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キャンプイン
再コンバート
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チームの主力でもある、唐澤斗真外野手は昨シーズン終盤にクロスプレーで左肩を負傷。
オフに手術を行い成功したものの、無理は禁物。
そうなると定位置のセンターはおろか、強肩が必要とされるライトも難しい。
必然的にというか、消去法でレフトを守る事になった。
ではライトは誰が守るのか。
去年96試合に出場、打率.302 本塁打8 打点43 盗塁17の好成績を挙げた武藤和哉をライトに置く予定だ。
レフトには唐澤、ライトは武藤となると、センターは誰が守るのか。
財前といきたいところだが、財前は今年35才を迎える。
おまけに目は完治したと言うが、再び視界がボヤける事も考慮し、去年一昨年と兼任で助監督をやっていたせいでブランクもある。
そんなワケで財前にも無理は強いられない。
今年は主に指名打者としての起用が多くなるだろう。
唐澤もダメ、財前もダメとなると誰にセンターを任せるか。
中田は森高をセンターに再コンバートさせる事にした。
森高は去年セカンドにコンバートしたばかりだが、広い守備範囲、打球処理、そして遠投120mという強肩はセンターに最も相応しい。
セカンドという慣れないポジションをこなし、48本塁打で本塁打王を獲得し、ベストナインを受賞。
だが、肝心の守備は12失策とコンバートは成功したとは言い難い。
前監督の櫻井が森高をセカンドにコンバートしようと提案し、中田も同意したのだが、やはり無理があったと言える。
どちらかと言えば、櫻井もその前の監督だった榊も攻撃重視のオーダーだったが、中田はその逆で堅実な守備型の布陣で今年のペナントを戦い抜くつもりだ。
守備型となると、中田が頭に描いている構想は、
捕手 毒島(滝沢)
一塁手 徳川
二塁手 筧(南野)
三塁手 吉岡
遊撃手 石川
左翼手 唐澤(武藤、藤村)
中堅手 森高
左翼手 武藤(藤村)
指名打者 財前(庵野、ジョーンズ)
あくまでも構想に過ぎないが、このままキャンプを順調に終え、離脱者も無くオープン戦で上手くいけばこのメンバーで開幕を迎えるつもりだ。
「相変わらず寒ぃなぁ、おいっ!」
ウィンドブレーカーを着て寒風吹きすさむ中、球場の隅にある簡素な喫煙所で身震いしながらタバコを吸っている。
「早く暖かくなんねぇかな…寒くてやってらんねぇぞったく!」
中田と勅使川原の2人はこの日も寒さに震えながら何度も喫煙所に足を運ぶ。
Glanzでの喫煙者は中田、勅使川原、GMの榊3人のみだ。
しかも、選手やコーチは勿論、球団スタッフやオーナーまでもが3人に「禁煙しろっ!」と口酸っぱく言うのだが、揃いも揃って「やなこった!」と喫煙を貫く。
今のプロ野球界でタバコを吸っているのは極わずかな人数で、現役の選手で喫煙者はまずいない。
「ホントになぁ…早く暖かくなって欲しいもんだ」
「チュン、今年の打順はどうすんだよ?」
打順をどうするか…中田は全く考えてなかった。
と言うか、ノープランだ。
「そういうの考えんのめんどくせぇんだよなぁ~」
ウンザリした顔つきで煙を吐き出す。
「テキトーに決めときゃいいじゃねぇか」
「あみだくじで決めようかな…」
以前、二軍の試合で打順をあみだくじで決めた監督がいたらしい。
「一応考えてるっちゃ考えてるんだが…上手く機能すりゃいいんだけど」
「じゃあ、それで様子見すりゃいいだろ」
「そのつもりなんだが…ところで、先発の枠は決めたのかよ?」
勅使川原は喫煙所の横にある自販機でホットの缶コーヒーを買って手を温めている。
「ん?まぁ…一応考えてるけどな」
「何だ、オレと一緒じゃねぇかよ」
「そういう事!そんな事より、早く戻ろう!あぁ~、寒いっ!」
タバコを消して足早に地下へ戻った。
オフに手術を行い成功したものの、無理は禁物。
そうなると定位置のセンターはおろか、強肩が必要とされるライトも難しい。
必然的にというか、消去法でレフトを守る事になった。
ではライトは誰が守るのか。
去年96試合に出場、打率.302 本塁打8 打点43 盗塁17の好成績を挙げた武藤和哉をライトに置く予定だ。
レフトには唐澤、ライトは武藤となると、センターは誰が守るのか。
財前といきたいところだが、財前は今年35才を迎える。
おまけに目は完治したと言うが、再び視界がボヤける事も考慮し、去年一昨年と兼任で助監督をやっていたせいでブランクもある。
そんなワケで財前にも無理は強いられない。
今年は主に指名打者としての起用が多くなるだろう。
唐澤もダメ、財前もダメとなると誰にセンターを任せるか。
中田は森高をセンターに再コンバートさせる事にした。
森高は去年セカンドにコンバートしたばかりだが、広い守備範囲、打球処理、そして遠投120mという強肩はセンターに最も相応しい。
セカンドという慣れないポジションをこなし、48本塁打で本塁打王を獲得し、ベストナインを受賞。
だが、肝心の守備は12失策とコンバートは成功したとは言い難い。
前監督の櫻井が森高をセカンドにコンバートしようと提案し、中田も同意したのだが、やはり無理があったと言える。
どちらかと言えば、櫻井もその前の監督だった榊も攻撃重視のオーダーだったが、中田はその逆で堅実な守備型の布陣で今年のペナントを戦い抜くつもりだ。
守備型となると、中田が頭に描いている構想は、
捕手 毒島(滝沢)
一塁手 徳川
二塁手 筧(南野)
三塁手 吉岡
遊撃手 石川
左翼手 唐澤(武藤、藤村)
中堅手 森高
左翼手 武藤(藤村)
指名打者 財前(庵野、ジョーンズ)
あくまでも構想に過ぎないが、このままキャンプを順調に終え、離脱者も無くオープン戦で上手くいけばこのメンバーで開幕を迎えるつもりだ。
「相変わらず寒ぃなぁ、おいっ!」
ウィンドブレーカーを着て寒風吹きすさむ中、球場の隅にある簡素な喫煙所で身震いしながらタバコを吸っている。
「早く暖かくなんねぇかな…寒くてやってらんねぇぞったく!」
中田と勅使川原の2人はこの日も寒さに震えながら何度も喫煙所に足を運ぶ。
Glanzでの喫煙者は中田、勅使川原、GMの榊3人のみだ。
しかも、選手やコーチは勿論、球団スタッフやオーナーまでもが3人に「禁煙しろっ!」と口酸っぱく言うのだが、揃いも揃って「やなこった!」と喫煙を貫く。
今のプロ野球界でタバコを吸っているのは極わずかな人数で、現役の選手で喫煙者はまずいない。
「ホントになぁ…早く暖かくなって欲しいもんだ」
「チュン、今年の打順はどうすんだよ?」
打順をどうするか…中田は全く考えてなかった。
と言うか、ノープランだ。
「そういうの考えんのめんどくせぇんだよなぁ~」
ウンザリした顔つきで煙を吐き出す。
「テキトーに決めときゃいいじゃねぇか」
「あみだくじで決めようかな…」
以前、二軍の試合で打順をあみだくじで決めた監督がいたらしい。
「一応考えてるっちゃ考えてるんだが…上手く機能すりゃいいんだけど」
「じゃあ、それで様子見すりゃいいだろ」
「そのつもりなんだが…ところで、先発の枠は決めたのかよ?」
勅使川原は喫煙所の横にある自販機でホットの缶コーヒーを買って手を温めている。
「ん?まぁ…一応考えてるけどな」
「何だ、オレと一緒じゃねぇかよ」
「そういう事!そんな事より、早く戻ろう!あぁ~、寒いっ!」
タバコを消して足早に地下へ戻った。
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