Baseball Love 主砲の一振り

sky-high

文字の大きさ
107 / 134
恐怖のヤンキー集団

第三の捕手

しおりを挟む
ナックル嬢こと、希崎 舞はピストルズの一員となった。
背番号は、小倉がつけていた18を用意した。

だが、1つ問題に直面する。
それは、希崎のナックルを取れる捕手がいない。

ドジャースの捕手も、希崎のナックルを捕球出来るのに、かなりの時間を費やした。

ピストルズには木下、室田という二人の捕手がいる。

どちらも一軍で必要な戦力だ。

試合に出て、その後ナックルを捕球する練習時間があまりない。

そこでヤマオカは、希崎をすぐに一軍には上げずに、ファームでナックルを取れる捕手を探していた。

そこで白羽の矢がたったのは、去年のドラフト2位でピストルズに入団した一条 尚樹(いちじょう なおき)19才。

高校時代は夏の甲子園ナンバーワンの捕手として注目を集めた。

一軍に上がるのには、インサイドワークやキャッチングといった課題はあるものの、将来の日本球界を代表する捕手として期待度はかなり高い。

一条は二軍球場で、希崎のナックルを取る特訓を連日のように行っていた。

だが、そう簡単にナックルは取れるような球ではない。

ましてや、去年まで高校生だった一条には酷な課題だ。

ソフトボール用の大きなキャッチャーミットに変えても、取るのは困難だ。

ナックルは投げた本人でさえ、どこへ行くのか解らない、文字通り魔球なのである。

無回転で放たれたボールは空気抵抗を受けて、揺れながら落ちる。

一見すると、フワフワとしたスローボールだが、バッターの手元でストーンと落ちたり、曲がったりする。

打つ方も難しいが、取る方も難しい厄介な球だ。

だが、決して取れない球じゃない。

希崎のナックルは、100㎞前後のスローボールだ。
とにかく球をよく見て、ナックルに慣れるしかない。

希崎を長い間、二軍に置いておくワケにはいかない。

最初はキャッチング出来ず、身体でボールを止めようとしていた一条だが、3日も経つと、5球に1球の割合で捕球できるようになった。

さすが、将来の日本球界を代表する捕手と言われるだけあって、センスが抜群だ。
1週間後には、ほとんどのナックルを取れるようになった。

ヤマオカは二軍で一条の様子を聞いて、一軍の昇格を決めた。

希崎と共に一軍に昇格した一条は、希崎専用捕手として、希崎が投げるイニングにマスクを被る事となる。

ナックルを取る以外にも、まだまだ課題はあるが、一軍に上げて経験を積んでもらおうという、首脳陣の考えでもある。

希崎、一条と入れ代わりにファームに落ちたのは、ルーキーの山下が来季から外野手にコンバートする為に、ファームで外野の守備を徹底的に練習するためで、成績不振が理由ではない。

山下はレフトの松浦と共に、将来のピストルズの中軸を担う左右の主砲として、期待は大きい。


時を同じくして、千葉ヤンキースも球界を代表するホームランバッターを獲得しようと、塗呂オーナーがある画策をしていた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...