20 / 69
ベスパネット・ワイズスというチーム
特殊能力追加
しおりを挟む
この世界は不思議なことが多すぎる。
異世界だから当たり前だと思うのだが、それにしても首を傾げる事ばかりだ、と近衛はつくづく思う。
開幕まで約1ヶ月、選手たちは連日グラウンドで練習を行う。
今までならば、オープン戦で試合勘を慣らしていくものだが、あいにくコッチの世界ではオープン戦というものが存在しておらず、実戦形式の練習が乏しい。
(初めっから無いと思えばいいのかもしれないけど…こんなんで開幕して大丈夫なのかな)
と、不安になる事も。
あの試合後、マーモセットは姿を消した。
監督から4番の座とサードのポジションを剥奪され、戦力外に等しい扱いを受けたせいで、皆の前に出てこれないのかもしれない。
行方不明のまま開幕を迎えると自動的に戦力外とみなされる。
果たしてマーモセットは何処へ行ったのか。
「コノエ…ちょっといいか」
「ハイ」
エースのナチに呼ばれた。
「コノエ、私と勝負して欲しい」
「エッ、勝負?」
唐突な申し出に些か戸惑う。
勝負ならば、この前の紅白戦で対戦して、ヒットを打ったハズなんだが。
「言い訳したくないんだが、この前の対戦は全力を出し切ってないんだ」
「はァ…」
勝負と言われても…
だが、マーモセットの時とは違い、純粋に勝負を挑みたいというのならば受けて立とうと思った。
「わかりました…その代わり、1打席勝負でいいですね?」
「異論は無い。感謝する」
かくして、近衛とナチの1打席勝負が始まった。
左対左の対決だが、この世界のレベルならば簡単に打てるハズ。
「いくぞ、コノエ!」
口を真一文字にしたナチが初球を投げた。
(真ん中やや外寄りのボール…)
これなら打てそうだとバットを出した。
「ん?これは…」
すると、ボールは鋭角的にスライドして外角に変化した。
「危な…」
咄嗟にバットを止めた。
「ボール!」
判定はボールだが、思わず手が出てしまいそうな程のスライダーだった。
「あのスライダーに手を出さないとは…新人とは言え、侮れない相手だ」
ナチの表情が更に険しくなる。
(あんなスライダー投げてなかったハズ…これは要注意だ)
前回の対決では外角には一切投げず、内角のみで勝負していた。
それは、サードを守るマーモセットの拙守を考慮して敢えて外角には投げなかった。
「スゲーなぁ…スライダーのキレがハンパない」
「フフフ」
次は何を投げるのか。
テンポ良く2球目を投げた。
(ストレートだ)
コースは低めギリギリ。
「ストライクっ!」
「ほぇ~、低め一杯に決まったか」
低めに外れると思ったストレートは、ノビがあって低めギリギリに入った。
(いい球だけど、打てない球じゃない)
ピコーン…
すると、ステータスが表示された。
「ん?何だこんな時に」
ブゥン、と浮かび上がったパネルには新たな特殊能力が加わった。
【特殊能力、《狙い打ち》が追加された!】
(狙い打ち?何だそりゃ?)
狙い打ちとは、ストレートや変化球に的を絞ってバットを振ると、約40%の確率でヒットが打てる能力だ。
(狙うのはストレートのみ!)
果たしてストレートを狙い打ちできるのか?
異世界だから当たり前だと思うのだが、それにしても首を傾げる事ばかりだ、と近衛はつくづく思う。
開幕まで約1ヶ月、選手たちは連日グラウンドで練習を行う。
今までならば、オープン戦で試合勘を慣らしていくものだが、あいにくコッチの世界ではオープン戦というものが存在しておらず、実戦形式の練習が乏しい。
(初めっから無いと思えばいいのかもしれないけど…こんなんで開幕して大丈夫なのかな)
と、不安になる事も。
あの試合後、マーモセットは姿を消した。
監督から4番の座とサードのポジションを剥奪され、戦力外に等しい扱いを受けたせいで、皆の前に出てこれないのかもしれない。
行方不明のまま開幕を迎えると自動的に戦力外とみなされる。
果たしてマーモセットは何処へ行ったのか。
「コノエ…ちょっといいか」
「ハイ」
エースのナチに呼ばれた。
「コノエ、私と勝負して欲しい」
「エッ、勝負?」
唐突な申し出に些か戸惑う。
勝負ならば、この前の紅白戦で対戦して、ヒットを打ったハズなんだが。
「言い訳したくないんだが、この前の対戦は全力を出し切ってないんだ」
「はァ…」
勝負と言われても…
だが、マーモセットの時とは違い、純粋に勝負を挑みたいというのならば受けて立とうと思った。
「わかりました…その代わり、1打席勝負でいいですね?」
「異論は無い。感謝する」
かくして、近衛とナチの1打席勝負が始まった。
左対左の対決だが、この世界のレベルならば簡単に打てるハズ。
「いくぞ、コノエ!」
口を真一文字にしたナチが初球を投げた。
(真ん中やや外寄りのボール…)
これなら打てそうだとバットを出した。
「ん?これは…」
すると、ボールは鋭角的にスライドして外角に変化した。
「危な…」
咄嗟にバットを止めた。
「ボール!」
判定はボールだが、思わず手が出てしまいそうな程のスライダーだった。
「あのスライダーに手を出さないとは…新人とは言え、侮れない相手だ」
ナチの表情が更に険しくなる。
(あんなスライダー投げてなかったハズ…これは要注意だ)
前回の対決では外角には一切投げず、内角のみで勝負していた。
それは、サードを守るマーモセットの拙守を考慮して敢えて外角には投げなかった。
「スゲーなぁ…スライダーのキレがハンパない」
「フフフ」
次は何を投げるのか。
テンポ良く2球目を投げた。
(ストレートだ)
コースは低めギリギリ。
「ストライクっ!」
「ほぇ~、低め一杯に決まったか」
低めに外れると思ったストレートは、ノビがあって低めギリギリに入った。
(いい球だけど、打てない球じゃない)
ピコーン…
すると、ステータスが表示された。
「ん?何だこんな時に」
ブゥン、と浮かび上がったパネルには新たな特殊能力が加わった。
【特殊能力、《狙い打ち》が追加された!】
(狙い打ち?何だそりゃ?)
狙い打ちとは、ストレートや変化球に的を絞ってバットを振ると、約40%の確率でヒットが打てる能力だ。
(狙うのはストレートのみ!)
果たしてストレートを狙い打ちできるのか?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる