The Baseball 主砲の一振り 続編3

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チャンピオンズカップ

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北九州ドジャース対名古屋99ersのチャンピオンズカップがスタートした。


予想では99ersがやや有利だが、ドジャースは2位ドルフィンズに10.5ゲーム差をつけてぶっちぎりの優勝を遂げた勢いがある。


チャンピオンズカップ開幕戦はドジャース本拠地のオクトパスフィールドで行う。


99ersは今年14勝4敗とエースとしての責務を果たした那須川が、ドジャースは降谷がスカイウォーカーズにトレードした後、エース格として13勝を挙げた青田。


試合は4回に3番斐川が二塁打で出塁すると、4番ポールが那須川のツーシームをレフトスタンドへ先制のツーランホームランを放つ。


99ersもチャンスを作るが、尽く凡退。


結局このホームランが決勝点となり、初戦はドジャースが勝利。


第2戦は99ersがルーキーの松井、ドジャースは今年初の二桁勝利を挙げた森脇。


両投手共に立ち上がりが悪く、序盤から点の取り合いとなり、99ersは4回に城戸のツーランで勝ち越すと、6回には吉川のソロで追加。


5対2で99ersが勝利し、1勝1敗のイーブンに戻す。


翌日は移動日、その次の日は99ersの本拠地名古屋99ドームで第3戦目がスタート。


ドジャースの先発は左の金村、99ersは右の伏見。


ドジャースは3回に吉岡のソロホームランで先制すると、5回にはピッチャーの金村がスクイズで追加点を挙げる。


対する99ersは6回に外崎のツーランで同点に追いつき、7回は比嘉のツーベースヒットから、吉川が勝ち越しのツーランを放ち、最終回は抑えの霧島が3人で抑え、99ersが逆転勝ちを収める。


第4戦も同じく名古屋99ドームで行われ、ドジャースの先発は左のベテラン水野、99ersは今岡の先発。


この日も99ersの打線は好調で、初回に比嘉の先頭打者本塁打で先制。


4回にはランナー二塁の場面で、風間がライトオーバーのタイムリーツーベースで追加点を挙げると、6回には吉川がランナー2人を置いて、レフトフェンス直撃の2点タイムリーツーベースで4点目を追加。


投げては今岡が斐川、ポール、吉岡とリーグ1の破壊力を誇るクリーンナップを抑え、4安打の完封勝利を飾る。

これで99ersは3勝1敗で王手をかけた。


第5戦目はドジャースが青田、99ersはエース那須川。

名古屋99ドームは今日で日本一が決まる事を信じているファンで超満員。


序盤は静かな展開だったが、6回に外崎が2号ソロで先制すると、7回には吉川のツーランで2点追加。


99ersは那須川を5回で交代させ、小刻みな継投策でドジャース打線を封じる。


最終回、守護神霧島が3人でピシャリと抑え、99ersが完封リレーで日本一に輝いた。


チャンピオンズカップMVPは、打率0.486 本塁打3 打点9の成績を挙げた吉川が選出された。


スカイウォーカーズは秋季キャンプに入り、新監督櫻井の下、若手主体の合同練習が行われた。

ルーキー森高は来年からセカンドへコンバートされるとあって、重点的に内野の連携プレーを練習していた。


主力選手はペナントの疲れもあって、キャンプは免除され、休養をとった。


コンバートの次はピッチャーの起用法だ。


櫻井は抑えのジェイクに目をつけた。


2年連続セーブ王に輝いたジェイクだが、去年は43セーブを挙げ、防御率は1.67と日本一に貢献した。


しかし、今年は38セーブでタイトルを獲得したが、防御率は3.64と去年よりも2点悪い。


ジェイクの持ち味は100マイル(約163km/h)を超えるフォーシームと、パワーシンカーと呼ばれる150km/h後半のツーシームで相手をねじ伏せる。


しかし、速球一辺倒のピッチングは他球団から研究され、ペナント終盤には打たれる場面もあった。


櫻井はジェイクをこのままクローザーに置いても今年以上の成績は挙げられないと思い、クローザーを一旦白紙の状態にした。


ジェイクに代わるクローザーに相応しい人物は誰か。


候補に挙がったのは、東雲、アクーニャ、梁屋、流川の4人。

先ずは東雲だが、サイドスローから投げる140後半のストレートとシンカーでゴロを打たせるスタイル。

しかし、制球難で抑えで使うには不安が残る。


次はアクーニャ。

ジェイクと同じ160を超えるフォーシームとクチージョと呼ばれる高速カットボール、そしてランサと呼ばれる変化の大きいツーシーム。

ジェイクよりも球種はあるが、ランナーを背負った場面で本来の良さが発揮されない。


そして梁屋。

今年から再び投手に転向し、榊直伝の縦に割れるカーブを武器にロングリリーフも可能なタイプ。


しかし、抑えというよりはむしろ先発の方が向いていると思い、却下した。


最後は流川。

150を超えるストレートとスライダー、スプリットを武器に若さ溢れるピッチングを披露する。

しかし、抑えの重圧は相当なものだ。


流川には荷が重いと判断し、却下した。


「誰を抑えにすればいいのか…」


頭を悩ませていた。
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