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自国の衰退
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ロイド王子の国が一段落して、シオン達は隣国を併合した。しかし、執務は元からあった王城を使い、スラリンの分身体で一瞬で行き来できるようにした。
元宰相さん………もとい、宰相に返り咲いたお爺さんはハキハキと政務を取り仕切り、ロイドのお父さんを救い出したら王位を譲ると言ってロイドが正式に王位を継いだ。
今は側室だったお母さんと元国王様は私の村……街で慎ましい暮らしをしている。でも二人とも楽しそうだった。
「さて、二人ともいいかな?」
珍しくお父さんと赤影さんが一緒にやってきた。
「どうしたの?」
「実はようやく我が国の王侯貴族達がここに攻めてくるようなんだ♪」
赤影さんはどうしてそんなに楽しそうに言うのだろうか?
「戦力は………ぷっ、くはははははっ!!!!」
ちょっと!笑わないで早く言ってよ!?
「赤影、笑い過ぎだ。まぁ、気持ちが分からんでもないが」
少しして、赤影さんが笑いながら涙目で答えた。
「戦力は1500人ほど。もしかしたら千人を切るかも知れないな」
えっ?
ロイドの国でも5万もの大軍だったのに?
うちの国力って隣国と同等だったよね?
「少な過ぎない?」
「だよな?事前の工作で各領地の人口が激変しているせいだな。経済はガタガタだし、1番の問題は食料不足だな。貴族達は農民を馬鹿にしていたが、国に取って1番重要な仕事をしていると理解していなかった。今まで農民が1番酷い目にあっていたので、真っ先に多くの農民がうちへ亡命してきた。するとどうなるか──」
シオンは挙手をして答えた。
「はいっ!荒れた田畑のみ残った?」
「うん、半分正解だ。詳しく言うと、誰も収穫する者が居なくなった事で今年の収穫高は例年の3割ほどだったようだ。すると他国から買付しないといけないが、経済がガタガタで税収も激減。他国も弱味に付け込んで通常の数倍の値段で吹っ掛けたようだ」
(まぁ、ジークが他国に売るなら値段を釣り上げるよう働き掛けたんだけどな)
邪竜を倒したジークのネームバリューは高いのだ。それを理解していないクズで馬鹿な王侯貴族の自業自得であった。
「そうなるといかに高位貴族でも死活問題ですね。自分が食べるのもやっとなのに、軍隊を動かすにも通常の数倍の食料が必要ですし、とてもまとまった食料を集める事はできなかったでしょうね」
パチンッと指を鳴らして正解!と赤影は拍手した。こいつ舐めてるでしょう!
「ふっ、落ち着け。それでなんとか軍隊を派遣するが、正直この程度では相手にもならん」
「そうだよね~あっさり蹴散らして終わりだよね~あ、赤影さんそれかっこ悪いから」
ガーーーン!!!
キザにカッコつけている赤影にダメだししてからお父さんに尋ねた。
「それで、お父さんはどう動くか考えているの?」
ジークは腕を組んで自分の考えを伝えた。
「多分なんだが、その軍隊はここまで来ないと思うぞ」
うん?何で???
首を傾げているシオンの頭を撫でながら、ジークは続けた。
「クズな奴らはここまで来たと思わせて、食料を持って逃げると考えている」
シオン達は『あっ!』となった。
「流石はジークだな。俺もそこまで考えて無かったわw」
「こちらに向かってくる千人は貴族の子弟ばかりだからな。平民に奪われたなど言って懐に入れるだろう」
今は宝石より食料の方が価値があるんだね~
こうして父ジークの考え通り、自国の軍隊はここに来る前に消えたのだった。
元宰相さん………もとい、宰相に返り咲いたお爺さんはハキハキと政務を取り仕切り、ロイドのお父さんを救い出したら王位を譲ると言ってロイドが正式に王位を継いだ。
今は側室だったお母さんと元国王様は私の村……街で慎ましい暮らしをしている。でも二人とも楽しそうだった。
「さて、二人ともいいかな?」
珍しくお父さんと赤影さんが一緒にやってきた。
「どうしたの?」
「実はようやく我が国の王侯貴族達がここに攻めてくるようなんだ♪」
赤影さんはどうしてそんなに楽しそうに言うのだろうか?
「戦力は………ぷっ、くはははははっ!!!!」
ちょっと!笑わないで早く言ってよ!?
「赤影、笑い過ぎだ。まぁ、気持ちが分からんでもないが」
少しして、赤影さんが笑いながら涙目で答えた。
「戦力は1500人ほど。もしかしたら千人を切るかも知れないな」
えっ?
ロイドの国でも5万もの大軍だったのに?
うちの国力って隣国と同等だったよね?
「少な過ぎない?」
「だよな?事前の工作で各領地の人口が激変しているせいだな。経済はガタガタだし、1番の問題は食料不足だな。貴族達は農民を馬鹿にしていたが、国に取って1番重要な仕事をしていると理解していなかった。今まで農民が1番酷い目にあっていたので、真っ先に多くの農民がうちへ亡命してきた。するとどうなるか──」
シオンは挙手をして答えた。
「はいっ!荒れた田畑のみ残った?」
「うん、半分正解だ。詳しく言うと、誰も収穫する者が居なくなった事で今年の収穫高は例年の3割ほどだったようだ。すると他国から買付しないといけないが、経済がガタガタで税収も激減。他国も弱味に付け込んで通常の数倍の値段で吹っ掛けたようだ」
(まぁ、ジークが他国に売るなら値段を釣り上げるよう働き掛けたんだけどな)
邪竜を倒したジークのネームバリューは高いのだ。それを理解していないクズで馬鹿な王侯貴族の自業自得であった。
「そうなるといかに高位貴族でも死活問題ですね。自分が食べるのもやっとなのに、軍隊を動かすにも通常の数倍の食料が必要ですし、とてもまとまった食料を集める事はできなかったでしょうね」
パチンッと指を鳴らして正解!と赤影は拍手した。こいつ舐めてるでしょう!
「ふっ、落ち着け。それでなんとか軍隊を派遣するが、正直この程度では相手にもならん」
「そうだよね~あっさり蹴散らして終わりだよね~あ、赤影さんそれかっこ悪いから」
ガーーーン!!!
キザにカッコつけている赤影にダメだししてからお父さんに尋ねた。
「それで、お父さんはどう動くか考えているの?」
ジークは腕を組んで自分の考えを伝えた。
「多分なんだが、その軍隊はここまで来ないと思うぞ」
うん?何で???
首を傾げているシオンの頭を撫でながら、ジークは続けた。
「クズな奴らはここまで来たと思わせて、食料を持って逃げると考えている」
シオン達は『あっ!』となった。
「流石はジークだな。俺もそこまで考えて無かったわw」
「こちらに向かってくる千人は貴族の子弟ばかりだからな。平民に奪われたなど言って懐に入れるだろう」
今は宝石より食料の方が価値があるんだね~
こうして父ジークの考え通り、自国の軍隊はここに来る前に消えたのだった。
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