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彼女が出来た
日焼けじゃなく、火傷だ!
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無理に日焼けするんじゃなかった。
何をするにも身体中がヒリヒリして痛い!
日焼けじゃなく火傷だ。
シーブリーズの薬用ローションを身体中に塗る。
痛てぇ!
これはあまりにも酷い…
シャツが擦れただけで飛び上がる程の激痛だ。
激痛に苛まれながら、何故あの時土手で日焼けなんてしようと思ったのか?
時々変な行動をする自分はどこかおかしいんじゃないかと思いつつ、まぁそんな事もあるだろ!
なんて楽天的な考えも持ち併せているんだから、やっぱり変なのか…
…まぁ、やってしまった事はしょうがない。
それともう一つ、何故校舎に向かい一礼したのか?
あれは僕の偽らざる本心だったのか?
今思えば、本心のようで本心じゃない。
人間なんて、時と場所によって心情が違うのだから一概には言えないけど、校舎を見ているうちに、色々な事が頭の中を駆け巡った。
あぁ、もうあの頃には戻れないんだよな…
高校生になったけど、理想とはかけ離れた生活を送り、楽しかった中学時代と比較しているうちに何故か泣けてきた。
自己分析するつもりじゃないが、あまりにも今の生活が情けなくて涙が出たんじゃないかと。
ましてや、泣いてるとこを波多野に見られるなんて…
恥ずかしくて、あれ以来波多野とは連絡していない。
(ずっと一緒に居ようね)
波多野の言葉を思い出すと赤面する。
あぁーっ、それにしても痛いっ!
いつになったら治るんだ。
すると、居間の電話が鳴った。
「電話だよーっ!」
…何だ誰も居ないのか。
そうか…平日の昼間だし、父親は仕事で母親はパート。
姉は夏休みだというのに、学校で勉強してるから僕しか居ない。
動く度、シャツに擦れて痛い!
こんなもん着てるから痛いんだ!
シャツを脱いで受話器を取った。
「はい、もしもし」
【もしもし、あの波多野ですけど…あ、小野っち?】
波多野からだった。
「うん、どうした?」
【小野っち大丈夫?】
大丈夫って…何が大丈夫なんだ?
日焼けでのたうち回ってる事に対して、大丈夫という意味なのか?
「うん、まだ背中はヒリヒリするけど」
【違うよ!アタシが言ってるのは、帰りに様子が変だったから心配で電話したんだよ】
全く見当外れな事を予想していた。
「何で?別に何ともないよ」
何ともなくは無いが、あの時の話を振られるのは恥ずかしいから、はぐらかそうとした。
【そう…ならいいんだけど。あっ、小野っち明日空いてる?】
「明日?空いてるけど、日焼けして痛くて動けないよ」
【そう…そんなに痛いの?】
「無理して焼いたのがまずかったみたい。風呂入るのも一苦労だよ」
【…】
「どうした?何かあったのか?」
【うん…実はね、バイトしててお給料入ったんだけど、何処かに出掛けた帰りにご飯でもどうかなぁと思って…それじゃ、しばらくは無理だね】
へー、波多野もバイトしていたとは。
「そっか。じゃあさ、明日じゃなく明後日でもいいかな?明日だとまだヒリヒリして痛いから、明後日なら大丈夫だよ。それでもいいかな?」
【いいよ、無理しなくて!大丈夫になったら連絡してよ】
「いや、大丈夫っす。薬塗って一晩経てば治まると思うから」
【ホント?じゃあ、渋谷に行かない?いつも小野っちに出してもらってばかりで悪いから、今度はアタシが出すね】
「いいって、バイト代出たんだろ?自分の買いたいもん、買えばいいじゃん」
【ううん、今は特に欲しい物ないから。だから小野っちにご馳走する】
女にご馳走してもらうのか…
デートってのは、金が無くとも男が支払うのがマナーってなもんだろ。
「いいよ、無理しなくて。明後日の何時にする?」
【それじゃ、お昼前に出掛けない?】
「11時ぐらい?」
【うん、また駅で待ち会わせね】
「わかった。じゃあ、明後日の11時ね」
【うん、じゃあ楽しみにしてる。またねー】
電話を切った。明後日渋谷か…
渋谷と言っても…今の僕には、特に見て回るような所は無いかなぁ。
まぁ…でも、デートには違い無い。
そんな事よりも、火傷にちかい日焼けを何とかせねば。
僕はオロナインを塗ってベッドで仰向けになった。
待てよ…渋谷駅の近くは道玄坂で、しかもラブホ界隈…
ラブホって事は、ついに初体験?
…いやいや、それは無い…
絶対に有り得ない。
…でも、万が一って事も無くは無いよな?
勝手な思い込みで緊張してしまい、夜はよく眠れなかった…
何で毎回、こんな事ばかり考えるんだろう?
思春期だから仕方ないと言えばそうなんだが、何かにつけて初体験の事を思い浮かべるのは、それだけ健康な証拠なのか、単に飢えてるだけなのか…
何をするにも身体中がヒリヒリして痛い!
日焼けじゃなく火傷だ。
シーブリーズの薬用ローションを身体中に塗る。
痛てぇ!
これはあまりにも酷い…
シャツが擦れただけで飛び上がる程の激痛だ。
激痛に苛まれながら、何故あの時土手で日焼けなんてしようと思ったのか?
時々変な行動をする自分はどこかおかしいんじゃないかと思いつつ、まぁそんな事もあるだろ!
なんて楽天的な考えも持ち併せているんだから、やっぱり変なのか…
…まぁ、やってしまった事はしょうがない。
それともう一つ、何故校舎に向かい一礼したのか?
あれは僕の偽らざる本心だったのか?
今思えば、本心のようで本心じゃない。
人間なんて、時と場所によって心情が違うのだから一概には言えないけど、校舎を見ているうちに、色々な事が頭の中を駆け巡った。
あぁ、もうあの頃には戻れないんだよな…
高校生になったけど、理想とはかけ離れた生活を送り、楽しかった中学時代と比較しているうちに何故か泣けてきた。
自己分析するつもりじゃないが、あまりにも今の生活が情けなくて涙が出たんじゃないかと。
ましてや、泣いてるとこを波多野に見られるなんて…
恥ずかしくて、あれ以来波多野とは連絡していない。
(ずっと一緒に居ようね)
波多野の言葉を思い出すと赤面する。
あぁーっ、それにしても痛いっ!
いつになったら治るんだ。
すると、居間の電話が鳴った。
「電話だよーっ!」
…何だ誰も居ないのか。
そうか…平日の昼間だし、父親は仕事で母親はパート。
姉は夏休みだというのに、学校で勉強してるから僕しか居ない。
動く度、シャツに擦れて痛い!
こんなもん着てるから痛いんだ!
シャツを脱いで受話器を取った。
「はい、もしもし」
【もしもし、あの波多野ですけど…あ、小野っち?】
波多野からだった。
「うん、どうした?」
【小野っち大丈夫?】
大丈夫って…何が大丈夫なんだ?
日焼けでのたうち回ってる事に対して、大丈夫という意味なのか?
「うん、まだ背中はヒリヒリするけど」
【違うよ!アタシが言ってるのは、帰りに様子が変だったから心配で電話したんだよ】
全く見当外れな事を予想していた。
「何で?別に何ともないよ」
何ともなくは無いが、あの時の話を振られるのは恥ずかしいから、はぐらかそうとした。
【そう…ならいいんだけど。あっ、小野っち明日空いてる?】
「明日?空いてるけど、日焼けして痛くて動けないよ」
【そう…そんなに痛いの?】
「無理して焼いたのがまずかったみたい。風呂入るのも一苦労だよ」
【…】
「どうした?何かあったのか?」
【うん…実はね、バイトしててお給料入ったんだけど、何処かに出掛けた帰りにご飯でもどうかなぁと思って…それじゃ、しばらくは無理だね】
へー、波多野もバイトしていたとは。
「そっか。じゃあさ、明日じゃなく明後日でもいいかな?明日だとまだヒリヒリして痛いから、明後日なら大丈夫だよ。それでもいいかな?」
【いいよ、無理しなくて!大丈夫になったら連絡してよ】
「いや、大丈夫っす。薬塗って一晩経てば治まると思うから」
【ホント?じゃあ、渋谷に行かない?いつも小野っちに出してもらってばかりで悪いから、今度はアタシが出すね】
「いいって、バイト代出たんだろ?自分の買いたいもん、買えばいいじゃん」
【ううん、今は特に欲しい物ないから。だから小野っちにご馳走する】
女にご馳走してもらうのか…
デートってのは、金が無くとも男が支払うのがマナーってなもんだろ。
「いいよ、無理しなくて。明後日の何時にする?」
【それじゃ、お昼前に出掛けない?】
「11時ぐらい?」
【うん、また駅で待ち会わせね】
「わかった。じゃあ、明後日の11時ね」
【うん、じゃあ楽しみにしてる。またねー】
電話を切った。明後日渋谷か…
渋谷と言っても…今の僕には、特に見て回るような所は無いかなぁ。
まぁ…でも、デートには違い無い。
そんな事よりも、火傷にちかい日焼けを何とかせねば。
僕はオロナインを塗ってベッドで仰向けになった。
待てよ…渋谷駅の近くは道玄坂で、しかもラブホ界隈…
ラブホって事は、ついに初体験?
…いやいや、それは無い…
絶対に有り得ない。
…でも、万が一って事も無くは無いよな?
勝手な思い込みで緊張してしまい、夜はよく眠れなかった…
何で毎回、こんな事ばかり考えるんだろう?
思春期だから仕方ないと言えばそうなんだが、何かにつけて初体験の事を思い浮かべるのは、それだけ健康な証拠なのか、単に飢えてるだけなのか…
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