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第6章 命の代償
募る焦り
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あれから、一週間あまりが過ぎた。
あの出来事以来、自分は桜理と一緒に暮らしている。
地球での生活など切り捨てた。
地球には影を置いておき、梨央も眠っているうちにさっさと家へ帰した。
一緒にいると言った自分に桜理は驚いていたが、そうしてくれるなら嬉しいと喜んでくれた。
それは社交辞令ではなかったらしく、桜理は慌てて自分の部屋の隣を使用人に整理させた。
整理しなくとも十分に綺麗だったのだが、桜理が全然使っていない部屋だから掃除をさせると言って聞かなかったのだ。
その日の夕方には、客室にあった自分の荷物も部屋に移動されており、どこから出てきたのか、自分のサイズに合う着替えまで用意してあった。
それからというもの桜理と常に一緒に過ごしているが、この一週間は自分にとって幸せであり、またつらい日々でもあった。
桜理本人から話を聞いたことを伝えた上で情報を求めると、それまで固く口を閉ざしていた人々がようやくその口を開いた。
千里眼を持つ桜を御神木として祀るサレイユの神殿。
古くから伝わる儀式を経てその桜から能力の一部を享受した者はサレイユの巫女と呼ばれ、各国の要人から多大なる信頼を得ているそうだ。
桜理を見つけたのは、当時はまだ存命だった先代の巫女。
朝の巡礼に向かった際に、木の根元で眠っている桜理を見つけたのだという。
当代の巫女しか出入りできない場所に、すでに能力を授かっている子供が一人。
きっと神に遣わされた特別な子に違いないと、巫女を含む神殿の全員が桜理を歓迎したそうだ。
そして、出会いが奇跡的だっただけに、桜理の成長速度が早いことも〝神の愛し子だから一般人とは違って当然だ〟と納得し、誰も疑問に思わなかったのだという。
神の器だと形容されている自分が大切に思っている桜理が神の愛し子とは、なんと皮肉なことか。
そんな複雑な気持ちもそこそこに、次はサレイユの巫女について話を聞いた。
そして―――それが、自分をさらなるどん底へと叩き落とす。
桜の能力を得る対価は、巫女の魔力。
それを休むことなく支払い続けるわけだから……当然、巫女は皆短命に終わる。
魔力が成長しきっていない子供のうちに契約を結ぶことがほとんどのため、契約から一年も経たずにこの世を去ってしまう者も珍しくないそうだ。
巫女を生き長らえさせる研究も行われたが、芳しい結果を出していないのが現状。
それを聞いて、全身の血がどこかへ消えていくようだった。
地球で生まれた桜理には、魔力がない。
ならば、桜理が桜との契約で代償にしているものは―――
巫女の実態を知るほどに、未来にあるのは桜理が告げる最悪の結末だとしか思えなくなる。
それを否定したくて、桜理を救う術を調べることに全力を注いだ。
海を隔てた離島の情報は、離島の中にしかあるまい。
皆が寝静まる夜にこっそり図書室へ行っては、本を読み漁った。
藁にもすがる思いで調べを進めるものの、有力な情報はなかなか得られなくて……
空回りばかりする焦りは、桜理と触れ合うほどに自分を急き立てる。
一度感じ取ってしまったからなのか、桜理から漂う枯れ木のような気配が、日を重ねるごとに強まっているのが分かるのだ。
それで危機感が煽られても、なす術もないままに時は流れていった。
たまたまこちらに顔を見せた拓也には、しばらくここにいる旨を伝えておいた。
拓也はここの図書館に眠る蔵書目当てに、時たま本を借りに来ては返しに来るを繰り返しているらしい。
読書好きの拓也らしいことだ。
読んだことのない本を目の前に、彼は珍しくご機嫌だった。
そのおかげでこちらの希望が簡単に通ったので、ありがたい限りである。
もちろん理由を訊かれたが、それは適当にごまかしておいた。
拓也が疑う素振りを見せなかったので、多分大丈夫だと思う。
そうして万全の状況で調べ物に身を砕いているのに、それに見合うだけの進展はない。
事態は一分一秒を争うというのに、何もできないまま別れの時が来てしまうの…?
恐怖を伴った焦りと苛立ちは、時間と共に募っていくばかりだった。
あの出来事以来、自分は桜理と一緒に暮らしている。
地球での生活など切り捨てた。
地球には影を置いておき、梨央も眠っているうちにさっさと家へ帰した。
一緒にいると言った自分に桜理は驚いていたが、そうしてくれるなら嬉しいと喜んでくれた。
それは社交辞令ではなかったらしく、桜理は慌てて自分の部屋の隣を使用人に整理させた。
整理しなくとも十分に綺麗だったのだが、桜理が全然使っていない部屋だから掃除をさせると言って聞かなかったのだ。
その日の夕方には、客室にあった自分の荷物も部屋に移動されており、どこから出てきたのか、自分のサイズに合う着替えまで用意してあった。
それからというもの桜理と常に一緒に過ごしているが、この一週間は自分にとって幸せであり、またつらい日々でもあった。
桜理本人から話を聞いたことを伝えた上で情報を求めると、それまで固く口を閉ざしていた人々がようやくその口を開いた。
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古くから伝わる儀式を経てその桜から能力の一部を享受した者はサレイユの巫女と呼ばれ、各国の要人から多大なる信頼を得ているそうだ。
桜理を見つけたのは、当時はまだ存命だった先代の巫女。
朝の巡礼に向かった際に、木の根元で眠っている桜理を見つけたのだという。
当代の巫女しか出入りできない場所に、すでに能力を授かっている子供が一人。
きっと神に遣わされた特別な子に違いないと、巫女を含む神殿の全員が桜理を歓迎したそうだ。
そして、出会いが奇跡的だっただけに、桜理の成長速度が早いことも〝神の愛し子だから一般人とは違って当然だ〟と納得し、誰も疑問に思わなかったのだという。
神の器だと形容されている自分が大切に思っている桜理が神の愛し子とは、なんと皮肉なことか。
そんな複雑な気持ちもそこそこに、次はサレイユの巫女について話を聞いた。
そして―――それが、自分をさらなるどん底へと叩き落とす。
桜の能力を得る対価は、巫女の魔力。
それを休むことなく支払い続けるわけだから……当然、巫女は皆短命に終わる。
魔力が成長しきっていない子供のうちに契約を結ぶことがほとんどのため、契約から一年も経たずにこの世を去ってしまう者も珍しくないそうだ。
巫女を生き長らえさせる研究も行われたが、芳しい結果を出していないのが現状。
それを聞いて、全身の血がどこかへ消えていくようだった。
地球で生まれた桜理には、魔力がない。
ならば、桜理が桜との契約で代償にしているものは―――
巫女の実態を知るほどに、未来にあるのは桜理が告げる最悪の結末だとしか思えなくなる。
それを否定したくて、桜理を救う術を調べることに全力を注いだ。
海を隔てた離島の情報は、離島の中にしかあるまい。
皆が寝静まる夜にこっそり図書室へ行っては、本を読み漁った。
藁にもすがる思いで調べを進めるものの、有力な情報はなかなか得られなくて……
空回りばかりする焦りは、桜理と触れ合うほどに自分を急き立てる。
一度感じ取ってしまったからなのか、桜理から漂う枯れ木のような気配が、日を重ねるごとに強まっているのが分かるのだ。
それで危機感が煽られても、なす術もないままに時は流れていった。
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