な調査にはまず飛龍騎士団が駆り出されるからだ。逆に、赤龍騎士団は騎馬での移動が主で匂いを消す薬剤など使わないからだ。
「さて、無駄話はここまでだ。地響きが近付いてきたぞ。ちっ、馬が怯えて来やがった」
「ここは私が……」
『彼の者に何者にも挫けぬ勇気を!』
【ストロング・ハート!】
エミリアは魔法を使い、恐怖心に打ち勝つ心を強化する魔法を馬や自分達に使った。
「おい、エミリア!俺達には別に良いだろうが!」
「はぁ、だから悩筋は困る。斥候殿達もいるのだ。この魔法は精神支配の魔法にも対抗出来るので掛けておいて損はない」
「そういうことかよ!悪かった」
リーゼンも先の戦いで窮地に陥った事もあり素直に詫びる。土龍相手に自分がビビっていると勘違いしたのだ。
!?
「止まれ!」
急に停止したリーゼンに後ろにいたサクラとエミリアも止まる。
カーブになっていた道が開かれ、まだ遠いが夜明けが近付き明るくなってきた事で、リーゼン達も見えてきた。すると後ろから斥候が声を上げる。
「あれはまさか!?そんな!!!」
遠目スキルを持つ斥候の同様が激しかった。ストロング・ハートで大抵の事では動じない様になっていたにも関わらずにだ。
「おい!どうした!何が見えた!」
後ろ斥候にサクラは揺さぶり、問いただす。
「土龍が2体向かってきます!」
!?
「「なっ!?」」
流石のリーゼンやエミリアも絶句した。前回、1体倒すだけでどれだけの騎士達が死に、作戦を考えたどれだけシオンが心を痛めたか。
「ど、土龍は列を成して真っ直ぐ向かって来ています!」
「おい!あれを見ろ!?」
隣の別の斥候が何かを見つけたようだ。
「まだ何かあるのか!?」
リーゼンも切羽詰まった様子で尋ねる
「先頭の土龍の背に、ナーガらしき者が乗っています!」
「やっぱりあのタクシャカというナーガが操っているのかよ……」
「いえ!それで驚いたのではありません!土龍の周りにワイバーンが少なくとも5匹ほど飛んでいます!旋回するように土龍に合わせて動いているようです!?」
流石のフィリアス騎士団長達も青ざめた。ワイバーンは土龍よりは倒し易いが、鳥の様に自由に空を長時間飛ぶことができる。ワイバーン単体でも冒険者ギルドではAランクの依頼レベルである。それが【最低】5匹もいるという。
「急ぎ、戻るぞ!全速力でだ!」
皆、無言で頷き馬を走らせるのだった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
シオン
「ねぇ?ちょっと敵戦力を盛りすぎでは無いかしら?」
愚者の声
「私も書いてて思った!」
シオン
「だったら直しなさいよ!」
愚者の声
「だってめん……ごほん、シオンなら何とかしてくれるかなー?と思って」
シオン
ニッコリ♪
愚者の声
えっ?
シオン
「さぁ、土龍よ!この生け贄を捧げますわー!」
す巻き状態で吊るされてる
ぎゃあーーーーーーー!!!!!
イルベルトの指示の下、落とし穴の設置と周辺の魔物の駆逐に大忙しだった。イルベルトは魔の森からの土龍が通る可能性の高い道を計算し、その道筋に落とし穴を設置する。ただ、この作戦には大きな問題があった。いくら土龍がまだ現れていないとはいえ、ナーガの配下が見張っていて土龍の進行ルートを変える可能性があったのだ。
しかし、魔物の目を盗んで落とし穴を作るなんて不可能だった。故に、仮説を立てて賭けにでた。
まずナーガは土龍を誘導出来るが操れる訳ではない。よって、落とし穴があると分かっても避けて通れない可能性。
逆にある程度、土龍を動かせる事が出来ても、落とし穴を多く作りレインの魔法で視界を奪い誘導して落とす。
前者の案が1番犠牲の少なく土龍を倒せる可能性が高い。後者だと前回同様、土龍を正面から攻撃して落とし穴に誘導しないといけない。犠牲者が増えるだろう。しかし、現時点では賭けるしか無かったのだ。ナーガがどこまで土龍を動かせるかなどわからないからだ。
「絶対に城塞都市を守ってやるぞ!」
小さく呟くイルベルトに、揺るがない意思が見えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ー同時刻ー
魔の森に向かったリーゼン達は─
「流石はレイン様の魔法ですね。ここまで魔物の近くを通っても気付かれないなんて……」
「しかし、流石は帝国軍の斥候部隊ですね。匂いを消す薬剤なんてあるんですね?」
馬の後ろにいる斥候部隊の者が答える
「これは多分、王国軍でもあると思いますよ?」
「えっ!?マジで?」
リーゼンは驚いた声上げる。それをサクラが注意する
「こら、声が大きい!」
「あ、すまん」
斥候は馬の後ろで苦笑いをする
「フィリアス騎士団は精強で、優れた戦術を立てますが搦め手は使わないのですね」
「いえ、フィリアス騎士団もあります……この悩筋馬鹿が知らないだけです」
リーゼンはムッとした顔で言い返す
「誰が悩筋だ!」
「「お前だよ!」」
サクラとエミリアの声がハモった。そしてまたまた斥候達は苦笑いをするのだった。実は、飛龍騎士団のサクラには馴染み深い薬剤ではあるのだ。軽装装備で、色々な調査にはまず飛龍騎士団が駆り出されるからだ。逆に、赤龍騎士団は騎馬での移動が主で匂いを消す薬剤など使わないからだ。
「さて、無駄話はここまでだ。地響きが近付いてきたぞ。ちっ、馬が怯えて来やがった」
「ここは私が……」
『彼の者に何者にも挫けぬ勇気を!』
【ストロング・ハート!】
エミリアは魔法を使い、恐怖心に打ち勝つ心を強化する魔法を馬や自分達に使った。
「おい、エミリア!俺達には別に良いだろうが!」
「はぁ、だから悩筋は困る。斥候殿達もいるのだ。この魔法は精神支配の魔法にも対抗出来るので掛けておいて損はない」
「そういうことかよ!悪かった」
リーゼンも先の戦いで窮地に陥った事もあり素直に詫びる。土龍相手に自分がビビっていると勘違いしたのだ。
!?
「止まれ!」
急に停止したリーゼンに後ろにいたサクラとエミリアも止まる。
カーブになっていた道が開かれ、まだ遠いが夜明けが近付き明るくなってきた事で、リーゼン達も見えてきた。すると後ろから斥候が声を上げる。
「あれはまさか!?そんな!!!」
遠目スキルを持つ斥候の同様が激しかった。ストロング・ハートで大抵の事では動じない様になっていたにも関わらずにだ。
「おい!どうした!何が見えた!」
後ろ斥候にサクラは揺さぶり、問いただす。
「土龍が2体向かってきます!」
!?
「「なっ!?」」
流石のリーゼンやエミリアも絶句した。前回、1体倒すだけでどれだけの騎士達が死に、作戦を考えたどれだけシオンが心を痛めたか。
「ど、土龍は列を成して真っ直ぐ向かって来ています!」
「おい!あれを見ろ!?」
隣の別の斥候が何かを見つけたようだ。
「まだ何かあるのか!?」
リーゼンも切羽詰まった様子で尋ねる
「先頭の土龍の背に、ナーガらしき者が乗っています!」
「やっぱりあのタクシャカというナーガが操っているのかよ……」
「いえ!それで驚いたのではありません!土龍の周りにワイバーンが少なくとも5匹ほど飛んでいます!旋回するように土龍に合わせて動いているようです!?」
流石のフィリアス騎士団長達も青ざめた。ワイバーンは土龍よりは倒し易いが、鳥の様に自由に空を長時間飛ぶことができる。ワイバーン単体でも冒険者ギルドではAランクの依頼レベルである。それが【最低】5匹もいるという。
「急ぎ、戻るぞ!全速力でだ!」
皆、無言で頷き馬を走らせるのだった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
シオン
「ねぇ?ちょっと敵戦力を盛りすぎでは無いかしら?」
愚者の声
「私も書いてて思った!」
シオン
「だったら直しなさいよ!」
愚者の声
「だってめん……ごほん、シオンなら何とかしてくれるかなー?と思って」
シオン
ニッコリ♪
愚者の声
えっ?
シオン
「さぁ、土龍よ!この生け贄を捧げますわー!」
す巻き状態で吊るされてる
ぎゃあーーーーーーー!!!!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる