Baseball Love 主砲の一振り

sky-high

文字の大きさ
上 下
114 / 134
優勝争い

左右投げの弱点

しおりを挟む
3番 陳   Ave 312 19HR 75RBI
4番 八幡 Ave 297 30HR 84RBI
5番 守山 Ave 276 36HR 86RBI

ヤンキースのクリーンナップの破壊力は、勢いを増した。

投手陣も八幡の迫力に押され、主力投手はチームの勝利の為に、八幡のリードに嫌々従うようになり、防御率もアップした。


そして首位のピストルズとは、僅か1ゲーム差まで縮まった。


ピストルズはこの日、北海道ワイルドキャッツとの三連戦の初戦を本拠地、静岡グリーンフィールドで迎えた。

しかし序盤に先発の高峰が捕まり、4失点でマウンドを降りた。

終盤に2点を返したが、結局4対2で敗れた。

二戦目は打線が繋がり、8対3で快勝。

トーマスJr.の30号アーチと、高梨の26号満塁ホームランが飛び出し1勝1敗のイーブン。

三戦目はエース榊を投入したが、打線の援護に恵まれず1失点でマウンドを降り、後続に託したが、リリーフ陣が踏ん張りきれず、2点を献上した。

打線も昨日の勢いはなく、ワイルドキャッツの投手リレーの前に完封敗けを喫した。

そしてついに、ヤンキースと同率首位に並ばれてしまったのだ。

ここへきて、選手の疲労が顕著に表れてきたのだ。


投打のバランスは1,2を争うピストルズだが、各選手のコンディションはあまり良くない。

対照的にヤンキースは、チームで孤立しながらも、八幡のバッティングが光り、連勝を重ねてきた。

そして首位争いの一戦が、バーチーヤンキースタジアムで火蓋が切って落とされた。

ピストルズの先発は廣澤、ヤンキースは左腕の小谷と発表された。


廣澤は攻めに攻めた。

しかし、殺人打線の前に滅多打ちにあう。

二回に八幡、守山の連続アーチ、5回に下位打線の連打を浴び、5失点でマウンドを降りる。


結局この5点が重くのしかかり、5対2で敗れた。この時点でヤンキースが、単独の首位にたった。

二戦目は榊が先発のマウンドを任された。


榊はヤンキース打線を翻弄。

陳、八幡、守山と連続の三振を奪う好投。

打線はトーマスJr.が35号スリーランをスコアボード直撃という、特大アーチでスタジアムを湧かせた。

ヤンキースファンはトーマスJr.がオールスター戦で打った、推定160㍍弾を【神の打球】と呼び、敵ながらトーマスJr.に応援をするファンが多い。

ヤンキーファンのハートをがっちり掴んだようだ。

この試合、榊が完封を記録し、4対0でピストルズがイーブンに戻す。

三戦目は、左右投げのSohが先発のマウンドに上がる。

立ち上がりから球の走りは良く、ヤンキース打線は手も足も出ない。

回は中盤、3番陳の打席で、いつもと違うグリップエンドの重いバットを使った。

このバットはミートに適し、アベレージヒッターが好んで使うバットでもある。

Sohは左で初球ストレートを、インコースに投げた。

「ストライク!」

そして二球目を右で、今よりボール半個分低めになるスライダーを投げた。

「ボール!」

陳は手を出さなかった。

続いて三球目も、右でアウトローに決まるストレート。

陳は狙い済ましたかのように、上手くライト線に弾き返した。

クッションボールをトーマスJr.が捕り、二塁へ投げたが、間一髪陳の足が早くセーフ。

続く4番八幡をフォアボールで歩かせ、5番守山の打席で、陳がタイムをかけた。

「朋友。アイツ右で投げる球は、左に比べると軽いネ。右で投げるストレートを狙い打ちすれば、朋友の力なら軽くスタンドに運べる」

陳は元々左投げのSohが、利き手ではない、右の球の球質が軽い事を見抜いた。

守山は頷き、打席に入った。

Sohはまず、左でスライダーを投げた。
内角に外れるボール。

二球目は左で外角を突くストレート。

「ストライク!」

守山は見送った。

そして三球目は右で、スライダーを投げる。

外角いっぱいに決まった。

「ストライク!」

カウントがワンボール、ツーストライクとなった。

四球目、右でアウトローに決まるストレート。

(もらった!)

守山はフルスイングした。

打球はバックスクリーンに飛び込む、スリーランホームラン。

均衡が破れ、3点を先制された。

この3点が重くのしかかり、ピストルズはまたも、ヤンキースに敗け越した。

Sohの右で投げる球質が軽いという弱点も露呈され、ピストルズはヤンキースに一歩遅れをとった。

またもや、ヤンキースが首位に立ったのである。

しおりを挟む

処理中です...