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治療で休養

トラウマ

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スペック共和国はフィレニア国から南西にある国で、専用の馬車では丸2日かかる。

その間、ワイズスメンバーは例によって野宿をしなければならない。


野宿となれば、晩御飯は野原に生息する生物を捕らえて調理する。


近衛は野宿が嫌いだ。


何より、捕らえる生物のほとんどが昆虫で現世とは比べものにならない程の大きさだ。


それを丸焼きにして食べるのだが、近衛は昆虫が苦手だ。



「こんなモン、食いたくねぇ~っ!!」


とダダをこねても、数人に押さえ付けられ、無理やり口に放り込まれてしまう。


「うわ~っ!!虫イヤーっ!!」


「うるせぇ、贅沢言わずに黙って食え!」


「この虫は栄養があるんだぞ、食わなきゃダメだろ!」


と毎回のようにこんなやり取りで無理やり食わされるはめになる。



今回捕らえたのはオークと、メガフライという巨大なハエだ。


調理方法はオークはブツ切りに、メガフライは丸焼きという、近衛にとっては拷問に等しい程の食事だ。



「い、嫌だ~っ!こんなモン、食えるかっ!」


「いつもいつも、ワガママ言ってないで食べなさい!食べなきゃダメでしょ!」


ミリアが駄々っ子を諭すように言うが、幼少の頃から昆虫が苦手な近衛には無理な相談だ。



「ふざけんな!あんなバケモンみたいなハエなんか食えるかっ!」


「ならば、オークだけでもいいから食べなさい!」


「冗談じゃねぇ!人型の生き物なんて食えるか!」


バラバラにされたオークの頭部を他のナインが美味そうに食べている。


まるで食人族みたいだ。


「アレは嫌だ、コレは嫌だじゃ何も食べられないでしょ!食べなきゃ体力がもたないじゃない!」


「そういう問題じゃねえっての!」


いくら説明しても、異世界の連中には理解し難い事だろう。



「あ~、もうイライラする!ねぇ、皆!カツヤに無理矢理でも食べさせてあげて!」


「わっ、よせ!止めろ~っ!!」


「うるせぇ、ガタガタ言わずに黙って食え!」


「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



結局、押さえつけられて無理矢理食べさせられた。





だが、この事がトラウマとなり、近衛はプレーにも支障をきたす。




現在4位のマドレード=シャーマンとの2連戦は8打席ノーヒットで5三振を喫した。


オマケに、投げては1イニング5失点とフルボッコに打たれた。



「何やってんのよ、カツヤ!」


「…」


ミリアに叱責されても、巨大な昆虫の丸焼きが脳裏に焼き付いて離れない。


「アァ…イヤだ、もう虫は食べたくない…」


「どうしたの?」


「うわ~、もうイヤだ~っ!!」


「ちょっと、カツヤ…一体、どうしたっていうの?」



このままだと精神が蝕まれてしまう。



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