【改稿版】聖歌大戦!~君に捧げる鎮魂歌~

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第5章:激突!

亜人達の想い!

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少し時間は遡る─

亜人達がシルフィード領へ来てから1ヶ月ほど経った時だった。

「…………貴方、やっぱり動きがあるそうよ?」

深刻な顔でシルフィード領の当主であるカインに報告したのは、妻であるライラ・シルフィード婦人であった。

「帝国は技術者の融通など絡めてで接触してきたが、神国は力で攻めてくるか………」

カインとライラは亜人達の交流は視野に入れていた。そして上手くいけば技術の指導者として数人の亜人を連れてこれば良いなぁ~と思っていた。数人ぐらいなら何とでも言い訳ができたからだ。
しかし、シオンとレインは予想外……いや、予想以上に交渉を上手くまとめて、100人もの亜人達を連れて来てしまった。しかも、その後もどんどん増えてきているのだ。

そうなると、亜人を悪魔の使徒と言っている神国が黙ってはいない。早晩、戦を仕掛けてくるのは予想ができたのだ。

「大軍を動かすには時間が掛かるわ。幸い麦の収穫が終わったばかりよ。早くて半年内に侵攻してくると思うわ」

今から物資の収集をしては国民が飢えてしまう。次の収穫まで侵攻はないと予想した。

「私の考えは決まっている。ライラ、お前はどうなんだ?」

ライラは微笑んで答えた。

「私も貴方と同じ考えよ。亜人達……いいえ失礼な言い方ね。エルフの皆さんは素晴らしい装飾品を作り、弓矢の名手で魔法も得意。獣人達も人間より力が強くスタミナもあるので、遅くまで開拓に尽力してくれている。ドワーフの方は知っての通り、鍛冶で素晴らしい名刀を作ってくれている。大切なシルフィードの民よ!」

カインも頷き、亜人の代表者を呼んで話し合うことにした。

「戦争………ですか?」

明らかに顔色が悪くなった獣人にシルクが訴えた。

「我々をどうするおつもりですか?」

前回の様に、無駄に騒ぎ立てないのは成長した証拠であるだろう。シルクの胸の中には見捨てられるのでは?と、絶望が支配していた。

「そんなのは決まっている。応戦するさ!すでに亜人達はシルフィード領の国民だからな」

!?

「えっ?あ、あの!それは………我々の為に戦ってくれるのですか!?」

何を言われたのか理解できなく、亜人達はお互いの顔を何度も見た。

「無論だ。シルフィード領の全ての兵力を使って迎撃するつもりだ。ただ………申し訳ない!神国は大国だ。戦力差から考えて亜人達にも少しでいい、戦争に加わって欲しいのだ」

カインは悲痛な顔で代表者達をみた。

「君達はあくまでも技術支援で来て貰っている。拒否権はある。断って貰っても構わない」

シルクが口を挟んだ。

「どうしてそのような事を言うのですか!?我々亜人のせいで戦争が起ころうとしているのでしょう!それに戦力以外にも亜人が参加することでのメリットがあるからお話しを持ち掛けたのではないのですか!?」

シルクの言葉は的を得ていた。カインもシルクの成長に口元が揺るんだ。

「そうだ。戦争に亜人が参加することに意味がある。だが、強制はできない!だからお願いしたいのだ!」

カインのその紳士さに胸を打たれた。本当に我々の事を大切に思ってくれている事がわかったからだ。

「カイン卿、我々亜人は人と見掛けが違う為にほとんどの国で酷い待遇を受けていました。しかし、このシルフィード領は自国の民として受け入れてくれました。我々には第2の故郷と思っています!仕事もやりがいがあります!是非とも、協力させて頂きたい!」

亜人の代表者達の力強い言葉にカインも胸が熱くなった。しかし、一時の感情で大勢の亜人を危険に晒されたくはなかった。一度、戻って亜人達で話し合って欲しいといってその日は終わった。

後日、シルフィード領に来ている全ての亜人達が協力を求めて来たときは驚きを通り越して笑いだしたカインであった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「ちょっと前置きが長くなったけどようやく戦争に突入です!」

シオン
「さて、このギャグ小説でどんな戦争になるのやら?」

愚者の声
「ちょっと!ギャグじゃないよ?多分………きっと………」

シオン
「自信がないのはどうなのかしら?」




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