中途半端な俺が異世界で全部覚えました

黒田さん信者

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107,ヒール

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「おい! ちょっと待ってろ!」
 俺は慌てて車に走る。車にはMAギアを置いておいたはずだ!
「……あった!」
 俺は大慌てでMAギアを装着する。
「ヒール!」
 MAギアに搭載されたヒールを梨沙に向かって使う。するとロード完了の文字が出て、左手から緑色の光の粒が溢れ出る。その光は梨沙に降りかかる。
「くっ! 魔力が足りねぇ!」
 恐ろしく魔力を持って行かれる!
「リーヴァ! 俺に魔力を分けてくれ!」
「かしこまりました!」
 さっきと同じように魔力を渡してくれるリーヴァ。
「サンキュ! でも、これでも足りねぇ……」
 膨大な魔力が受け渡されたものの、傷が深いのか治癒が遅く全然足りない。
「ネ、ネリアくん……」
「喋るな! じっとしてろ!」
 ひゅーひゅーと苦しそうな呼吸の梨沙が目を開ける。
「くそっ! ……そうだ! リーヴァ、宿舎にある魔晶石、ありったけ取ってきてくれ! 全速力で飛んでも構わん!」
「はい!」
  彼女は白い羽を生やし、大空を駆けていった。このスピードなら多分十分もかからない。
 俺は、魔晶石をすっかり忘れてた! 多分大量に魔力が溜まっているはずだ。でも……
「出血が多すぎる……」
 ヒールは傷を癒やすことはできるが、血までは生成できない。
「……仕方ねぇ、ヴィーオを使う」
 傷口を焼く。女の子にするのは気が引けるが、それしか方法が無い。
 近くに置いておいたバックからヴィーオを引き抜く。
「ヴィーオ、前に俺にやったように傷口を焼いてくれ」
「はぁ!? 馬鹿かオメェは! 女の子だぞ!?」
「ああ、わかってる。でも、そうしないと死んじまう!」
「…………俺は悪くないからな」
「もちろんだ」
「くっ、すまねえ梨沙お嬢ちゃん……」
 ヴィーオの刃に炎はが纏われる。その炎はちろちろとまるで迷いがあるように揺れる。そして――
「んあぁぁぁ!」
 一番深いであろう太ももの傷を炎が舐める。
「梨沙、耐えてくれ!」
「いっ、ぎぃぃぃぃ!」
 梨沙は体を弓なりに反らし叫ぶ。苦悶の表情で汗を流す。
「頑張れ! 頑張ってくれ!」
 俺は痛みが少しでも和らぐようにヒールをかけ続ける。魔力はとうの昔に枯れてしまったが、溢れ出た梨沙の血と、俺の血を魔力に変換してなんとか続ける。そこへ――
「遅くなりました!」
「いや、ナイスタイミングだ!」
 リーヴァがありったけの魔晶石を持ってきてくれた。
「よし、これだけあれば大丈夫だ!」
 俺は魔晶石を手にとって魔力を吸う。体の中に魔力が駆け巡っていくのを感じる。ヒールの光も一層強くなった。
「ご主人様、先に内臓の修復を! このままでは持ちません!」
「まじか! わかった!」
 そして三十分はたっただろうか。梨沙の外傷はあらかた消え、呼吸も正常に戻った。
「ぐぁぁ、疲れた……」
 俺は倒れるように地面に座り込む。MAギアは血だらけで、銀色の輝きは曇ってしまっている。
「MAギア、持ってきておいて大正解だったぜ……」
 MAギアがなければ今頃は……いや、考えるのはよそう。今は梨沙を救うことが出来たことを喜ぶべきだ。
「リーヴァ、ありがとな」
「ぴゅーい!」
 リーヴァは魔力を使い果たしてしまい、人間体を維持できなくなったのでハイダーフィの姿だ。
「しっかし、なんで梨沙お嬢ちゃんはこんなにぼろぼろだったんだ?」
 ヴィーオが疑問の声をあげる。たしかにそうだ。明らかに刃物で斬られたような痕もあった。
「それは私から説明するね……」
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