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85,必殺技
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85,必殺技
「これからが勝負ってどういうことっすか?」
竜心が不思議そうな顔をする。
「後藤は攻撃が当たらないことにより動揺しています。なのであと少ししたら多分ですけど防御に徹すると思います」
「ん? ならいーじゃん。このまま殴っちゃえば」
シュシュとパンチをする奈美。
「いいえ、そんな簡単じゃありませんよ。ご主人の攻撃はほぼ効かない。つまり、一撃で仕留められなければカウンターを食らう可能性があります」
ネリアには決め技が無い。いわゆる必殺技と呼ばれるものだ。仮面ライダーで言えばライダーキック。キン肉マンで言えばキン肉バスター。大技は隙が大きいものの、当たればほぼ確殺だろう。しかし――
「ご主人は才能無しなので、どの格闘技も体術も必殺技と呼ばれる技まで至っていないんです」
防御している相手にはボディーへの攻撃は効かない。つなぎとしてのボディーブローなどは意味をなさないのだ。
「いや、大丈夫だろう、ネリアなら。知っていたか? この前、なにやら凄い技を使っていたぞ」
篤人が眼鏡をクイと上げる。
「ま、使えるかはわからないが、期待はして良いんじゃないか?」
「くっそ……」
俺は悪態をつく。
後藤は攻撃は分が悪いと悟ったのか、防御に徹しだした。たぶんカウンター狙いだろう。
(どうすっかな……)
俺には決め技が無い。これは致命的だ。しかし、攻めなければヤツを回復させるだけだ。
「とりあえず喰らえっ! 無形小破!」
ガードを貫通できるこの技なら、と思ったが――
「ぐっ……!」
ダメだ。筋肉馬鹿だろコイツ! 筋肉の壁が厚すぎて、俺の力じゃ貫通仕切れない。
「ふぅ。なんだ今の? こんなんじゃ、俺には勝てねぇぞ?」
無形小破を止めて、調子に乗る後藤。なら、堅実に――
「これならどーだ!」
足払いから、裏拳!
「……おいおい……なんだよこれ」
足払いの時点で詰んでいた。あまりの重量に足払いすら不可能だった。
(こりゃー正攻法じゃ勝てねぇな)
武器は使えない。魔法も……ダメだ。それはルールに反するだろ。最後にできることと言ったら――
(自爆特攻だな)
要は最後まで立っていれば勝ちなんだ。なら一撃もらっても、それ以上の技を当てる。
「もう最後にしようぜっ!」
俺は後藤に突撃する。一気に距離を詰める。そして拳を顔面にめがけ放つ。
「はっ! ついには自爆かよっ!」
ブゥンと拳が目の前に迫る。
(ここだっ!)
俺は自ら拳に顔を当てに行く。
「がっ……!」
いってぇぇぇぇぇぇぇ!
「なっ!」
後藤が驚いた顔をする。そりゃそうだ。自分から当たりに行くなんて、普通はやらない。だけど、俺はあえて当たりに行った。そうすることで、力が入る前のパンチを受けることができる。
そして、俺は殴りかけていた拳を解き、肩を掴んだ。
「おりゃーっ!」
後藤の体を踏み台にしてジャンプ! そして回転!
「喰らえやぁぁぁぁぁぁぁ!」
踵落とし!
重力と慣性の力だ!
「ぐはっ!」
俺の踵落としは後藤の脳天を貫いた。そして――
「なんだよ……そんなトリッキーなの、俺は知らねぇ……」
グラリと後藤の巨体が揺れる。
「お前の…………勝ちだ」
そして、後藤は倒れた。
「…………っしゃーーーー!」
俺は叫んだ、勝利を。
「これからが勝負ってどういうことっすか?」
竜心が不思議そうな顔をする。
「後藤は攻撃が当たらないことにより動揺しています。なのであと少ししたら多分ですけど防御に徹すると思います」
「ん? ならいーじゃん。このまま殴っちゃえば」
シュシュとパンチをする奈美。
「いいえ、そんな簡単じゃありませんよ。ご主人の攻撃はほぼ効かない。つまり、一撃で仕留められなければカウンターを食らう可能性があります」
ネリアには決め技が無い。いわゆる必殺技と呼ばれるものだ。仮面ライダーで言えばライダーキック。キン肉マンで言えばキン肉バスター。大技は隙が大きいものの、当たればほぼ確殺だろう。しかし――
「ご主人は才能無しなので、どの格闘技も体術も必殺技と呼ばれる技まで至っていないんです」
防御している相手にはボディーへの攻撃は効かない。つなぎとしてのボディーブローなどは意味をなさないのだ。
「いや、大丈夫だろう、ネリアなら。知っていたか? この前、なにやら凄い技を使っていたぞ」
篤人が眼鏡をクイと上げる。
「ま、使えるかはわからないが、期待はして良いんじゃないか?」
「くっそ……」
俺は悪態をつく。
後藤は攻撃は分が悪いと悟ったのか、防御に徹しだした。たぶんカウンター狙いだろう。
(どうすっかな……)
俺には決め技が無い。これは致命的だ。しかし、攻めなければヤツを回復させるだけだ。
「とりあえず喰らえっ! 無形小破!」
ガードを貫通できるこの技なら、と思ったが――
「ぐっ……!」
ダメだ。筋肉馬鹿だろコイツ! 筋肉の壁が厚すぎて、俺の力じゃ貫通仕切れない。
「ふぅ。なんだ今の? こんなんじゃ、俺には勝てねぇぞ?」
無形小破を止めて、調子に乗る後藤。なら、堅実に――
「これならどーだ!」
足払いから、裏拳!
「……おいおい……なんだよこれ」
足払いの時点で詰んでいた。あまりの重量に足払いすら不可能だった。
(こりゃー正攻法じゃ勝てねぇな)
武器は使えない。魔法も……ダメだ。それはルールに反するだろ。最後にできることと言ったら――
(自爆特攻だな)
要は最後まで立っていれば勝ちなんだ。なら一撃もらっても、それ以上の技を当てる。
「もう最後にしようぜっ!」
俺は後藤に突撃する。一気に距離を詰める。そして拳を顔面にめがけ放つ。
「はっ! ついには自爆かよっ!」
ブゥンと拳が目の前に迫る。
(ここだっ!)
俺は自ら拳に顔を当てに行く。
「がっ……!」
いってぇぇぇぇぇぇぇ!
「なっ!」
後藤が驚いた顔をする。そりゃそうだ。自分から当たりに行くなんて、普通はやらない。だけど、俺はあえて当たりに行った。そうすることで、力が入る前のパンチを受けることができる。
そして、俺は殴りかけていた拳を解き、肩を掴んだ。
「おりゃーっ!」
後藤の体を踏み台にしてジャンプ! そして回転!
「喰らえやぁぁぁぁぁぁぁ!」
踵落とし!
重力と慣性の力だ!
「ぐはっ!」
俺の踵落としは後藤の脳天を貫いた。そして――
「なんだよ……そんなトリッキーなの、俺は知らねぇ……」
グラリと後藤の巨体が揺れる。
「お前の…………勝ちだ」
そして、後藤は倒れた。
「…………っしゃーーーー!」
俺は叫んだ、勝利を。
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