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呑気にスロット

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そして合同練習がスタートした。

スクワット、腕立て伏せ、腹筋といった基礎体力のトレーニングをこなしていく。

そして受け身の練習最後にスパーリングをして終了する。


莉沙は別メニューで田中とマンツーマンで特別の練習メニューを行った。

莉沙は身体が柔軟だ。

柔軟性を活かしたトレーニング方法にしようと田中の考案した練習方である。

「ったく、柔軟もいいが、まずは受け身の練習だろうが」
莉沙の練習を見て、中川が吐き捨てた。

そして宇棚はというと、身の回りの雑用をこなして…
いなかった。

宇棚は道場にいなかったのである!

「シンゴ!あのチビどこいった?」
先輩レスラーの1人がシンゴに聞いてきた。

「さぁ、自分も合同練習に参加してたんで」

ハァハァしながらシンゴが答えた。

「さぁじゃねぇだろ!アイツの教育係はオマエだろ!」

パーンっ!と乾いた音を立てシンゴにビンタした。
「自分はもう、アイツの教育係じゃありません!中川さんにも了解は得ています」
睨み付けながらシンゴが言う

「チッ!誰か知らねぇか、あのチビどこ行ったか?」

怒りながら先輩レスラーが探している。

何やってんだあのバカ。

スマホ持ち宇棚に連絡しようとした。
「何だこりゃ?」

シンゴのスマホには宇棚からLINEが送られていた。

画面にはスロットが大当たりしてる画像が載っていた。

あのバカ!スロット打ってるのか?

すぐにメッセージを送った。

【テメー今どこにいるんだ!】

すると
【シンゴさん大当たりしました(^-^)】

立て続けにメッセージがきた。

【今日はプラス一万五千円です(^-^)】

【私スロット簡単です】

【攻略法知ってます(^-^)】

【買い物して帰ります】

そして何故かラーメン写真が載せられていた。


…ダメだ…コイツ、マジ終わってる

入門生は緊急を要する時以外の外出を禁止されている。

それを堂々破りパチンコ屋に行くなんて。

返事を送ろうと思ったのだが、関わるのは止めよう!
こっちまで巻き沿いを食らう!
そう思い何も見なかった事にしようと決めた。

道場では雑用を全くしておらず、怒り狂う先輩レスラーが宇棚を探し回っていた。

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