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異空間実技試験  の前に

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実技試験を始めるにあたっていくつか準備と言うか、前提の条件があるそうだ。

①剣・大斧・弓・杖の中から得意な武器を見つけ出し、基礎戦闘を出来るようにすること。

②得意な武器以外の基礎的な戦闘と戦術の試験に受かること

③魔術の二大形態を理解し、その試験に受かること

④オーラ、魔術、錬金術、この三つの基礎を習得し、その試験に受かること。

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「あのぅ、質問がまたいくつかあるのですが、いいでしょうか?」

「ん、ああ、構わないよ。なんでも聞いてくれたまえ。」

「今更ながらなんとお呼びすれば?店主さんでいいんでしょうか?」

「ん、なんだそんなことか。そういえば、お互いに自己紹介して無かったね。

 僕は夜ヶ丘 梟ヨルガオカ フクロウ

 好きな事は昼寝と読書と研究。
 嫌いな事は早起きと煙草と退屈。

 それともう一つ君に言わなければいけないのが、僕の特異的な体質だ。」

「特異的な体質?」


「それが僕の特異的な体質だよ。」


完全、記憶、能力…………?

「なんでも覚えているんですか?今まで見たものすべて?」

「嫌気がさすくらいにね。」

「だから色んなこと覚えてたんですね!
 すごい力じゃないですか!」



「そうでもないよ。
 辛い事も
 痛い事も
 負の記憶も
 完全に覚えてるから苦しくなる。
 一番辛かった事は今でも夢に出てうなされるよ。」


《ごめ………ん……な……さ……》
《嫌だ、嫌だァァァァ》



「そうなんですか。すいません。」

「いいよ。それじゃあ、君の自己紹介もお願いしていいかな?」

「分かりました。

私は花園 風月ハナゾノ フウゲツ

 好きな事は読書と想像とゲーム。
 嫌いな事は苦いものと激しく揺れるものです。」

「激しく揺れる物が嫌い?
 もしかして酔いやすいのかい?」

「ええ、かなり。
 修学旅行はいつだって先頭の特別席でしたよ。」

「心中お察しするよ。
 さて、僕のことは好きに呼ぶといい。
 君はなんと呼べばいいかな?」

「風月、と呼び捨てで構いません。
 師匠と呼んでも?」

「……構わないよ。」

あれ?この呼び方はダメだったかな?

「さて、それじゃあ実技試験会場に行こうか。ついておいで」

「はい!」
店の奥には畳敷きの普通の部屋があって、向かって右側の扉を開けると……

「ぅえ!?なんですかこれ!」

そこには表の店舗の20倍以上の広さの研究機材で埋まった部屋があった。
左にはいくつか扉が並んでおり、それぞれに
「草原」とか、
「砂漠」とか、
「戦場」とか、
書いてある。(最後のは見たく無かった。)

真ん中には巨大な鍋と、
巨大な止まり木があり、

左には巨大なテーブルがあり、
宙を舞い止まった実験器具の群れと、
10cmほどの様々な材質のゴーレムが居た。

そして、夜ヶ丘先生が、色鮮やかな、何匹もの梟に包まれていた。
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