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プロローグ お二人の歩みを教えてください
しおりを挟むズバリお聞きします。
お互い、恋に落ちた瞬間は?
今思い出しても、あのギャップは反則だと思う。
恋なんて大層なものに落ちた記憶はないですけど……この人があまりにも猪突猛進なもんで、一度取っ組み合いの喧嘩をしたことがありまして。
え…?
取っ組み合い…?
まあ、そこでぶつけられたセリフに納得させられて、しばらくは付き合ってやってもいいかと。
しばらくとはなんだ!?
まさか、私がそのうち飽きるとでも思ってたのか!?
うん。
私の性格を知ってるくせに、馬鹿げたことを言うな!!
この私が、一度目をつけた人間を逃すわけないだろうが!!
僕は、過去にあなたが諦めた人を二人も知ってる。
あの二人は別次元だーっ!!
あ、あはは……
評判どおり、本当に仲がいいんですね。
仲がいい…?
……まあ、それは普通に認めましょうか。
出会ってから何年経ったかはもう忘れましたが……僕が認める女性は、後にも先にもこの人だけですからね。
あら…♪
なあ!?
この可愛さは反則だと思わぬか!?
はいはい。
僕の自慢なんてくだらない話は、僕がいない所でやってください。
平常心で聞き流すのも疲れるんだから。
なんだ?
照れているのか?
……離婚届でも持ってきてあげようかな。
何!?
入籍して半年も経ってて、今こうして結婚発表特番の取材まで受けているのに、今さら覆すつもりか!?
大体、籍を入れるのを二年半も待ったのは、お前がセレニアから離れる気はないと言うからで…っ
そりゃ、あの時は国籍をルルアに移す予定じゃなかったからね。
っていうかさ、一緒に暮らしたいって言ってた割には、僕をドラゴン研究所のセレニア支部に飛ばして、所長を押しつけてきたよねぇ?
ルルアに行かないなら行かないで、都合よく使う気満々だったじゃない。
あれは、あくまでもお前の意思を尊重したからの指名だ!
一緒に暮らしたいのは山々だったが、あの時はお前に首輪をくくって離さない方が優先だったのだ!
で?
その首輪ってのがコレ?
あら!
それがアルシードさんが考案した、巷で大ブームになっている誕生木のネックレスですね!
ああ、そのとおり!
私もおそろいだ♪
きゃーっ!
違うデザインを持つのが普通だった誕生木のネックレスを、おそろいにするなんてーっ♪
デザインの由来とアルシードさんのプロポーズには、ルルア中の女性がもうメロメロですよ!!
恥ずかしいなぁ、もう……
ノアが余計なことを言うから……
だって!
ネックレスの意味を説明するには、必然的にプロポーズの話をするしかなかったのだ!!
よく言うよ。
気分が舞い上がった拍子に、うっかり言っちゃっただけでしょ。
そもそも、そのネックレスを見せなきゃよかったんだよ…っ
結婚指輪はないのかと訊かれて、私たちの誓いはネックレスでやったと答えたら、自然とネックレスを見せる流れになってしまったのだ。
まあ……自慢したかった気持ちもあったが……
そっちがメインになった結果がこれだよ。
……それにしても、色んな人からアルシードって呼ばれるの、まだしっくりこないな。
あなたのせいで、とんでもないカミングアウトをすることになっちゃいましたよ……
詰めが甘いな!
やっとこさ籍を入れるっていうのに、偽物の名前でなんて嫌だろう!
おかげで世間は大混乱だよ。
セレニアのマスコミが、未だにうるさいのなんのって。
じゃあ早いとこ、ルルアに逃げてきたらどうだ?
お前専用の研究室……じゃないな、研究棟を用意してやろう!
今となっちゃ魅力的な提案だけど、もう少し待ってて。
キリハ君に所長をバトンタッチするまでは、でしょ?
う、うむ……
それにしても、二十年前に他界したと思われていた薬学界の天才が本当は生きていて、それをノア様だけが知っていたなんて……物語のようにロマンチックなお話ですよね!
しかも、愛称という建前でずっと〝アル〟と呼んでいたなんて…っ
……なんか、話が盛られてない?
ノアだけなんて、そんな馬鹿な……
しかもしかも!
お互いの誕生木のネックレスを身につけるなんて、ルルアでは超・王・道・の! 永遠の愛を誓う証じゃないですか!!
もしかして、研究所や大統領御殿で事実婚と言われ始めた時にはもう…?
……実はな?
やだもう!!
〝出会いから三年半越しに実った恋、さらに二年半を経て秘密を明かしてのゴールイン!〟なんて言われてますけど、お二人の愛はずっと前から完成していたんですねーっ!!
むふふ…♪
まったく……
結婚なんて言っても、所詮契約書一枚の話ってだけで、何が特別ってわけでもないじゃん。
僕はセレニアで、ノアはルルアでっていうのも、キリハ君に所長を渡すまでは変わらないし。
でも確か、結婚を機にアルシードさんは、二ヶ月ごとに活動拠点を交互に切り替えていますよね?
ご両親と一緒に、ルルアに移住する準備も進めているとお聞きしましたが。
……まあ、両親も含めてルルアの国籍と永住権を獲得しましたからね。
復讐宣言もしましたし、嫌いなセレニアにい続ける理由はもうなくなったかなと。
セレニアの天才がルルアへ電撃移籍!
お二人のご結婚に先んじて、これも話題になりましたよね!
セレニアでの最初で最後の論文発表には、ルルアだけじゃなくて全世界が痺れましたよ!!
はっ。
僕と家族の人生をめちゃくちゃにしたセレニアになんか、美味しい利益をやるかってんですよ。
一本でも論文の帰属権を与えてやっただけ、十分に甘い対応だと思っていただきたいです。
……それに、さすがに大統領が長期的に自国を離れるわけにもいきませんし、合わせるなら当然、僕の方でしょう?
かーっ!
聞いたか、今の!?
これがセレニアでは、〝情報の覇者(悪魔)〟なのだぞ!?
ルルアの通り名である〝理想ですらも勝てない、世界一の旦那様(神)〟の方が、しっくりくると思わんか!?
カッコの中まで言わなくてよろしい。
セレニアでは鉄壁の笑顔で周りを震え上がらせるこいつが、ルルアでは丸い丸い。
さらに、二人きりになるとまあ幼い!
昨日だって―――もごごっ
口が軽くなりすぎだよー?
それに、幼いのはどっちで?
あなたに幼いと言われるほど、屈辱的なことはないんだけどぉー?
なっ!?
言ったな、おい!
帰ったら覚悟しておけ!
今日こそは、その議論に決着をつけてやる!!
へえぇー?
どう決着をつけるつもり?
大人のテクニックでなんて、今まで勝てたことないくせに。
あっ…
ふふふ、私をいつまでも御せると思うよ?
会えない間、あれやこれやと重ねてきた研究の成果、とくと味わえ!
そういう宣言がすでに幼いんだっての。
まあ……やれるもんならやってみなよ。
楽しみにしといてあげる。
この…っ
余裕ぶりおって…っ
実際余裕だもん。
まーた悔しがって、朝一からクッションで殴ったりしないでよね。
―――っ!!
お前のそのいちいち他人を煽らずにいられないところ、十分に幼いと思うがな!!
あーん!
お二人とも、お熱い世界から戻ってきてください!!
個人的にはものすごーく聞きたいんですけど、これ以上はメディアに出せませーん!!
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