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第5章:激突!
援軍到着!
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痛み分けで終わった真夜中の戦闘から一夜明けた。神国軍はテントを燃やされ、物資を失ったのと、負傷者の手当てや死者の埋葬の為などで3日間その場から動けなかった。
そして、その3日間の間に物語りは動きだす。
そう、シルフィード領から援軍が到着したのだ。砦に到着したカインは驚いた!すでに戦闘の後だったからだ。
カイン達の到着が遅れたのには訳があった。神国側の妨害工作の為に遅れたのだ。
盗賊を装い、砦の後方にある近隣の村などを襲って、砦から援軍を出させて戦力を分散させる予定であったのだ。
そこを通り掛かったシオン達が寄り道をして、サクッと倒したのだ。首謀者には逃げられたが、これで後方の憂いはなくなった。
「到着が遅れてしまい申し訳ない!シルフィード領当主カイン・シルフィードだ。援軍にきた!」
すぐに主要なメンバーは【国境砦ネバー】の執務室へと通された。シオンと一部のメンバーは砦の兵士の治療の方へ廻り、夜戦病院の方へ向かった。部屋が足りなく、砦の中庭にテントを張り負傷者を寝かせていたのだ。
「ようこそ!すでに話しは聞いています。盗賊に扮した神国軍を倒して頂いたそうで、本当に感謝致します!」
執務室でカインとサイファーは固く握手を交わした。
「恥ずかしい話しですが、近隣の村が襲われていても、砦から兵を出せない状態でしたので本当に助かりました」
カインはすでに負傷者の多い砦の兵士に付いて尋ねた。
「それはいい、当然の事をしただけだ。それより、1度戦ったと聞いたが?」
サイファーは一瞬、話すのを躊躇したが静かに話し始めた。
「先日の話しになります。実は─」
サイファーは真夜中に奇襲を掛けた事を話した。
「よく戦力が劣っている状態で討ってでたな?素晴らしい判断だと思うぞ」
カインは感心した様子でサイファーを褒め称えた。しかしサイファーの表情は堅かった。
「最初は上手くいき、斥候部隊を殲滅し神国の駐屯する陣を強襲しました。完全に虚を付き、神国に大打撃を与える事が出来ました。そしてその時点で作戦は成功したかに思われました。ある程度損害を与えれば、撤退すると思ったからです」
カインを始め、他の者もサイファーの考えに頷いた。
「しかし、途中から歌人が動き出し歌人1人にこちらも多大な被害を被り、撤退を余儀無くされました。歌人の力を警戒していたのですが、想像以上の力でした………」
力なく項垂れるサイファーに歌人の力(能力)を確認した。なんでも歌人としては珍しく攻撃系の聖歌を唄うらしい。属性は火であり、自在に形も変えられるそうだ。
「強敵だな、鋼鉄の盾や鎧をものともせずこちらの兵士を屠るのか………」
「ええ、真夜中だったのでより鮮明に火の鳥など見えました。唯一、魔導師の防御魔法で防ぐ事が出来たのが収穫でしたね」
サイファーの言葉にカインは顔上げた。
「歌人の聖歌は魔法で防げるのですか?」
「恐らくは。しかし、歌人は別の魔詩を唄い炎の形を変えてきます。広範囲攻撃には火の鳥を、一撃重視では火の魔人をおそらくまだ姿を変えられると思われます」
う~む………
腕を組み、考えるカインであったが問題はすでに解決していた。
「相手は負傷者を含めて9千と言ったところか?こちらは援軍を含めて5千あるか無いか、勝ったな!」
!?
「カイン殿!どういう事ですか!?あの強大な力を持つ歌人に勝てると?そして倍近くの兵力に勝算があると?」
サイファーは声を上げて尋ねた!サイファーの考えではまともに戦っては勝てない。なので兵站を狙い、食糧を枯渇させ神国を撤退させる考えでいたのだ。
「こちらには歌人が2人いる。敵の歌人の能力を封じ込める事が出来るだろう。そしてもう1人の歌人で味方の兵の能力を底上げして戦えば勝てる!」
驚愕したサイファーは空いた口が塞がらなかった。
「まさか、王都で噂になった【歌神】シオンを連れてきたのですか!?まだ年端もいかない女の子でしょう!」
サイファーは女、子供が戦争に参加するのには反対であった。
「貴方は自分の娘が人殺しをするのを認める………「黙れ!!!!」
カインは怒りと殺気を露にしてサイファーの言葉を遮った!
「貴様に何がわかる!誰が好き好んで娘を危険に晒し、人殺しの手伝いをさせるか!」
カインの本気の殺気に、サイファーもたじろいだ。
「私は反対した!しかし………娘の意思は固かったのだ。自分が亜人を大量に連れてきたせいで戦争が起こり兵士が死ぬ。その事に心を痛めていたのだ………」
「そんな………申し訳ありませんでした!失言でした。深く謝罪致します!」
サイファーは拳を強く握り僅かに震えているカインをみて間違っていたのは自分だと思った。カインの言う通り、自分の子供を誰も戦争になど連れてきたくはないのだ。
こうして、サイファーは頭を下げ神国との戦いについてカインと話し合うのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「なかなかストーリーが進まないなぁ~」
シオン
「当たり前ですわ!サクッと殺っちゃて、サクッっと終わりませんわ!」
愚者の声
「私、血生臭い話しは嫌いなんだけど?」
シオン
「どうしてこの話しを書いた!?全否定するな!」
ガフッ!?
そして、その3日間の間に物語りは動きだす。
そう、シルフィード領から援軍が到着したのだ。砦に到着したカインは驚いた!すでに戦闘の後だったからだ。
カイン達の到着が遅れたのには訳があった。神国側の妨害工作の為に遅れたのだ。
盗賊を装い、砦の後方にある近隣の村などを襲って、砦から援軍を出させて戦力を分散させる予定であったのだ。
そこを通り掛かったシオン達が寄り道をして、サクッと倒したのだ。首謀者には逃げられたが、これで後方の憂いはなくなった。
「到着が遅れてしまい申し訳ない!シルフィード領当主カイン・シルフィードだ。援軍にきた!」
すぐに主要なメンバーは【国境砦ネバー】の執務室へと通された。シオンと一部のメンバーは砦の兵士の治療の方へ廻り、夜戦病院の方へ向かった。部屋が足りなく、砦の中庭にテントを張り負傷者を寝かせていたのだ。
「ようこそ!すでに話しは聞いています。盗賊に扮した神国軍を倒して頂いたそうで、本当に感謝致します!」
執務室でカインとサイファーは固く握手を交わした。
「恥ずかしい話しですが、近隣の村が襲われていても、砦から兵を出せない状態でしたので本当に助かりました」
カインはすでに負傷者の多い砦の兵士に付いて尋ねた。
「それはいい、当然の事をしただけだ。それより、1度戦ったと聞いたが?」
サイファーは一瞬、話すのを躊躇したが静かに話し始めた。
「先日の話しになります。実は─」
サイファーは真夜中に奇襲を掛けた事を話した。
「よく戦力が劣っている状態で討ってでたな?素晴らしい判断だと思うぞ」
カインは感心した様子でサイファーを褒め称えた。しかしサイファーの表情は堅かった。
「最初は上手くいき、斥候部隊を殲滅し神国の駐屯する陣を強襲しました。完全に虚を付き、神国に大打撃を与える事が出来ました。そしてその時点で作戦は成功したかに思われました。ある程度損害を与えれば、撤退すると思ったからです」
カインを始め、他の者もサイファーの考えに頷いた。
「しかし、途中から歌人が動き出し歌人1人にこちらも多大な被害を被り、撤退を余儀無くされました。歌人の力を警戒していたのですが、想像以上の力でした………」
力なく項垂れるサイファーに歌人の力(能力)を確認した。なんでも歌人としては珍しく攻撃系の聖歌を唄うらしい。属性は火であり、自在に形も変えられるそうだ。
「強敵だな、鋼鉄の盾や鎧をものともせずこちらの兵士を屠るのか………」
「ええ、真夜中だったのでより鮮明に火の鳥など見えました。唯一、魔導師の防御魔法で防ぐ事が出来たのが収穫でしたね」
サイファーの言葉にカインは顔上げた。
「歌人の聖歌は魔法で防げるのですか?」
「恐らくは。しかし、歌人は別の魔詩を唄い炎の形を変えてきます。広範囲攻撃には火の鳥を、一撃重視では火の魔人をおそらくまだ姿を変えられると思われます」
う~む………
腕を組み、考えるカインであったが問題はすでに解決していた。
「相手は負傷者を含めて9千と言ったところか?こちらは援軍を含めて5千あるか無いか、勝ったな!」
!?
「カイン殿!どういう事ですか!?あの強大な力を持つ歌人に勝てると?そして倍近くの兵力に勝算があると?」
サイファーは声を上げて尋ねた!サイファーの考えではまともに戦っては勝てない。なので兵站を狙い、食糧を枯渇させ神国を撤退させる考えでいたのだ。
「こちらには歌人が2人いる。敵の歌人の能力を封じ込める事が出来るだろう。そしてもう1人の歌人で味方の兵の能力を底上げして戦えば勝てる!」
驚愕したサイファーは空いた口が塞がらなかった。
「まさか、王都で噂になった【歌神】シオンを連れてきたのですか!?まだ年端もいかない女の子でしょう!」
サイファーは女、子供が戦争に参加するのには反対であった。
「貴方は自分の娘が人殺しをするのを認める………「黙れ!!!!」
カインは怒りと殺気を露にしてサイファーの言葉を遮った!
「貴様に何がわかる!誰が好き好んで娘を危険に晒し、人殺しの手伝いをさせるか!」
カインの本気の殺気に、サイファーもたじろいだ。
「私は反対した!しかし………娘の意思は固かったのだ。自分が亜人を大量に連れてきたせいで戦争が起こり兵士が死ぬ。その事に心を痛めていたのだ………」
「そんな………申し訳ありませんでした!失言でした。深く謝罪致します!」
サイファーは拳を強く握り僅かに震えているカインをみて間違っていたのは自分だと思った。カインの言う通り、自分の子供を誰も戦争になど連れてきたくはないのだ。
こうして、サイファーは頭を下げ神国との戦いについてカインと話し合うのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「なかなかストーリーが進まないなぁ~」
シオン
「当たり前ですわ!サクッと殺っちゃて、サクッっと終わりませんわ!」
愚者の声
「私、血生臭い話しは嫌いなんだけど?」
シオン
「どうしてこの話しを書いた!?全否定するな!」
ガフッ!?
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