58 / 75
第5章:激突!
亜人達の想い!
しおりを挟む
少し時間は遡る─
亜人達がシルフィード領へ来てから1ヶ月ほど経った時だった。
「…………貴方、やっぱり動きがあるそうよ?」
深刻な顔でシルフィード領の当主であるカインに報告したのは、妻であるライラ・シルフィード婦人であった。
「帝国は技術者の融通など絡めてで接触してきたが、神国は力で攻めてくるか………」
カインとライラは亜人達の交流は視野に入れていた。そして上手くいけば技術の指導者として数人の亜人を連れてこれば良いなぁ~と思っていた。数人ぐらいなら何とでも言い訳ができたからだ。
しかし、シオンとレインは予想外……いや、予想以上に交渉を上手くまとめて、100人もの亜人達を連れて来てしまった。しかも、その後もどんどん増えてきているのだ。
そうなると、亜人を悪魔の使徒と言っている神国が黙ってはいない。早晩、戦を仕掛けてくるのは予想ができたのだ。
「大軍を動かすには時間が掛かるわ。幸い麦の収穫が終わったばかりよ。早くて半年内に侵攻してくると思うわ」
今から物資の収集をしては国民が飢えてしまう。次の収穫まで侵攻はないと予想した。
「私の考えは決まっている。ライラ、お前はどうなんだ?」
ライラは微笑んで答えた。
「私も貴方と同じ考えよ。亜人達……いいえ失礼な言い方ね。エルフの皆さんは素晴らしい装飾品を作り、弓矢の名手で魔法も得意。獣人達も人間より力が強くスタミナもあるので、遅くまで開拓に尽力してくれている。ドワーフの方は知っての通り、鍛冶で素晴らしい名刀を作ってくれている。大切なシルフィードの民よ!」
カインも頷き、亜人の代表者を呼んで話し合うことにした。
「戦争………ですか?」
明らかに顔色が悪くなった獣人にシルクが訴えた。
「我々をどうするおつもりですか?」
前回の様に、無駄に騒ぎ立てないのは成長した証拠であるだろう。シルクの胸の中には見捨てられるのでは?と、絶望が支配していた。
「そんなのは決まっている。応戦するさ!すでに亜人達はシルフィード領の国民だからな」
!?
「えっ?あ、あの!それは………我々の為に戦ってくれるのですか!?」
何を言われたのか理解できなく、亜人達はお互いの顔を何度も見た。
「無論だ。シルフィード領の全ての兵力を使って迎撃するつもりだ。ただ………申し訳ない!神国は大国だ。戦力差から考えて亜人達にも少しでいい、戦争に加わって欲しいのだ」
カインは悲痛な顔で代表者達をみた。
「君達はあくまでも技術支援で来て貰っている。拒否権はある。断って貰っても構わない」
シルクが口を挟んだ。
「どうしてそのような事を言うのですか!?我々亜人のせいで戦争が起ころうとしているのでしょう!それに戦力以外にも亜人が参加することでのメリットがあるからお話しを持ち掛けたのではないのですか!?」
シルクの言葉は的を得ていた。カインもシルクの成長に口元が揺るんだ。
「そうだ。戦争に亜人が参加することに意味がある。だが、強制はできない!だからお願いしたいのだ!」
カインのその紳士さに胸を打たれた。本当に我々の事を大切に思ってくれている事がわかったからだ。
「カイン卿、我々亜人は人と見掛けが違う為にほとんどの国で酷い待遇を受けていました。しかし、このシルフィード領は自国の民として受け入れてくれました。我々には第2の故郷と思っています!仕事もやりがいがあります!是非とも、協力させて頂きたい!」
亜人の代表者達の力強い言葉にカインも胸が熱くなった。しかし、一時の感情で大勢の亜人を危険に晒されたくはなかった。一度、戻って亜人達で話し合って欲しいといってその日は終わった。
後日、シルフィード領に来ている全ての亜人達が協力を求めて来たときは驚きを通り越して笑いだしたカインであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「ちょっと前置きが長くなったけどようやく戦争に突入です!」
シオン
「さて、このギャグ小説でどんな戦争になるのやら?」
愚者の声
「ちょっと!ギャグじゃないよ?多分………きっと………」
シオン
「自信がないのはどうなのかしら?」
亜人達がシルフィード領へ来てから1ヶ月ほど経った時だった。
「…………貴方、やっぱり動きがあるそうよ?」
深刻な顔でシルフィード領の当主であるカインに報告したのは、妻であるライラ・シルフィード婦人であった。
「帝国は技術者の融通など絡めてで接触してきたが、神国は力で攻めてくるか………」
カインとライラは亜人達の交流は視野に入れていた。そして上手くいけば技術の指導者として数人の亜人を連れてこれば良いなぁ~と思っていた。数人ぐらいなら何とでも言い訳ができたからだ。
しかし、シオンとレインは予想外……いや、予想以上に交渉を上手くまとめて、100人もの亜人達を連れて来てしまった。しかも、その後もどんどん増えてきているのだ。
そうなると、亜人を悪魔の使徒と言っている神国が黙ってはいない。早晩、戦を仕掛けてくるのは予想ができたのだ。
「大軍を動かすには時間が掛かるわ。幸い麦の収穫が終わったばかりよ。早くて半年内に侵攻してくると思うわ」
今から物資の収集をしては国民が飢えてしまう。次の収穫まで侵攻はないと予想した。
「私の考えは決まっている。ライラ、お前はどうなんだ?」
ライラは微笑んで答えた。
「私も貴方と同じ考えよ。亜人達……いいえ失礼な言い方ね。エルフの皆さんは素晴らしい装飾品を作り、弓矢の名手で魔法も得意。獣人達も人間より力が強くスタミナもあるので、遅くまで開拓に尽力してくれている。ドワーフの方は知っての通り、鍛冶で素晴らしい名刀を作ってくれている。大切なシルフィードの民よ!」
カインも頷き、亜人の代表者を呼んで話し合うことにした。
「戦争………ですか?」
明らかに顔色が悪くなった獣人にシルクが訴えた。
「我々をどうするおつもりですか?」
前回の様に、無駄に騒ぎ立てないのは成長した証拠であるだろう。シルクの胸の中には見捨てられるのでは?と、絶望が支配していた。
「そんなのは決まっている。応戦するさ!すでに亜人達はシルフィード領の国民だからな」
!?
「えっ?あ、あの!それは………我々の為に戦ってくれるのですか!?」
何を言われたのか理解できなく、亜人達はお互いの顔を何度も見た。
「無論だ。シルフィード領の全ての兵力を使って迎撃するつもりだ。ただ………申し訳ない!神国は大国だ。戦力差から考えて亜人達にも少しでいい、戦争に加わって欲しいのだ」
カインは悲痛な顔で代表者達をみた。
「君達はあくまでも技術支援で来て貰っている。拒否権はある。断って貰っても構わない」
シルクが口を挟んだ。
「どうしてそのような事を言うのですか!?我々亜人のせいで戦争が起ころうとしているのでしょう!それに戦力以外にも亜人が参加することでのメリットがあるからお話しを持ち掛けたのではないのですか!?」
シルクの言葉は的を得ていた。カインもシルクの成長に口元が揺るんだ。
「そうだ。戦争に亜人が参加することに意味がある。だが、強制はできない!だからお願いしたいのだ!」
カインのその紳士さに胸を打たれた。本当に我々の事を大切に思ってくれている事がわかったからだ。
「カイン卿、我々亜人は人と見掛けが違う為にほとんどの国で酷い待遇を受けていました。しかし、このシルフィード領は自国の民として受け入れてくれました。我々には第2の故郷と思っています!仕事もやりがいがあります!是非とも、協力させて頂きたい!」
亜人の代表者達の力強い言葉にカインも胸が熱くなった。しかし、一時の感情で大勢の亜人を危険に晒されたくはなかった。一度、戻って亜人達で話し合って欲しいといってその日は終わった。
後日、シルフィード領に来ている全ての亜人達が協力を求めて来たときは驚きを通り越して笑いだしたカインであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「ちょっと前置きが長くなったけどようやく戦争に突入です!」
シオン
「さて、このギャグ小説でどんな戦争になるのやら?」
愚者の声
「ちょっと!ギャグじゃないよ?多分………きっと………」
シオン
「自信がないのはどうなのかしら?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪
naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。
「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」
そして、目的地まで運ばれて着いてみると………
「はて?修道院がありませんわ?」
why!?
えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって?
どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!!
※ジャンルをファンタジーに変更しました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる