The Baseball 主砲の一振り 続編2

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主砲

隠し球

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いつもならば、一球毎にその内容を書いていたのだが、何せ著者はそこまでプロの配球に詳しくない。

やれ、初球はストレートだの、次はスライダーだとか知ったかぶって書いていたが、所詮はシロートの思いつきなので、デタラメなリード故に【まぁこんな感じで書いておけば、少しはサマになるだろう】的な考えだったが、やっぱりその辺はあまり書かない方がいいだろうという結論に至り、これからは控える事にした。



いつものように閑話休題



エース中邑は先頭バッターの外崎をレフトフライで打ち取ると、2番新外国人ギャレットをフォークで空振りの三振。

3番秋山は外のスライダーを引っ掛けセカンドゴロでスリーアウトチェンジ。



マウンドには札幌ウォーリアーズからトレードで新加入した那須川がスカイウォーカーズキラーとして立ちはだかる。


交流戦では彼のフロントドア、バックドアに苦しめられているスカイウォーカーズ打線は案の定、那須川のピッチングに苦しめられた。


1番結城をショートゴロに打ち取り、2番筧はバックドアと呼ばれるアウトコースギリギリのカットボールで見逃し三振。

3番財前は、フルカウントからの内角低目にズバッと決まったクロスファイヤーボールで見逃し三振に倒れる。




その後は両投手の投げ合いで無得点のまま、回は中盤の6回の裏へ。


那須川はここまで2安打1四球の内容で球数は68球。


打たせてとるピッチングで凡打の山を築く。


この回の先頭は7番レフト梁屋。


第一打席はストレートをセンター前に打ち返した。


タイミング的には梁屋が一番合っている。


その梁屋は二球目のツーシームを三塁線へ絶妙なバントを決める。


サード比嘉がダッシュして一塁へ送球するが、梁屋の足が一瞬早くベースを踏んだ。


これで梁屋は2安打のマルチヒット。


続いて8番ピッチャーの中邑が右打席に入る。


中邑はバントの構えをする。


ファースト風間、サード比嘉が前進守備で備える。


那須川が一塁へ牽制。


リードを大きくとってない梁屋は悠々セーフ。


「よぉ、恭ちゃん。送るのはいいけど、次は保坂だろ?
アイツじゃ梁屋をホームに返すのは無理なんじゃねぇか」


「んぁ?だって中邑に打たせるワケにはいかないだろ。
ゲッツーになる可能性が高いし、それなら送った方がいいじゃん」


下位打線という事もあって、今日の那須川から1点を取るのはかなり難しい。


「だったらこうしましょう」


櫻井がサインの変更をした。


「ちょっ、待てよヒロト!何でサイン変えるんだよ!」


「バントするだけじゃ芸が無いでしょ。ならば、これがいいんじゃないですか」


櫻井に秘策はあるのか。


那須川は初球を高目に外し、二球目は外角低めへストレートを投げた。


その瞬間、風間と比嘉が猛チャージを掛ける。


するの中邑はバントの構えから一転してヒッティングに変え、逆らわず右へおっつけた。


虚をつかれた風間はチャージを止めるが、打球は頭上を越えて一二塁間に転がる。


セカンド秋山が深い位置でボールを捕るが、中邑は悠々と一塁へ。


「おぉ、バスターか!」


「やってみるもんですね、打球もいい所に転がったし」


櫻井はバスターのサインを出した。


これでノーアウト、ランナー一塁二塁という絶好のチャンス。



マウンドには外崎が駆け寄り、同時に内野陣も集まる。



「次は9番バッターだ。先ずは落ち着いてアウトを取ろう」


「保坂か…アイツは意外性のあるバッターだからな」


「…」

風間は腕を組み、無言で何かを考えている。


「なぁ、外崎」


風間が何かを思い出したように口を開いた。


「ん?」


「実はな…」


グラブで口を隠している為、何を話しているのかは分からない。


「…そんなんで大丈夫なんすか?」


比嘉が驚いた顔をしている。


「いや、やってみる価値あるかも」


外崎は風間の提案に同意する。


「とにかく先ずはアウト一つ取ろう」


【了解】


野手が守備についた。



保坂はこのチャンスをモノにしようと、バットを短く持つ。


那須川が外崎のサインを見て首を振る。


次のサインも首を振る。


サインが合わないのか、プレートを外しロジンバッグを手にする。


すると一塁塁審から「アウト!」という声が。


一塁ランナー中邑が風間の隠し球でタッチアウトとなった。


「ィヨッシ!」


外崎がミットをポーンと叩くと、那須川は小さくガッツポーズをとる。


「くっそ~っ!!」


中邑はガックリと肩を落とし、すごすごとベンチに引っ込んだ。



「良かった、上手くいって」

風間はホッと胸を撫で下ろし、那須川に返球した。



この隠し球が功を奏し、保坂はサードフライに倒れ、トップの結城はフォアボールで歩かせたが、2番筧はこの日最速の148km/hのストレートを詰まらせ、センターフライでスリーアウトチェンジ。


流れは99ersに傾いた。




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