竜焔の騎士【外伝】海を越えた大恋愛~北と南で同時に開く愛の花~

時雨青葉

文字の大きさ
2 / 86

プロローグ お二人の歩みを教えてください

しおりを挟む

 ズバリお聞きします。
 お互い、恋に落ちた瞬間は?


 今思い出しても、あのギャップは反則だと思う。


 恋なんて大層なものに落ちた記憶はないですけど……この人があまりにも猪突猛進なもんで、一度取っ組み合いの喧嘩をしたことがありまして。


 え…?
 取っ組み合い…?


 まあ、そこでぶつけられたセリフに納得させられて、しばらくは付き合ってやってもいいかと。


 しばらくとはなんだ!?
 まさか、私がそのうち飽きるとでも思ってたのか!?


 うん。


 私の性格を知ってるくせに、馬鹿げたことを言うな!!
 この私が、一度目をつけた人間をのがすわけないだろうが!!


 僕は、過去にあなたが諦めた人を二人も知ってる。


 あの二人は別次元だーっ!!


 あ、あはは……
 評判どおり、本当に仲がいいんですね。


 仲がいい…?
 ……まあ、それは普通に認めましょうか。


 出会ってから何年経ったかはもう忘れましたが……僕が認める女性は、後にも先にもこの人だけですからね。


 あら…♪


 なあ!?
 この可愛さは反則だと思わぬか!?


 はいはい。
 僕の自慢なんてくだらない話は、僕がいない所でやってください。
 平常心で聞き流すのも疲れるんだから。


 なんだ?
 照れているのか?


 ……離婚届でも持ってきてあげようかな。


 何!?
 入籍して半年も経ってて、今こうして結婚発表特番の取材まで受けているのに、今さら覆すつもりか!?
 大体、籍を入れるのを二年半も待ったのは、お前がセレニアから離れる気はないと言うからで…っ


 そりゃ、あの時は国籍をルルアに移す予定じゃなかったからね。
 っていうかさ、一緒に暮らしたいって言ってた割には、僕をドラゴン研究所のセレニア支部に飛ばして、所長を押しつけてきたよねぇ?
 ルルアに行かないなら行かないで、都合よく使う気満々だったじゃない。


 あれは、あくまでもお前の意思を尊重したからの指名だ!
 一緒に暮らしたいのは山々だったが、あの時はお前に首輪をくくって離さない方が優先だったのだ!


 で?
 その首輪ってのがコレ?


 あら!
 それがアルシードさんが考案した、ちまたで大ブームになっている誕生木のネックレスですね!


 ああ、そのとおり!
 私もおそろいだ♪


 きゃーっ!
 違うデザインを持つのが普通だった誕生木のネックレスを、おそろいにするなんてーっ♪
 デザインの由来とアルシードさんのプロポーズには、ルルア中の女性がもうメロメロですよ!!


 恥ずかしいなぁ、もう……
 ノアが余計なことを言うから……


 だって!
 ネックレスの意味を説明するには、必然的にプロポーズの話をするしかなかったのだ!!


 よく言うよ。
 気分が舞い上がった拍子に、うっかり言っちゃっただけでしょ。
 そもそも、そのネックレスを見せなきゃよかったんだよ…っ


 結婚指輪はないのかと訊かれて、私たちの誓いはネックレスでやったと答えたら、自然とネックレスを見せる流れになってしまったのだ。
 まあ……自慢したかった気持ちもあったが……


 そっちがメインになった結果がこれだよ。


 ……それにしても、色んな人からアルシードって呼ばれるの、まだしっくりこないな。
 あなたのせいで、とんでもないカミングアウトをすることになっちゃいましたよ……


 詰めが甘いな!
 やっとこさ籍を入れるっていうのに、偽物の名前でなんて嫌だろう!


 おかげで世間は大混乱だよ。
 セレニアのマスコミが、未だにうるさいのなんのって。


 じゃあ早いとこ、ルルアに逃げてきたらどうだ?
 お前専用の研究室……じゃないな、研究棟を用意してやろう!


 今となっちゃ魅力的な提案だけど、もう少し待ってて。
 キリハ君に所長をバトンタッチするまでは、でしょ?


 う、うむ……


 それにしても、二十年前に他界したと思われていた薬学界の天才が本当は生きていて、それをノア様だけが知っていたなんて……物語のようにロマンチックなお話ですよね!
 しかも、愛称という建前でずっと〝アル〟と呼んでいたなんて…っ


 ……なんか、話が盛られてない?
 ノアだけなんて、そんな馬鹿な……


 しかもしかも!
 お互いの誕生木のネックレスを身につけるなんて、ルルアでは超・王・道・の! 永遠の愛を誓う証じゃないですか!!
 もしかして、研究所や大統領御殿で事実婚と言われ始めた時にはもう…?


 ……実はな?


 やだもう!!
 〝出会いから三年半越しに実った恋、さらに二年半を経て秘密を明かしてのゴールイン!〟なんて言われてますけど、お二人の愛はずっと前から完成していたんですねーっ!!


 むふふ…♪


 まったく……
 結婚なんて言っても、所詮契約書一枚の話ってだけで、何が特別ってわけでもないじゃん。
 僕はセレニアで、ノアはルルアでっていうのも、キリハ君に所長を渡すまでは変わらないし。


 でも確か、結婚を機にアルシードさんは、二ヶ月ごとに活動拠点を交互に切り替えていますよね?
 ご両親と一緒に、ルルアに移住する準備も進めているとお聞きしましたが。


 ……まあ、両親も含めてルルアの国籍と永住権を獲得しましたからね。
 復讐宣言もしましたし、嫌いなセレニアにい続ける理由はもうなくなったかなと。


 セレニアの天才がルルアへ電撃移籍!
 お二人のご結婚に先んじて、これも話題になりましたよね!
 セレニアでの最初で最後の論文発表には、ルルアだけじゃなくて全世界がしびれましたよ!!


 はっ。
 僕と家族の人生をめちゃくちゃにしたセレニアになんか、美味しい利益をやるかってんですよ。
 一本でも論文の帰属権を与えてやっただけ、十分に甘い対応だと思っていただきたいです。


 ……それに、さすがに大統領が長期的に自国を離れるわけにもいきませんし、合わせるなら当然、僕の方でしょう?


 かーっ!
 聞いたか、今の!?


 これがセレニアでは、〝情報の覇者(悪魔)〟なのだぞ!?
 ルルアの通り名である〝理想ですらも勝てない、世界一の旦那様(神)〟の方が、しっくりくると思わんか!?


 カッコの中まで言わなくてよろしい。


 セレニアでは鉄壁の笑顔で周りを震え上がらせるこいつが、ルルアでは丸い丸い。
 さらに、二人きりになるとまあ幼い!
 昨日だって―――もごごっ


 口が軽くなりすぎだよー?
 それに、幼いのはどっちで?
 あなたに幼いと言われるほど、屈辱的なことはないんだけどぉー?


 なっ!?
 言ったな、おい!
 帰ったら覚悟しておけ!
 今日こそは、その議論に決着をつけてやる!!


 へえぇー?
 どう決着をつけるつもり?
 大人のテクニックでなんて、今まで勝てたことないくせに。


 あっ…


 ふふふ、私をいつまでも御せると思うよ?
 会えない間、あれやこれやと重ねてきた研究の成果、とくと味わえ!


 そういう宣言がすでに幼いんだっての。
 まあ……やれるもんならやってみなよ。
 楽しみにしといてあげる。


 この…っ
 余裕ぶりおって…っ


 実際余裕だもん。
 まーた悔しがって、朝一からクッションで殴ったりしないでよね。


 ―――っ!!
 お前のそのいちいち他人を煽らずにいられないところ、十分に幼いと思うがな!!


 あーん!
 お二人とも、お熱い世界から戻ってきてください!!
 個人的にはものすごーく聞きたいんですけど、これ以上はメディアに出せませーん!!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...