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来季へ向けて
ラストゲーム
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名古屋99ドームは過去最高の57000人もの大観衆で埋め尽くされ、優勝決定戦に相応しい舞台だ。
ペナントレース最終戦でもあるこの一戦、勝てばネプチューンリーグを制し、来月行われる日本一を決定するチャンピオンズカップへの進出を手にする。
昨年は最終戦でマーリンズに勝ったスカイウォーカーズがリーグを制覇し、ジャパンカップではアポロリーグ覇者の琉球マシンガンズを下して日本一となった。
スカイウォーカーズが勝てばリーグ連覇、99ersが勝つか引き分けで、前身の愛媛ブラックスでは実に18年振りのリーグ制覇となる。
この試合、先発はスカイウォーカーズがエース中邑。
99ersも負けられない一戦とあって、中3日でエース那須川が投げる。
先行スカイウォーカーズのスタメン
1ライト 唐澤 1
2ショート 石川 8
3センター 財前 10
4ファースト 結城 23
5セカンド 鬼束 5
6サード 毒島 6
7レフト 森高 7
8ピッチャー 中邑 18
9キャッチャー 七海 36
中邑が投げる日は正捕手の保坂ではなく、第二捕手の七海がマスクを被る。
スタメン以外でも、控えの選手がいつでも行けるようスタンバイをしている。
後攻99ersのスタメン
1サード 比嘉 1
2センター 吉川 3
3ライト 城戸 7
4ファースト 風間 55
5レフト ギャレット 44
6セカンド 秋山 4
7キャッチャー 外崎 27
8ピッチャー 那須川 11
9ショート 柴崎 6
99ersは不動のオーダーで最終戦に挑む。
そして試合前のミーティングで、榊が神妙な面持ちで話をした。
「え~、昨年と同じ最終戦で優勝決定戦というワケのんだけど…とにかく、やるだけの事はやろう!
変なプレッシャーを感じずに、思いきってプレーしよう!」
【ハイっ!】
「それともう一つ…んー、試合前に言うのはどうかと思うんだが…実は、今年限りでこのユニフォームを着るのは最後となったワケだ」
【…えぇっ!!】
選手達はざわめき、動揺を隠せない。
「監督は今年で辞めるんですか?」
「うん、まぁそういう事だ」
結城の質問に少し照れながら答えた。
「えっ、じゃあ来年は誰が監督をやるんだ?」
「監督もそうだし、高梨GMも今年限りだっていうじゃん」
「一体、誰が監督やるのかな」
口々に不安を吐き出す。
「あー、静かに!
皆は次の監督は誰かと気になるんだろうから、ここで発表しておく」
「次の監督は決まってるんですか?」
「おぅ、勿論だぜ」
「誰だ?」
「OBか?」
「OBったって…誰がいるよ?」
「いや、外部からの招聘じゃないか」
「皆、静かに!」
櫻井の声で静まる。
「次の監督なんだが…ここにいる櫻井ヘッドコーチが来年からスカイウォーカーズの監督として指揮を執る事になる!
監督が変われば、やり方も変わってくるだろうが、今までヘッドコーチだった人が監督になるだけだ。
皆の事はよく知ってるつもりだし、来年もいい成績残せるよう、頼んだぞ!」
櫻井が来季の監督に就任する。
しかし、当の櫻井は隣で固まったままだ。
「おい、ヒロト!どうした?」
「エッ、いや…ボクが監督っ?まだ正式なオファーは届いてないですけど…」
それもそのハズ、榊が勝手に決めた事で、球団は何も知らない。
「オレの後釜はお前しかいないって!球団には次の監督ヒロトに決めたって伝えるから、後日連絡が入るだろう」
「ボクが監督…って、大丈夫なのかな…」
櫻井もまだ心の準備が出来ていない。
「櫻井さんが監督か…」
「いや、まだ決まったワケじゃないよ!」
「決まりだよ、次の監督はお前だ!」
「え~、ここで決める事じゃないし、何も試合前にこんな事言わなくてもいいのに…」
櫻井は困惑している。
「そんなワケだから、今日は悔いのないプレーをしよう!」
【ハイっ!!】
「ヨシ、円陣を組もう!」
結城の掛け声で選手、コーチ、監督、スタッフが輪になる。
「じゃあ、今日の掛け声は…財前さん、お願いします!」
「オレっ?」
ミーティングの最後は必ず輪になって、指名された選手が声掛けをする。
「ハイ、何でもいいので一言お願いします」
財前は頭をボリボリと掻きながら何を言おうか考えている。
「エーット…じゃあ、今日でペナントレースが終わる。
どうせ終わるなら、泣いて終わるよりも、笑って終わった方がいいじゃん?
となると、やる事はただ一つ…
99ersをぶっ飛ばすぞっ!!」
【オゥ!!】
「OK、それじゃ行こうか!」
【ハイ!】
雰囲気は決して悪くない。
むしろ、楽しんでいる状況だ。
99ersの方はブルペンでは吉川が投球練習をしている。
140を超えるストレートがキャッチャーの構えたミットにスバっと決まる。
「スゴい球投げますね!」
ブルペン捕手が驚きの声を上げる。
「いやぁ、まだまだだよ!
久しぶりだし、中々思う所には投げられないよ」
吉川は謙遜する。
「そんな事ないっすよ!ストレートもそうだし、カーブのキレもそこら辺のピッチャーよりキレが良いですよ」
「カーブが上手く決まればいいんだけどな」
吉川の当番予定はあるのだろうか。
間もなく試合開始。
ペナントレース最終戦でもあるこの一戦、勝てばネプチューンリーグを制し、来月行われる日本一を決定するチャンピオンズカップへの進出を手にする。
昨年は最終戦でマーリンズに勝ったスカイウォーカーズがリーグを制覇し、ジャパンカップではアポロリーグ覇者の琉球マシンガンズを下して日本一となった。
スカイウォーカーズが勝てばリーグ連覇、99ersが勝つか引き分けで、前身の愛媛ブラックスでは実に18年振りのリーグ制覇となる。
この試合、先発はスカイウォーカーズがエース中邑。
99ersも負けられない一戦とあって、中3日でエース那須川が投げる。
先行スカイウォーカーズのスタメン
1ライト 唐澤 1
2ショート 石川 8
3センター 財前 10
4ファースト 結城 23
5セカンド 鬼束 5
6サード 毒島 6
7レフト 森高 7
8ピッチャー 中邑 18
9キャッチャー 七海 36
中邑が投げる日は正捕手の保坂ではなく、第二捕手の七海がマスクを被る。
スタメン以外でも、控えの選手がいつでも行けるようスタンバイをしている。
後攻99ersのスタメン
1サード 比嘉 1
2センター 吉川 3
3ライト 城戸 7
4ファースト 風間 55
5レフト ギャレット 44
6セカンド 秋山 4
7キャッチャー 外崎 27
8ピッチャー 那須川 11
9ショート 柴崎 6
99ersは不動のオーダーで最終戦に挑む。
そして試合前のミーティングで、榊が神妙な面持ちで話をした。
「え~、昨年と同じ最終戦で優勝決定戦というワケのんだけど…とにかく、やるだけの事はやろう!
変なプレッシャーを感じずに、思いきってプレーしよう!」
【ハイっ!】
「それともう一つ…んー、試合前に言うのはどうかと思うんだが…実は、今年限りでこのユニフォームを着るのは最後となったワケだ」
【…えぇっ!!】
選手達はざわめき、動揺を隠せない。
「監督は今年で辞めるんですか?」
「うん、まぁそういう事だ」
結城の質問に少し照れながら答えた。
「えっ、じゃあ来年は誰が監督をやるんだ?」
「監督もそうだし、高梨GMも今年限りだっていうじゃん」
「一体、誰が監督やるのかな」
口々に不安を吐き出す。
「あー、静かに!
皆は次の監督は誰かと気になるんだろうから、ここで発表しておく」
「次の監督は決まってるんですか?」
「おぅ、勿論だぜ」
「誰だ?」
「OBか?」
「OBったって…誰がいるよ?」
「いや、外部からの招聘じゃないか」
「皆、静かに!」
櫻井の声で静まる。
「次の監督なんだが…ここにいる櫻井ヘッドコーチが来年からスカイウォーカーズの監督として指揮を執る事になる!
監督が変われば、やり方も変わってくるだろうが、今までヘッドコーチだった人が監督になるだけだ。
皆の事はよく知ってるつもりだし、来年もいい成績残せるよう、頼んだぞ!」
櫻井が来季の監督に就任する。
しかし、当の櫻井は隣で固まったままだ。
「おい、ヒロト!どうした?」
「エッ、いや…ボクが監督っ?まだ正式なオファーは届いてないですけど…」
それもそのハズ、榊が勝手に決めた事で、球団は何も知らない。
「オレの後釜はお前しかいないって!球団には次の監督ヒロトに決めたって伝えるから、後日連絡が入るだろう」
「ボクが監督…って、大丈夫なのかな…」
櫻井もまだ心の準備が出来ていない。
「櫻井さんが監督か…」
「いや、まだ決まったワケじゃないよ!」
「決まりだよ、次の監督はお前だ!」
「え~、ここで決める事じゃないし、何も試合前にこんな事言わなくてもいいのに…」
櫻井は困惑している。
「そんなワケだから、今日は悔いのないプレーをしよう!」
【ハイっ!!】
「ヨシ、円陣を組もう!」
結城の掛け声で選手、コーチ、監督、スタッフが輪になる。
「じゃあ、今日の掛け声は…財前さん、お願いします!」
「オレっ?」
ミーティングの最後は必ず輪になって、指名された選手が声掛けをする。
「ハイ、何でもいいので一言お願いします」
財前は頭をボリボリと掻きながら何を言おうか考えている。
「エーット…じゃあ、今日でペナントレースが終わる。
どうせ終わるなら、泣いて終わるよりも、笑って終わった方がいいじゃん?
となると、やる事はただ一つ…
99ersをぶっ飛ばすぞっ!!」
【オゥ!!】
「OK、それじゃ行こうか!」
【ハイ!】
雰囲気は決して悪くない。
むしろ、楽しんでいる状況だ。
99ersの方はブルペンでは吉川が投球練習をしている。
140を超えるストレートがキャッチャーの構えたミットにスバっと決まる。
「スゴい球投げますね!」
ブルペン捕手が驚きの声を上げる。
「いやぁ、まだまだだよ!
久しぶりだし、中々思う所には投げられないよ」
吉川は謙遜する。
「そんな事ないっすよ!ストレートもそうだし、カーブのキレもそこら辺のピッチャーよりキレが良いですよ」
「カーブが上手く決まればいいんだけどな」
吉川の当番予定はあるのだろうか。
間もなく試合開始。
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