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チャンピオンズカップ
敵は寒波
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底冷えするニックスフィールドでチャンピオンズカップ初戦はスタート。
ニックス先発尾崎はレギュラーシーズンの勢いそのままに、立ち上がりからエンジン全開。
石川、クロフォード、白石の3人を得意のスイーパーで三振に斬って取る。
一方、Glanz先発仲邑はこの寒さで指先の感覚が鈍っている。
「クッソ~、指が悴んで上手く投げれない」
息をハァ~っと吹きかけるが、感覚は戻らない。
仲邑だけではない、守備につく選手の殆どが寒さでブルブルと震えている。
ニックスベンチは初回から動く。
トップバッター高橋はコントロールの定まらない仲邑のピッチングに一度もバットを振ることなく、フォアボールを選ぶ。
2番吉田も待球戦法で、フルカウントまで粘り、最後はよく見てフォアボール。
2者連続フォアボールとなったところで、早くも内野陣がマウンドに集まる。
「おい、大丈夫か?」
キャプテン石川が心配そうに声をかける。
「ヤベェよ、指が悴んで動かねぇよ」
「アイツら、寒くねぇのかよ」
ニックスナインも寒いのだが、本拠地とあって、寒さ慣れしているせいか、動きは悪くない。
「次は推川だ。最悪満塁策をとって、澤村でゲッツーを狙おう」
「OK」
次のバッター推川とは無理に勝負せず、4番澤村でゲッツー狙いをする作戦をとる。
しかし、この作戦が裏目に出た。
推川との勝負は高目のボール球で歩かせようとした。
だが、指先の感覚が鈍っているせいで、コントロールミスが生じた。
何の変哲もない、142 km/hのストレートが真ん中やや内側に入った。
推川はそれを見逃さずフルスイング。
「やられたっ…」
打球はピンポン玉の様にグーンとレフトスタンドまっしぐら。
あっという間にニックスが3点を先制。
仲邑はアウト一つも取れずにスリーランを献上。
「あぁ~あ……こりゃ、ダメかもな」
「まだ初回じゃんかよ!カントクがそんな事言っちゃダメだろ!」
財前はヘッドコーチという立場上、試合を投げ出すような事は言えない。
「ムリだって!だってよぉ、こんなクソ寒い状況で試合なんて出来っかよ!」
「寒いのは向こうだって一緒だろうが!」
「一緒なワケあるかっ!アイツらはここがホームタウンなんだぞ!オレらより寒さには慣れっこじゃんかよ!」
「だからって、早くも諦めたような言い方しなくてもいいだろうが!」
「いいんだよ、初戦はくれてやらぁ」
早くも敗北宣言だ。
「んじゃ、ちょっくら行ってくる」
「どこ行くんだよ?」
榊は立ち上がりベンチを出た。
主審に交代を告げた。
「バカかっ!初回でしかも、アウト一つも取れずにエースを降ろすのかよ!」
「いいんだよ、あれじゃ仲邑が可哀想だろうが」
「余計プライドが傷つかないか?」
2番手は中継ぎエースの左腕冴島がコールされた。
アウトを取れず、推川にスリーランを食らった仲邑はうつむき加減でベンチに戻った。
「おい、仲邑。今日のことは気にすんな。こんな極寒な場所で試合させるのが悪い」
「でも、それは言い訳にはなりませんし…」
「オレが現役だったら、登板拒否してるぞ。無理して投げたら余計調子悪くなっちまう」
「しかし…」
「今日は好きなだけ点を取らせてやれ。その代わり、埼玉に来たらボッコボコにしてやれ、いいな?」
「はぁ…」
初戦は捨てた。
しかし、本拠地に戻ったら倍以上に仕返ししてやると決めた。
ニックス先発尾崎はレギュラーシーズンの勢いそのままに、立ち上がりからエンジン全開。
石川、クロフォード、白石の3人を得意のスイーパーで三振に斬って取る。
一方、Glanz先発仲邑はこの寒さで指先の感覚が鈍っている。
「クッソ~、指が悴んで上手く投げれない」
息をハァ~っと吹きかけるが、感覚は戻らない。
仲邑だけではない、守備につく選手の殆どが寒さでブルブルと震えている。
ニックスベンチは初回から動く。
トップバッター高橋はコントロールの定まらない仲邑のピッチングに一度もバットを振ることなく、フォアボールを選ぶ。
2番吉田も待球戦法で、フルカウントまで粘り、最後はよく見てフォアボール。
2者連続フォアボールとなったところで、早くも内野陣がマウンドに集まる。
「おい、大丈夫か?」
キャプテン石川が心配そうに声をかける。
「ヤベェよ、指が悴んで動かねぇよ」
「アイツら、寒くねぇのかよ」
ニックスナインも寒いのだが、本拠地とあって、寒さ慣れしているせいか、動きは悪くない。
「次は推川だ。最悪満塁策をとって、澤村でゲッツーを狙おう」
「OK」
次のバッター推川とは無理に勝負せず、4番澤村でゲッツー狙いをする作戦をとる。
しかし、この作戦が裏目に出た。
推川との勝負は高目のボール球で歩かせようとした。
だが、指先の感覚が鈍っているせいで、コントロールミスが生じた。
何の変哲もない、142 km/hのストレートが真ん中やや内側に入った。
推川はそれを見逃さずフルスイング。
「やられたっ…」
打球はピンポン玉の様にグーンとレフトスタンドまっしぐら。
あっという間にニックスが3点を先制。
仲邑はアウト一つも取れずにスリーランを献上。
「あぁ~あ……こりゃ、ダメかもな」
「まだ初回じゃんかよ!カントクがそんな事言っちゃダメだろ!」
財前はヘッドコーチという立場上、試合を投げ出すような事は言えない。
「ムリだって!だってよぉ、こんなクソ寒い状況で試合なんて出来っかよ!」
「寒いのは向こうだって一緒だろうが!」
「一緒なワケあるかっ!アイツらはここがホームタウンなんだぞ!オレらより寒さには慣れっこじゃんかよ!」
「だからって、早くも諦めたような言い方しなくてもいいだろうが!」
「いいんだよ、初戦はくれてやらぁ」
早くも敗北宣言だ。
「んじゃ、ちょっくら行ってくる」
「どこ行くんだよ?」
榊は立ち上がりベンチを出た。
主審に交代を告げた。
「バカかっ!初回でしかも、アウト一つも取れずにエースを降ろすのかよ!」
「いいんだよ、あれじゃ仲邑が可哀想だろうが」
「余計プライドが傷つかないか?」
2番手は中継ぎエースの左腕冴島がコールされた。
アウトを取れず、推川にスリーランを食らった仲邑はうつむき加減でベンチに戻った。
「おい、仲邑。今日のことは気にすんな。こんな極寒な場所で試合させるのが悪い」
「でも、それは言い訳にはなりませんし…」
「オレが現役だったら、登板拒否してるぞ。無理して投げたら余計調子悪くなっちまう」
「しかし…」
「今日は好きなだけ点を取らせてやれ。その代わり、埼玉に来たらボッコボコにしてやれ、いいな?」
「はぁ…」
初戦は捨てた。
しかし、本拠地に戻ったら倍以上に仕返ししてやると決めた。
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