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第20歩目 静観
平穏な舞台の裏側は……
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その翌日、何組かの客を残してツアーは次の目的地へと旅立った。
この日の予定は海辺から少し離れた場所にある湖へと向かい、遊覧船で湖をぐるりと回りながら、その中央に位置する離れ小島に向かうとのことだ。
朝を迎えて起きたフィオリアと共に食堂へ行くと、もはやお約束と言わんばかりにラミアが突撃してきた。
いつもどおりの塩対応で彼女をあしらう自分を横目に、フィオリアは昨夜の失礼を全力で詫びる。
それで、自分がフィオリアに何も話していないことを察したのだろう。
話の途中で何度か〝いいのかしら?〟と目だけで挑発的に問われたが、全部スルーさせてもらった。
そして、そんな態度を貫いたことで、こちらが昨夜の契約をきちんと履行するつもりだということが伝わったのだろう。
湖へ移動する馬車に、ラミアは同乗してこなかった。
それはおそらく、あちらも契約を履行してやるという意思表示だ。
フィオリアはやはりラミアが気分を害しているのではないかと狼狽えていたが、自分としてはありがたい限り。
少しばかり監視が緩んだ馬車で、仮眠を取らせてもらった。
(ここも人が多いな……)
湖の畔に到着した馬車から降りたシュルクは、そんな感想を抱く。
昨日のコテージも、今日の湖もそう。
ツアーの馬車が巡る場所には、ツアーに参加している客以外にも多くの観光客がいる。
何も知らなければ、まさかここが裏社会に支配された場所だなんて疑わない。
そう確信できるほどの活気だった。
ただ……事情を知っている自分としては、この舞台が薄ら寒くなってしまう。
表面だけを見るなら、ここは平和な土地そのもの。
たくさんの観光客で賑わうお祭りのような雰囲気は、皆の警戒心をほぼゼロにする。
そして、周囲にはこれだけの馬車がある。
仮にそのうちの一つが行方をくらましたとして、何人がそれに気付くだろうか。
これまでに見聞きした情報から、ラミアたちの犯行が組織的なものであることは明らか。
この馬車の群れがラミアたちの隠れ蓑として機能するなら、他の馬車を手配している業者やそれを利用している客も彼女たちの関係者である可能性は高い。
何も知らずに利用されているだけか。
はたまた、利益を分け与えてもらえる対価として、あえて目をつむっているのか。
その実態までは分からないけれども。
(……って邪推をしたところで、あいつに交渉を持ちかけた俺も同じ穴の狢だな。)
状況的には、これが最適解。
それは分かっていても、曲がったことが嫌いな性分が気分を沈ませる。
「………っ」
また胸に痛みが走ったような気がして、シュルクはきつく両目を閉じた。
この日の予定は海辺から少し離れた場所にある湖へと向かい、遊覧船で湖をぐるりと回りながら、その中央に位置する離れ小島に向かうとのことだ。
朝を迎えて起きたフィオリアと共に食堂へ行くと、もはやお約束と言わんばかりにラミアが突撃してきた。
いつもどおりの塩対応で彼女をあしらう自分を横目に、フィオリアは昨夜の失礼を全力で詫びる。
それで、自分がフィオリアに何も話していないことを察したのだろう。
話の途中で何度か〝いいのかしら?〟と目だけで挑発的に問われたが、全部スルーさせてもらった。
そして、そんな態度を貫いたことで、こちらが昨夜の契約をきちんと履行するつもりだということが伝わったのだろう。
湖へ移動する馬車に、ラミアは同乗してこなかった。
それはおそらく、あちらも契約を履行してやるという意思表示だ。
フィオリアはやはりラミアが気分を害しているのではないかと狼狽えていたが、自分としてはありがたい限り。
少しばかり監視が緩んだ馬車で、仮眠を取らせてもらった。
(ここも人が多いな……)
湖の畔に到着した馬車から降りたシュルクは、そんな感想を抱く。
昨日のコテージも、今日の湖もそう。
ツアーの馬車が巡る場所には、ツアーに参加している客以外にも多くの観光客がいる。
何も知らなければ、まさかここが裏社会に支配された場所だなんて疑わない。
そう確信できるほどの活気だった。
ただ……事情を知っている自分としては、この舞台が薄ら寒くなってしまう。
表面だけを見るなら、ここは平和な土地そのもの。
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そして、周囲にはこれだけの馬車がある。
仮にそのうちの一つが行方をくらましたとして、何人がそれに気付くだろうか。
これまでに見聞きした情報から、ラミアたちの犯行が組織的なものであることは明らか。
この馬車の群れがラミアたちの隠れ蓑として機能するなら、他の馬車を手配している業者やそれを利用している客も彼女たちの関係者である可能性は高い。
何も知らずに利用されているだけか。
はたまた、利益を分け与えてもらえる対価として、あえて目をつむっているのか。
その実態までは分からないけれども。
(……って邪推をしたところで、あいつに交渉を持ちかけた俺も同じ穴の狢だな。)
状況的には、これが最適解。
それは分かっていても、曲がったことが嫌いな性分が気分を沈ませる。
「………っ」
また胸に痛みが走ったような気がして、シュルクはきつく両目を閉じた。
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