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ブレイクタイム2 これは、どう聞いても……
しおりを挟むウルドさん、書類の準備が……って、部屋に入らずにどうしたんです?
しー…
今は、邪魔しない方がよさそうだ。
……あ、大事なお話中ですか。
「あだだだだだっ!!」
なんか、不穏な空気になってきましたね…?
もう少し、様子を見ようか。
まずそうなら止めに入って―――
ガッチャーンッ
え…っ!?
アルシード君!?
ま、まさか怒りのあまり、ノア様に暴力を―――
いや、ちょっと待ちなさい。
バンッ
ガラガラガラ……
……これ、ノア様もやってるね。
ええ…?
ノア様…?
多分、あの二人なら多少の荒事になっても、立てなくなるような怪我まではしないだろう。
私たちは、ここで空気になっておくべきだ。
今入ったら、私たちの方が危ない。
た、確かに……
………
………!!
………、………っ
ねぇ、ウルドさん。
なんだい?
気のせいですかね?
話が進めば進むほど、アルシード君がノア様のことを好きなようにしか思えなくなってくるんですけど……
そうだねぇ……
あの子、さっきから一度もノア様を否定しないしねぇ。
むしろ〝仮に〟とか〝百歩譲って〟とかの前置きはつきますけど、ノア様からの指摘をほぼ全部認めてますよ?
口を開くほどに自分から告白しちゃってるって、気付いてないんでしょうか?
気付いてないだろうね。
ノア様も言っていたとおり、アルシード君は自分の気持ちに極端に鈍いんだ。
誰かが気付くきっかけを与えないと、それこそ兄の面影に押し潰されて、本当の気持ちが消えてしまうくらいに。
なんとも不憫な方ですね。
天才なのは幸でも不幸でもあると、彼を見ていたらよく分かります。
本当に、すごい生き方を選んだものだよ。
ただ……兄の仮面を被って大人になった分、本人としての精神年齢は、幼い時からさほど進んでいないようだね。
こんな、物を投げ合っての大喧嘩に走るなんて。
でも、その相手がいつまでも少年の心を忘れないノア様なわけですから……
まあ~、お似合いのお二人ですよね。
……それにしても、一向に収まらないね。
もう十五分は経ったか。
どうする?
この様子じゃ、契約書の締結は明日になりそうだ。
終電がなくなる前に、君たちは帰ってもいいよ。
いいえ。
もう帰るのも面倒なので、仮眠室で寝ますよ。
それに、個人的にはこの痴話喧嘩の結末を聞き届けたいです。
そうかい?
じゃあ、コーヒーでも買ってこようか。
………っ
………、………!!
…………!!
……あれ?
喧嘩はどこに行きました?
いつの間にか、何かを競い始めてますね……
………!!
…………!?
………………
あ、ようやく終わったっぽい。
笑い出した。
あー、ほらほら。
やっぱり二人とも、途中から何してたか忘れてたみたい。
どこまでもお子様のような二人だ……
だが、進展はあったようだね。
譲歩だなんだと言いながら、アルシード君が折れたようだ。
まあ、最初から勝ち目なんかなかったように思いますけどね。
確かに。
元々好意を抱いているなら、自覚した瞬間負けですもんね。
私としては、願ったり叶ったりだ。
アルシード君が開き直ってしまえば、今後は彼がノア様を上手くコントロールしてくれるはずだから。
我々としては、それが何よりも嬉しい…っ
ついでに天才科学者としての頭脳と、ここの防衛プログラムを攻略できるほどの技術力が手に入るんですから、美味しいことしかありませんよね。
本当に、あの仕返しには泣いた……
ノア様以上に、アルシード君の機嫌は損ねないようにしないと。
さて……
二人が部屋を出てくる前に、私たちは退散するとしよう。
どうせ聞き耳を立てられていることは察しているだろうけど、触れないのがお約束というやつだからね。
ですね、ですね。
邪魔者はさっさと消えましょう。
いんやぁ~、本当に……
ごちそうさまでした!!
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