Baseball Love 主砲の一振り

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優勝争い

4番はお前が打て!

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守山が恐怖を感じた。

目の前にいるのは、八幡ではない。
恐ろしいほどに、殺気を身に纏った野獣に見えた。

「朋友!早く終わらせるんだ!もうすぐで、電流が流れるヨ!」

陳が叫んだ。

しかし、守山は恐怖で動けなかった。

八幡は狂ったかのように、守山に襲いかかる。

「グゥルゥア~っ!」

守山を掴み、大外刈りで叩きつけ、腕ひしぎ十字固めで締め上げた。

「残り時間1分だぬ!」

塗呂が後1分で、金網に電流が流れるのを知らせた。

しかし八幡にガッチリと関節を極められ、守山は動けない。

八幡は守山の関節を外しにかかる。

(このままじゃ、殺られる!)

守山は咄嗟に、八幡の足に噛みついた。

「がぅっ!」

「ギュァッ!」

八幡が悲鳴を上げ、技を解いた。

「こんの、クソガキが~っ!」

八幡は豪腕を振り抜いた。

ラリアットのような形で、守山の喉元にヒットした。

守山はダウン。

そして守山を無理矢理起こし、アルゼンチンバックブリーカーで、守山の身体を真っ二つにせんとばかりに、力を込めた。

「ラスト10秒!」

残り10秒だ。

八幡は更に締め上げた。

「ギブアップせぃ!もう、お前の負けや!」

守山の身体が、段々としなってきた。

「スタート!」

塗呂の号令で、金網に電流が流れた。

バチバチという音が、二人を囲む。

守山は金網に気をとられた八幡の隙をつき、体勢を入れ替え、脱出に成功した。

八幡にスピアーを決めた。

その勢いで金網に叩きつけた。

バチバチバチっ!!

八幡の身体に電流が走り、ショックでダウンした。

守山も攻撃する力は残っていない。

ただ立っているのが精一杯だった。

八幡が起き上がれないのを見て、塗呂はゴングを鳴らした。

カンカンカンカン!!

守山が辛うじて勝利をものにした。

塗呂が電流をストップさせ、陳と一緒にオクタゴンに入る。

「この勝負、守山くんの勝ちだぬ!」

塗呂が高らかに、守山の勝利を宣言した。

八幡はまだ立てない。

「守山くん。兄弟喧嘩はもう、これで終わりにするぬ」

「兄弟?」

「兄弟て、何や…」

塗呂の言葉で、八幡は意識を戻した。

「だぬだぬ。二人は血を分けた兄弟なんだぬ。母親は違うが、君たちは同じ父親の血を受け継いだ兄弟なんだぬ!」

「そ、そんなアホな事あるかいっ!どこに、そんな証拠があるんや!」

「オーナー!どういう事だ、一体!」

二人は塗呂に詰め寄る。

「だぬ。これを見て欲しいぬ」

塗呂が見せたのは、戸籍謄本だった。

「ここを見て欲しいぬ!二人の父親の名前は一緒だぬ!」

「何っ!オヤジはオレがガキの頃に死んだと、オフクロに聞かされただけだ」

「まさか、ウチのオトンが…」

しかし戸籍謄本には、二人の父親の名前が一致していた。

父親は守山を認知しながらも、八幡の母親と暮らしていたのだ。

「やっぱり、兄弟だったのか…朋友と八幡は似ていると思ったけど、本当だったとは」

陳も驚きを隠せない。

「わっちは君たちを調べていくうちに、兄弟だという事を知ったんだぬ。だから、八幡くんをヤンキースに入れたかったんだぬ!
八幡くん、守山くん、そして陳くん!今までの事は水に流して、また野球をやろうじゃないかぬ!」

塗呂が3人に訴えかけた。

「オレは事実を知ったし、朋友が勝ったから、何も言うことはないネ」

陳は塗呂の考えに従った。

「負けは負けや…ただ兄弟言うのが、イマイチ解せないが…しゃあない」

八幡も納得はいかないが、事実を突き付けられ、従うしかないようだ。

「オレは兄弟だとか今更言われても、実感も何もない。ただ…勝ったけど、4番は今まで通りお前が打て!オレは5番でも構わない」

守山もスッキリしないが、闘いには勝った。約束通り、揉め事は今日で終わりにしようと誓った。

「4番にあれだけこだわってた、アンタが勝ったんや。アンタが4番を打てばええ」

八幡は負けた自分が4番を打つより、守山が4番を打った方が良いと思った。

「野球での実績じゃ、オメーの方が上だ。だから、お前が4番を打て!」

守山は、八幡が4番に相応しいと思った。

「よし!じゃあ今日は、わっちの奢りでキャバクラに行くぬ、ブヒョヒョヒョヒョ!」

こうしてヤンキースは、内部紛争に終止符を打った。
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