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第5章:激突!
真夜中の戦い!(挿絵あり)
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闇夜に紛れての進軍は思いの外うまくいっていた。
「なぁ?戻ってくる軍がないか?」
神国側の見張りの兵が、向かってくる松明に気付き同僚に話掛けた。
「ああ、斥候部隊が王国側に夜戦を仕掛けに行ったみたいだから帰還したんだろう?」
各部隊に作戦は通達されており、陣の防衛の見張りは交代で休ませる予定であった。
「ああ、明日の戦の為に疲れさせるって話だったな?俺も早く交代時間が来て寝たいぜ~」
欠伸をしながら答える。神国側では歌人も同行し、数も倍の人数が動員されているため、すでに勝利が確定している様子で緊張が薄れていた。そう、悪い意味でだ。
普段であるなら帰還する部隊があれば、どの部隊が帰還したか報告する義務があった。しかし、味方だと思い込んでいた見張りは、もう少し近付いてから報告しようと手を抜いた。まぁ今、外に出ている部隊は斥候部隊のみなので調べるまでもないとの判断であった。
ドドドドドッ!!!!
突然、地響きが聞こえてきて見張りの兵は音の方向に目をやった。
「な、なんだ!?」
「おい!騎馬隊が向かってこないか!?
「「「なに!!!!?」」」
多くの見張りが音の方向に目をやり、ようやく敵襲と気付いたが、すでに王国軍の騎馬隊は目前であった!
「て、敵襲!!!!」
カンカンカン!!!!
カンカンカン!!!!
激しく敵襲を知らせる鐘の音が鳴り響いた。
!?
ドガッ!!!
ワァー!ワァー!
ワァー!ワァー!
騎馬隊が神国の陣に踏み込み、縦横無尽に走り抜ける!その後に少し遅れて王国軍の歩兵隊が突撃を開始した。
「バカな!?どうしてここまでの接近に気が付かなかった!?」
軍を預かる神国軍、王国領遠征軍総司令官カーラン・ハードンは憤る!
「カーラン殿、今はどう対処するかの指示をお願い致します」
陣を強襲され浮き足だっている将軍とは対称に、同行してしたダーマの【大司教ガルド】が冷静に忠告した。
宗教国家であるが故に、軍部でも司祭、司教が強い発言権を持っていた。無論、軍の反乱を防止する意味もある。
「わかっている!準備の出来ている部隊は敵の迎撃に当たれ!寝ている者は急ぎ反対側へ集合させ、隊列を組ませろ!」
「「はっ!!!」」
指令室のテントに集まっていた官僚達はすぐに動き出した。数で勝っていても襲撃され、個別で対応しては各個撃破されるだけだ。時間を稼ぎ、その間に戦力を集中させ、隊列を組ませて応戦する形であった。
襲撃を許したとはいえ、的確な指示にガルドも頷き同意した。
「しかし、戦力が集まるまで被害が増えますな?」
陣といえ、軽く木の柵で囲っただけである。簡単に越えられて来れるし、夜間の守備に付いていて迎撃に参加した者は各個撃破の憂き目をみるだろう。
「まさか数で劣る王国が攻めてくるとは………斥候部隊は逃げる暇なく全滅したのだろうな」
「状況からそのようでしょう。勇敢な戦士に弔いを」
大司教ガルドは指を宙で切り、祈りを捧げた。
「大司教殿、さっそくで申し訳ないが【兵の命】を守る為にお願いできますかな?」
暗に歌人を使わせろと、将軍は言葉を濁していった。歌人は最大戦力であるが、教皇直轄の戦力であり、司教でなければ歌人に指示が出来ないようになっているのだ。
「畏まりました。我らが親愛ある歌人も、自国の兵士を、民を守るのになんの迷いもなくお手伝いする事でしょう!」
大司教ガルドは少し仰々しく腕を広げ将軍に語った。
「すでに、神国に遣わされた【歌人フレイ】は動いています。御安心下さいませ」
その言葉に将軍カーランは内心、悪態を付いた。
『相変わらず喰えない男よ!軍に居ればワシと同じ地位にいるであろうに』
顔には出さずに感謝を述べた。
「いつの間に!御助力、感謝いたす!」
将軍カーランも言葉早々に、テントを出て陣頭指揮を取るのであった。
将軍がテントを出るのと同じ頃、王国軍は陣の入口を破り果敢に攻めていた。
「神国が大勢を整える前に攻めて攻めて攻めまくれ!」
数多くあるテントに火矢や炎の魔法を放ち、神国側の陣は火の海になろうとしていた。神国側も急遽、対処に当たったが王国軍が総出で攻めて来たこともあり劣勢を余儀なくされていた。
「ぎゃっ!」
「グフッ!?」
彼方此方で神国側の兵が討ち取られていく。
「.....この戦、勝ったか?」
王国軍の司令官サイファーは戦況を見守りながら呟いた。
まだ油断は出来ないが、当初の予想以上の敵に損害を与えたからだ。これであれば撤退してくれる可能性が高くなる。そう考えて少し安堵した。
その時だった!
神国側の背後から歌が聞こえてきたのは!?
ざわっ!?
「撤退してくれれば良いものを!?全軍に通達!!!歌人に注意しろ!弓隊は歌人のいる方(歌の聞こえる方)に一斉射撃!!!」
弓隊は指示通り即座に歌の聴こえる方へ一斉射撃をした!
ブワっと弓矢が降り注ぐ前に、当然の突風により弓矢は弾かれた。
「歌人?いや、歌人を守る魔導師達か!?」
歌人フレイの周りには念入りに精鋭部隊のパラディン(聖騎士)や魔導師達が周りを固めていた。
これより神国側の反撃が始まる!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「イケイケーーー!!!!」
シオン
「前回と同じでバカの1つ覚えのように....」
愚者の声
「イケイケーーー!!!!」
シオン
「よっと、落とし穴を....」
愚者の声
「イケイ....ケ?」
あれ?
ドボンッ!?
「なぁ?戻ってくる軍がないか?」
神国側の見張りの兵が、向かってくる松明に気付き同僚に話掛けた。
「ああ、斥候部隊が王国側に夜戦を仕掛けに行ったみたいだから帰還したんだろう?」
各部隊に作戦は通達されており、陣の防衛の見張りは交代で休ませる予定であった。
「ああ、明日の戦の為に疲れさせるって話だったな?俺も早く交代時間が来て寝たいぜ~」
欠伸をしながら答える。神国側では歌人も同行し、数も倍の人数が動員されているため、すでに勝利が確定している様子で緊張が薄れていた。そう、悪い意味でだ。
普段であるなら帰還する部隊があれば、どの部隊が帰還したか報告する義務があった。しかし、味方だと思い込んでいた見張りは、もう少し近付いてから報告しようと手を抜いた。まぁ今、外に出ている部隊は斥候部隊のみなので調べるまでもないとの判断であった。
ドドドドドッ!!!!
突然、地響きが聞こえてきて見張りの兵は音の方向に目をやった。
「な、なんだ!?」
「おい!騎馬隊が向かってこないか!?
「「「なに!!!!?」」」
多くの見張りが音の方向に目をやり、ようやく敵襲と気付いたが、すでに王国軍の騎馬隊は目前であった!
「て、敵襲!!!!」
カンカンカン!!!!
カンカンカン!!!!
激しく敵襲を知らせる鐘の音が鳴り響いた。
!?
ドガッ!!!
ワァー!ワァー!
ワァー!ワァー!
騎馬隊が神国の陣に踏み込み、縦横無尽に走り抜ける!その後に少し遅れて王国軍の歩兵隊が突撃を開始した。
「バカな!?どうしてここまでの接近に気が付かなかった!?」
軍を預かる神国軍、王国領遠征軍総司令官カーラン・ハードンは憤る!
「カーラン殿、今はどう対処するかの指示をお願い致します」
陣を強襲され浮き足だっている将軍とは対称に、同行してしたダーマの【大司教ガルド】が冷静に忠告した。
宗教国家であるが故に、軍部でも司祭、司教が強い発言権を持っていた。無論、軍の反乱を防止する意味もある。
「わかっている!準備の出来ている部隊は敵の迎撃に当たれ!寝ている者は急ぎ反対側へ集合させ、隊列を組ませろ!」
「「はっ!!!」」
指令室のテントに集まっていた官僚達はすぐに動き出した。数で勝っていても襲撃され、個別で対応しては各個撃破されるだけだ。時間を稼ぎ、その間に戦力を集中させ、隊列を組ませて応戦する形であった。
襲撃を許したとはいえ、的確な指示にガルドも頷き同意した。
「しかし、戦力が集まるまで被害が増えますな?」
陣といえ、軽く木の柵で囲っただけである。簡単に越えられて来れるし、夜間の守備に付いていて迎撃に参加した者は各個撃破の憂き目をみるだろう。
「まさか数で劣る王国が攻めてくるとは………斥候部隊は逃げる暇なく全滅したのだろうな」
「状況からそのようでしょう。勇敢な戦士に弔いを」
大司教ガルドは指を宙で切り、祈りを捧げた。
「大司教殿、さっそくで申し訳ないが【兵の命】を守る為にお願いできますかな?」
暗に歌人を使わせろと、将軍は言葉を濁していった。歌人は最大戦力であるが、教皇直轄の戦力であり、司教でなければ歌人に指示が出来ないようになっているのだ。
「畏まりました。我らが親愛ある歌人も、自国の兵士を、民を守るのになんの迷いもなくお手伝いする事でしょう!」
大司教ガルドは少し仰々しく腕を広げ将軍に語った。
「すでに、神国に遣わされた【歌人フレイ】は動いています。御安心下さいませ」
その言葉に将軍カーランは内心、悪態を付いた。
『相変わらず喰えない男よ!軍に居ればワシと同じ地位にいるであろうに』
顔には出さずに感謝を述べた。
「いつの間に!御助力、感謝いたす!」
将軍カーランも言葉早々に、テントを出て陣頭指揮を取るのであった。
将軍がテントを出るのと同じ頃、王国軍は陣の入口を破り果敢に攻めていた。
「神国が大勢を整える前に攻めて攻めて攻めまくれ!」
数多くあるテントに火矢や炎の魔法を放ち、神国側の陣は火の海になろうとしていた。神国側も急遽、対処に当たったが王国軍が総出で攻めて来たこともあり劣勢を余儀なくされていた。
「ぎゃっ!」
「グフッ!?」
彼方此方で神国側の兵が討ち取られていく。
「.....この戦、勝ったか?」
王国軍の司令官サイファーは戦況を見守りながら呟いた。
まだ油断は出来ないが、当初の予想以上の敵に損害を与えたからだ。これであれば撤退してくれる可能性が高くなる。そう考えて少し安堵した。
その時だった!
神国側の背後から歌が聞こえてきたのは!?
ざわっ!?
「撤退してくれれば良いものを!?全軍に通達!!!歌人に注意しろ!弓隊は歌人のいる方(歌の聞こえる方)に一斉射撃!!!」
弓隊は指示通り即座に歌の聴こえる方へ一斉射撃をした!
ブワっと弓矢が降り注ぐ前に、当然の突風により弓矢は弾かれた。
「歌人?いや、歌人を守る魔導師達か!?」
歌人フレイの周りには念入りに精鋭部隊のパラディン(聖騎士)や魔導師達が周りを固めていた。
これより神国側の反撃が始まる!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「イケイケーーー!!!!」
シオン
「前回と同じでバカの1つ覚えのように....」
愚者の声
「イケイケーーー!!!!」
シオン
「よっと、落とし穴を....」
愚者の声
「イケイ....ケ?」
あれ?
ドボンッ!?
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