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第六十五話

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令和に再転生した吉川は京都府警の捜査員に合流し、刑事モードに戻り関係者の連絡先をヒヤリングし入手した。
京都能楽堂に当日の将棋イベントに来た人の中に容疑者がいることはほぼ確実だ。
中でも吉川しかわからない戦国時代の関係者は特に念入りに調べる必要がある。
小刀で刺されて死亡した人は女性で、加納月と記載のある免許証を持っていた。顔の表と裏に能面を被せられ、表が雪の小面、裏が花の小面の能面がある。鑑識によると加納月の手のひらには「月」とマジックインキで書かれていたらしい。

刑事部の課長が他の捜査員に指示をしている。
「現場周辺の聞き込みと加納月さんの自宅捜索組に分ける。それから現場で都合のつかない関係者の聞き込みを明日府警で開始する」

吉川は課長の指示を待った。
「吉川は今から加納月さんの自宅捜索を担当してくれ。明日は府警で関係者の聞き込みをして容疑書を絞り込んでくれ」
加納月の自宅からは古文書が発見されるのだろうな。

京都能楽堂を離れて加納月の自宅捜索に行こうとしたら、美少女の瞳の大きな女流棋士が吉川のもとにやってきた。
「今日は京都能楽堂で対局ができなくなったから、このあと非公開で急遽関西将棋連盟に行って真女流名人戦の続きをすることになったわ。
ちょっと気になることがあるから明日は府警にいるの?」
「ああ。今日はこれから捜査だが、君も府警で関係者の意見聴取されるはずだ」
「今日は都合悪いといったら身分証を確認されて明日府警に出頭するように言われたの」
「本当に何も覚えていないのか。」
「何のこと?
スマホに変なアイコンがあるの。ウイルスに感染したかと思ったら画像が出てきてこれ見てよ」

そこには戦国時代に転生して最後に江戸城で過ごした夜に、宗古と吉川で撮ったツーショット写真だった。
「薄着で得意げにピースしている少女の写真、これ私よね。
それから横にいる馴れ馴れしい男の顔はあなたによく似ているわ。
何か知っている?
どこかで会った?」

あの晩江戸城で二人がファーストキスをして、それから名実ともに夫婦になり、合わさったあとのツーショットだ。
宗古が夫婦の記念にするといって、スマホで二人のツーショットの写真を撮られたような気がする。
何て言えばいいのだ。

令和では何も二人の間で起きていないし。
これが、女子高生天才女流棋士が転生したら戦国時代だったの証拠かも。
信じてもらえるか。
変態呼ばわりされるか。
「明日待っているよ。京都府警で」

吉川は外に出て、加納月の自宅に向った。
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