レッドドラゴンの聖遺物を探せ

第二話

鈴はゆっくりと目を開けた。床に横たわっているようだ。
ここはどこ⁉

ふと見上げると、顧問らしい人物が見上げていた。顧問らしい人物が声を発した。
「キャサリン、今からお前はもうここの修道女でもない。
このクレリゴス教会は、ビクター様が多くの寄進をしている教会であり、お前は教会の前に捨てられていた子供だ。
それを司祭の私が育てて、ビクター様のご子息と婚約をしようと話をまとめたばかりなのに、お前は、修道女の分際で、ビクター様の軍隊を海賊呼ばわりして、怪しげなボードゲームの駒を空中に投げつけて風を呼びビクター様の軍隊の邪魔をした」

キャサリンを呼ばれた鈴は、将棋部の顧問らしい人物がそうではないことに気づき始めた。
この人は将棋部の顧問ではなく、ここでは司祭なのね。

司祭は更に喚き散らかす。
「キャサリン。その上お前はビクター様に逆らっている若者で生意気なリチャード王子に、『私を思い出して。わたしのことが好きだと言っていたでしょう。私も』
と恥ずかしげもなく大声で叫んでいたんだ。

お前とビクター様との婚約は破棄だ。
お前はもうこの教会の修道女でも何でもない。
ここから出ていけ」

キャサリンは、話に付いて行けず黙っていた。
どうやら、私はキャサリンという修道女に転生したらしい。
そして、ビクターという人物と婚約をしていたらしい。
しかし、ビクターではなくリチャードという若者に告白しようとしていたようね。
木屋砂　鈴はこの時代では、キャサリンと呼ばれる修道女らしい。
修道女に転生したのか。
リチャード、李　智亜土⁉
転生した修道女のキャサリンは李を頭に浮かべて赤面した。

そこに若いハンサムな若者で貴公子風の人物が近づいてきた。
「お嬢様、大丈夫ですか」

司祭が若者に応対する。
「貴様は、ビクター様の領地になるのを逆らっているローレンス家のバカ息子ではないか。
お前もこの教会にいる資格は無い。出て行ってもらおう」

キャサリンは、床から起き上がるとふらふらと聖堂の階段を降り、聖堂の外に出て行った。
聖堂の外は雷鳴が聞こえる。
聖堂の外に出たとたん、キャサリンはまばゆい光と物凄い音に囲まれて、体が震えた。

「キャサリンさん。雷が落ちた。大丈夫ですか」
剣道部の李に似た顔のイケメンが叫ぶのを聞いてキャサリンは再び意識を失った。