中途半端な俺が異世界で全部覚えました

黒田さん信者

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38,でーとなう

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38、でーとなう


「おっまたせー!」
 ネリアにオッケーを貰った私は、一度家に戻った。おめかしをするためね。
「ど、どんな服にしよう……」
 いつも来ている服よりも、とびきり可愛いのを!
 そう思った私は、クローゼットを乱雑に漁る。
「これでもない、あれでもない……」
 なんかどれもパッとしない……。
 服なんていつも、着れたらいいみたいな選考基準だったから、どれを選べばいいのかわからないよー!
 私がパニックを起こしかけたところ――
「あらぁ? どうしたのフェイウ? デート?」
 いきなり私の後ろの方から、楽しそうな声が聞こえてきた。
「おおおお、お母さん!? いつからそこに!?」
 ドアの方を見たらお母さんが!
「うふふ、最初から」
 すごく嬉しそうにぐふふと含み笑いをするお母さん。なんか悪い人みたいだから、よそでやるのは止めてね。本当に。
 お母さんは私と同じ銀髪で、顔もハッキリ言って似ている。ものすごく。本人たちが認めているんだから、間違いない。
「デートなんでしょ? ネリアくんと? そうなのー」
 まあ、性格も若干似てるけど……。
「勝手に話を進めないでよ! ……まあ、そうなんだけど」
「ひゅーひゅー!」
「もう! 今、服を選んでるとこなの! 出ていって! 時間無いし!」
 私がぐいぐいお母さんを押して、部屋の外に追い出そうとする。
「あらあら、いいのかしら? 服に迷える子羊ちゃん? 私の助言、欲しくない?」
「うっ……」
  ……欲しい。助言欲しいよ……。
「……アドバイスお願いします!」
 ははーっとお母さんに平伏する私。
「はぁ。我が娘なのに、どうして私のファッションセンスが受け継がれなかったのかしら……」
 悲しそうに目を伏せ、ため息をつくお母さん。
 そう、お母さんはものすごいオシャレ好き! どれくらい好きかって言うと、自分でファッションブランドを立ち上げるぐらい! しかも、お父さんよりも稼いでるから、もう一流ファッションデザイナーって呼んでもいいぐらい。
「でもぉ」
 一転、お母さんが楽しそうに拳を握りしめる。
「私にかかれば、フェイウをプリンセスに変えることは造作もないことなのよ!」
「……プリンセス?」
「そう! じゃ、脱いで」
「……へ?」
「そのダサい服を脱ぎなさい! 私の目に毒だわ!」
「きゃぁぁぁ!?」
 私が今着ている服を強制的に脱がせていく! やめてー!
「で、この服に着替える!」
 お母さんがささっと取り出したのは、フリルがたっぷりの、ピンクのゴスロリ調の服。それと、黒いチョーカー、黒いカチューシャ。
「あとは髪を梳かす! 全くもー、いつもそうやっていれば、もっと可愛いのに」
「ぐっ……め、めんどくさいじゃん?」
 ほら、髪を梳かす時間があったら寝てたいよね? 誰だってそうよね?
「……フェイウは女の子のなんたるかを理解していないわね……帰ってきたらたっぷり教えないと」
 靴を選びながら、ぼそっとつぶやくお母さん。こ、怖いよ……。
「はいっ! このハイヒール履いて! 足のサイズは私と同じでしょ? あとは……そうね! お化粧しましょう!」
 テキパキ必要なものを用意するお母さん。
「えぇー? もう時間無いからいいよぉ」
「馬鹿言わないの! ほら、そこ座って!」
 肩をガッチリと掴まれ、抵抗むなしく化粧台に連行される。
 お化粧なんて一度もしたこと無いから、恥ずかしいよ……。
 私のこんな思いを露知らずか、お母さんはノリノリでファンデーションを私の顔に塗りたくる。
「んー、やっぱり化粧ノリがぜんぜん違うわー。やっぱり、若いっていいわねー」
 と、アイライナーで線を引きながら呟くお母さん。
「いやいや、お母さんも十分若いからね?」
 この前なんて、ネリアが後ろ姿、私と間違えてたから。
 いや、もしかしたら初めて合う人に、私の姉ですって言っても、下手したら信じちゃうかも……。
「はい、最後に口紅。こんな最高級スタイリストのメイク、そうそう受けられないわよ。よし、完璧。さすが私」
 満足気に頷くお母さんは、化粧台の鏡を開いた。
「ご気分はどうですか、プリンセス?」
「…………すごい」
 もはや別人だった。いつものファッションセンス皆無の私なんてそこにいない。いるのは、超絶美少女。
「帰ってきたら、色々聞かせなさいよー」
 メイク道具をしまいながら、私に笑いかけるお母さん。
「ありがとお母さん!」
 私は意気揚々と家を出た。時間には遅れちゃったけど、大丈夫よね!




「この靴走りづらい~!」
 踵高すぎ! ハイヒールって初めて履いたけど、こんなに走りづらいものなの!?
 気がつくと、予定の時間をゆうに十五分は過ぎている。
「ご、ごめーん、遅くなっちゃった!」
 待ち合わせ場所の壁に寄りかかるネリアを見つけ、大声で呼ぶ。
「ったく、遅い……ぞ……」
 少しキレ気味のネリアが私を見て、ぽかんと間抜けに口を開けた。
「……フェイウ?」
「うん、そうよ! 私が天下無双のフェイウちゃんですっ!」
 これは凄い! ネリアが毒気を抜かれたかのように、目を丸くしたまま私を凝視してくる! お化粧の力って凄い!
「誰かと思ったぜ。……あまりにも可愛いから、怒りも消え失せちまった」
 キャーー! ネリアがデレた! やっぱりお化粧の力って凄い!
「じゃあ行こ? 目的地はもう決めてるの?」
 腕を絡め、ネリアにくっつく。
「お、おう、い、一応は……」
 ドギマギしながら答えるネリア。なんか新鮮で可愛い!
 ここからは私のターンよ!



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