【改稿版】聖歌大戦!~君に捧げる鎮魂歌~

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第1章:歌姫の覚醒!

プロローグ1(挿絵あり

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(※タイトルイラストを少し直しました)

ミューズ大陸、ここは剣と魔法の世界。その中にもう1つ聖歌《せいか》という不思議な歌を唄う【歌人】《かじん》がいる。魔法使いよりも数が少ないが、国単位でどれだけの【聖歌】を唄える歌人を囲えるかで国の力が示される世界。

魔法使いは火、水、風、土などの4大元素を操り奇跡を起こす。戦いで使えば何人もの敵を同時に屠るだろう。しかし、聖歌は規模が違う。歌人自身には戦う力は無いが、一度唄えば100人、1千人、1万人もの人々を強化出来るのだ。無論、強化だけでは無く、攻撃の歌などもある。兎に角、単体では最強の戦略的能力を持っているのだ。

歌人は特別な魔詞ましを唄うことで効果を発揮する。すでにメジャーになっている歌も多いが、唄いなれて経験を積むとある日、頭の中に【魔詞】がメロディと共に浮かんでくるのだ。その魔詞はその人物の【固有聖歌】と言って、自分のオリジナルの聖歌である。オリジナルの聖歌を唄えて初めて一人前と呼ばれる。

さらに歌は1人で唄うより、演奏と一緒に歌った方が威力が上がる。故に、演奏楽団を組んで召し上げられるケースも多い。

かつて最強最悪の魔物が現れた時、歌人がその魔物を唄の力で封印した。後に、その歌人は【歌神】《かじん》と呼ばれるようになった。全ての歌人は頂点である【歌神】を目指して切磋琢磨するのだ。



これは歌人として、色々な者達から狙われる事になった少女シオンの奮闘記である。(多分)

大切な人々、大切な場所を守る為に戦う……?(疑問系)


そんなお話しです。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
大陸の南西にある国、エルネシア王国の、…………更に南西にある国の隅っこに、それなりに大きい街未満の村がありました。街と言うには小さく、村と言うには大きかった。まぁ、微妙な規模な村である。ここは海と【魔境】と呼ばれる大樹海が横に広がっており、冒険者達が魔物を狩り、その素材を商人や冒険者ギルドが買い取ることで村の経済が周り、他の村より大きくなっていきました。

しかし、王都からも離れているので大勢の冒険者で賑わうほどでも無かったのです。

大樹海は通称【魔境の森】と呼ばれ、森の入口に付近には弱い魔物や獣しか出ないため、新人冒険者が腕を磨くのに利用した。時々、ベテラン冒険者が王都の依頼で、魔境の森の奥に生えている貴重な薬草を取りにやって来たりしている。森の奥に入ると、魔物の強さは跳ね上がり最強種である龍なども時々、遠目で確認されている。

しかし、その強力な魔物を狩って、名声と珍しい素材を目当てに一攫千金を夢見る冒険者も後を絶たないのも事実であった。

そんな危険と隣合わせの村で育った少女がいた。

「あ~もっと大勢の人の前で歌いたいな~!」
「また言ってるの?シオン」

シオンは森の入口付近で、食糧になる木の実や薬草類を採取していた。シオンの側には幼馴染で1つ歳上のお姉さんであるミリアと、同年代の男の子クロウと3人でいつもの様に来ていた。

「シオンなんて酒場で歌っても、誰にも見向きもされないだろうぜ」
「何よ~!村や町、王都でも私の歌唱力で人々を虜にしてみせるわ!」

「はぁ………また始まったわ」

シオンとクロウの言い合いは日常茶飯事でいつもギャーギャーと言い合うのが日課になっている。しかし、いつもシオンが歌い始めると止まるのだ。

「よし!?気分を上げていこう!」


シオンは器用にも、指を鳴らしながらリズムを取り歌い出す。こうなるとクロウは黙って見守るだけになるのだ。

ラ~♪ラララ~~~♪

『暖かい日差しの中___安らぎを求めて

色香漂う鮮やかな食人花___目の前で見つめながら

勇気を出して飛び出そう!

退屈な採取に彩りを与える____さぁ、遊ぼう!

射程範囲をギリギリに____目の前で木の棒でつつく~♪』





シオンは歌の通りに、目の前に居た食人花をチョンチョンッとつついた。
ちなみに食人花と言っているが、大きさは1メールぐらいで主食は虫である。甘い匂いで虫類を誘うのだ。人間は余程の事がない限り、食べられる事はない。

シオンの声が辺りに響き渡り、歌い終わると二人の拍手が鳴った。

パチパチッ!パチパチッ!

「ってか、すぐ側に食人花がいるなら教えろよ!?」

シャー!と威嚇している食人花の近くから距離を取るクロウ。

「シオンの歌は最高ね。本当に気分が高揚してきたわ!」

クスクスと笑うミリア。

「シオンとミリアの感性を疑うが………まっ、退屈な採取の暇潰しぐらいにはなったかな?」

ノリツッコミの後に、相変わらず憎まれ口を叩くクロウにミリアは苦笑をしつつ、村へ戻るのだった。

村へ戻るとシオン達は冒険者ギルドへ向かった。

「こんにちはー!」

ギルドの扉を開けると、顔馴染みの受付嬢のカリンさんが出迎えてくれた。

「あら?シオンちゃんじゃないの!?待ってたわ!」




手招きしているカリンさんのカウンターの前まで来ると本題に入った。

「………今日はどんな物を納品してくれるのかしら?」

カリンはシオンの持ってくる物に興味津々であった。

現在、シオンは12歳である。冒険者ギルドには10歳から申込みが出来るようになり、もう2年間もコツコツと冒険者を続けている。…………

自分の小遣い稼ぎの為にですが。

基本的にシオン達は魔境の森で取れる薬草類を納品して収入を得ている。無論、家の手伝いの合間にでやっているが【ほぼ】薬草類の納品で小遣いを稼ぎ、欲しい物を買ったり、お金を貯めたりしている。
すでにシオンはちょっとした小金持ちなのだ。

「今日はこれねー!」

シオンは採取してきた薬草類を出した。

「ふむふむ…………普通の薬草ね?」
「そだよー?」


「でっ?本命は何?」

シオンがまだ持っているであろう採取物を早く出せと言わんばかりに声のトーンが低くなるカリンだった。

「最近のカリンさん怖いなー?担当を替えて貰おうかなー?」


ピキッ!ピキッ!


カリンはこれでもか!と、言うほどの笑顔でシオンの頭を鷲掴みした。

「イダダダダダ……………!?」




ジタバタ!ジタバタ!

アイアンクローを決められ、ジタバタするシオン。

「ふっふっふっ…………!毎度毎度!!!価値の低い薬草類から!とんでもない価値のある物を後から見せられる担当受付嬢の気持ちが分かるかーーーー!!!!」

……………カリンがキレた。





そう、シオンはカリンを驚かせようと毎度毎度、なかなか手に入らない物を後から見せて、『これの価値がわからないのー?』とバカにして隣の受付嬢にお願いしようかなー?とイタズラするのだった。しかし、最初の頃は凹まされていたカリンも耐久が付き、本来は御法度な制裁という名のアイアンクローを笑顔で仕掛けるようになったのだ。………実に学習しないシオンであった。

「本当に懲りない奴だな………」
「本当にねー」

ミリアは困ったものねー?とポーズを取り、クロウは毎度の事と呆れ顔だ。

『どうでも良いから早く助けてーーーー!!!!』

余りの痛さに涙目になっているシオンだった。そして解放されると頭を撫でながら暴力女ー!とブーブー!と言うシオンはまたまたアイアンクローを決められるのでした。







「はぁ………話が進まないのでそろそろ良いかしら?」
「はーい!」

元気に返事をするシオンに頭を痛めるカリンだった。

「でっ、本日のレア素材はこれだ!」

ババッン!!!!

と、いう効果音を口に出しながらもう1つの【レア素材】を出した。

「これはっ!?」
「へへっ!凄いでしょう!?」

シオンが取り出したのは、現代風に言えば【冬虫夏草】だった。セミの脱け殻の様な物に植物が生えている奴だ。この世界では滋養強壮剤として王公貴族から大変人気があり、かなりの高値で取引される。

「どこでこれを!?」
「森の入口の樹の根にあったよ?」

誰でも行ける森の入口に生えていただと!?その事実に驚愕するカリンだったが、すぐに冒険者ギルドの受付嬢としての顔になり査定に入った。


暫く経ち─

「シオン様、査定が完了致しました。どうぞ……」

カリンさんから手渡された金額は予想より多かった。薬草類は銀貨1枚で冬虫夏草は金貨1枚で買い取ってくれた。

「近年、冬虫夏草はなかなか市場に出回らなくなり価格が高騰しているのです。また見付けたら納品お願いしますね!」

カリンさんは受付嬢としての笑顔で対応した。…………………が、その後、シオンが冬虫夏草を幾つも出した事により笑顔が引きつった。

「でっ?いくらで買い取る?」

不敵に嗤うシオンにカリンは爆発し、またまたアイアンクローを喰らわせ、半泣きで1つ金貨2枚で買い取ったのだった。

「お買い上げありがとうございました」

貴族のように、スカートの端を手で持ち、綺麗なカテーシーをして冒険者ギルドを後にするシオンだった。後ろから2度と来るなー!とカリンさんの叫び声が聞こえたが、無視しときましょう。

ちなみにミリアとクロウは、シオンが遊んでいる間に隣の受付で換金を済ませていた。



さて、ここからが自由時間だよ!











◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「いやはや、すでに恒例となっている後書きコーナーです!」

シオン
「今回はしっかりファンタジー小説にしてくださいね?」

愚者の声
「失礼な!いつもファンタジー書いてるじゃん!」

シオン
「いつもコメディーの間違いでは?」

愚者の声
「え~と………今回は真面目にファンタジーを書いてます?」

シオン
「なんで疑問系なのよー!」

愚者の声
「ごめんなさーい!」



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