7 / 58
球春到来
ルーキーの初登板
しおりを挟む
スカイウォーカーズのスタメン。
1ライト唐澤(左)
2ショート石川(右)
3ファースト結城(左)
4セカンド森高(右)
5サード鬼束(右)
6キャッチャー保坂(右)
7レフト庵野(右)
8指名打者ジョーンズ(左)
9センター財前(左右)
先発 真咲(左)
レボリューションズのスタメン。
1センター 結城 (左右)
2レフト 清水 (右)
3ライト 村上 (左)
4 ファースト木下 (右)
5サード 佐藤 (右)
6指名打者 マイク中村 (左)
7ショート 萩原 (左右)
8セカンド 香坂 (左右)
9キャッチャー 青田 (右)
先発 金城(右)
スカイウォーカーズは正捕手の保坂が復帰。
まだ左手首は完治してないが、得意のフレーミングには支障は無いという事で、5試合ぶりの出場となった。
先発は昨年の最多勝真咲。
今年はコーチ兼任という立場で登板回数が今までより少なくなるが、降谷の件で櫻井が急遽先発に任命した。
対するレボリューションズは、開幕から指名打者だった木下がファーストに、ファーストを守っていたマイク中村を指名打者に変更。
先発は、昨年ドラフトの目玉だった冴島寿と、右のエースとして明聖大学を優勝に導いた金城がプロ初先発。
ノーワインドアップから左足を高々と上げる独特のフォームから、140km/h後半のフォーシームとツーシームを主体に、カーブ、スライダー、スプリットとキレのある変化球をコーナーに決める制球力が持ち味。
冴島の影に隠れがちだった大学時代だが、一足先に先発を果たしたのは金城だ。
今まで空位だったエースナンバー18を託しただけに、金城に対する期待度が高い。
山口県下関市の上空は雲におおわれ、今にも降り出しそうな天候だが、日本一美しい芝と呼ばれるISHINフィールドには36000人もの観衆が詰め掛け、熱い声援を送る。
山口県と言えば、幕末の長州藩を連想する。
日本のプロ野球に革命を起こすISHIN(維新)軍団というイメージカラーを掲げるが、優勝回数は2リーグ制になって僅か1回。
黒ずくめのユニフォームを見にまとい、ダイヤモンドを疾走するスタイルは今どきの野球には無い魅力でネプチューンリーグを掻き回す存在だ。
マウンド上では、初先発の金城が投球練習を終え、後ろを振り向き、センター後方のバックスクリーンを見る。
ISHINフィールドはレボリューションズの選手がホームランを打つと、バックスクリーンに設置された噴水がド派手に高く上がる。
ナイトゲームとなれば、噴水がライトアップされ、噴水が美しく舞い上がる。
メジャーリーグの球場を模倣した造りは下関市の名所としても知られる。
場内のウグイス嬢のコールで、トップバッターの唐澤が屈伸運動を数回してから打席に入った。
開幕戦でサイクルヒットを達成したが、昨日は7打数でノーヒットという結果だった。
「プレイボール!」
午後6時、主審の手が挙がり試合はスタートした。
キャッチャー青田のサインに頷き、左足を高々と上げるハイキック投法から第1球を投げた。
ノビのあるストレートが外角やや低めに決まった。
唐澤はこれを余裕の表情で見送る。
「ボール!」
僅かに外れてボールワン。
プロ初先発の初球は146km/hのストレート。
金城に緊張の色は見られない。
足元にあるロジンバッグを再び手にする。
手が滑るのか、念入りに手になじませ、ボールを捏ねる。
少し上体を前に屈ませ、青田のサインを凝視する。
サインが合い、つま先が顔の付近まで上げて2球目を投げた。
今度はインコース低めにツーシームが決まる。
「ストライク!」
手元で蛇行するような軌道のツーシームでワンボール、ワンストライクとなる。
唐澤はバットを構えたまま、左右の手を握ったり離したりを繰り返す。
その様子がバットを小刻みに揺らしている様に見える。
(次は何だ…2球続けてストレートという事は変化球の可能性が高いハズだが)
唐澤は球種を読むのではなく、リリースの瞬間に球種が頭の中に浮かんでくるのだ。
勿論、超能力の様に100%当てる事は不可能だが、打席での集中力を高めると、頭の中で閃いた球種が浮かび上がってくる。
これが天才と呼ばれる所以でもあるのだが、集中力を高める為には外部の雑音をシャットアウトさせなければならない。
ややムラがある性格の唐澤には難しい事だが、それでも球種が閃くというのだから、天才には違いない。
早めのテンポから3球目を投げた。
(低めになるスプリット…)
唐澤の脳裏にスプリットが閃いた。
ボールは低めからストンとワンバンになるスプリット。
これを唐澤は悠然と見送る。
「ボール!」
カウントはツーボール、ワンストライク。
(次はストライクゾーンに入る球だろ)
2-1というカウントから次の球はボールになる事は無いと読んだ。
ましてやマウンド上は初先発のルーキーだ、もう1球外すなんて事は有り得ないだろうと。
(となると、次はストレート…しかも、変化の無いフォーシームだ)
唐澤は珍しく配球を読んだ。
そして4球目を投げた。
「なっ…」
ストレートだと読んだ球は緩くフワッとしたカーブだった。
トップの位置から鋭く速いスイングを始動していた為、バットは止まらない。
「クソっ…」
タイミングを外された唐澤は辛うじてバットに当てたものの、打球は勢いを殺されたサードゴロ。
佐藤が軽快に捌いて一塁へ送球。
「アウト!」
唐澤はサードゴロに倒れ、まずはアウト一つを取った。
1ライト唐澤(左)
2ショート石川(右)
3ファースト結城(左)
4セカンド森高(右)
5サード鬼束(右)
6キャッチャー保坂(右)
7レフト庵野(右)
8指名打者ジョーンズ(左)
9センター財前(左右)
先発 真咲(左)
レボリューションズのスタメン。
1センター 結城 (左右)
2レフト 清水 (右)
3ライト 村上 (左)
4 ファースト木下 (右)
5サード 佐藤 (右)
6指名打者 マイク中村 (左)
7ショート 萩原 (左右)
8セカンド 香坂 (左右)
9キャッチャー 青田 (右)
先発 金城(右)
スカイウォーカーズは正捕手の保坂が復帰。
まだ左手首は完治してないが、得意のフレーミングには支障は無いという事で、5試合ぶりの出場となった。
先発は昨年の最多勝真咲。
今年はコーチ兼任という立場で登板回数が今までより少なくなるが、降谷の件で櫻井が急遽先発に任命した。
対するレボリューションズは、開幕から指名打者だった木下がファーストに、ファーストを守っていたマイク中村を指名打者に変更。
先発は、昨年ドラフトの目玉だった冴島寿と、右のエースとして明聖大学を優勝に導いた金城がプロ初先発。
ノーワインドアップから左足を高々と上げる独特のフォームから、140km/h後半のフォーシームとツーシームを主体に、カーブ、スライダー、スプリットとキレのある変化球をコーナーに決める制球力が持ち味。
冴島の影に隠れがちだった大学時代だが、一足先に先発を果たしたのは金城だ。
今まで空位だったエースナンバー18を託しただけに、金城に対する期待度が高い。
山口県下関市の上空は雲におおわれ、今にも降り出しそうな天候だが、日本一美しい芝と呼ばれるISHINフィールドには36000人もの観衆が詰め掛け、熱い声援を送る。
山口県と言えば、幕末の長州藩を連想する。
日本のプロ野球に革命を起こすISHIN(維新)軍団というイメージカラーを掲げるが、優勝回数は2リーグ制になって僅か1回。
黒ずくめのユニフォームを見にまとい、ダイヤモンドを疾走するスタイルは今どきの野球には無い魅力でネプチューンリーグを掻き回す存在だ。
マウンド上では、初先発の金城が投球練習を終え、後ろを振り向き、センター後方のバックスクリーンを見る。
ISHINフィールドはレボリューションズの選手がホームランを打つと、バックスクリーンに設置された噴水がド派手に高く上がる。
ナイトゲームとなれば、噴水がライトアップされ、噴水が美しく舞い上がる。
メジャーリーグの球場を模倣した造りは下関市の名所としても知られる。
場内のウグイス嬢のコールで、トップバッターの唐澤が屈伸運動を数回してから打席に入った。
開幕戦でサイクルヒットを達成したが、昨日は7打数でノーヒットという結果だった。
「プレイボール!」
午後6時、主審の手が挙がり試合はスタートした。
キャッチャー青田のサインに頷き、左足を高々と上げるハイキック投法から第1球を投げた。
ノビのあるストレートが外角やや低めに決まった。
唐澤はこれを余裕の表情で見送る。
「ボール!」
僅かに外れてボールワン。
プロ初先発の初球は146km/hのストレート。
金城に緊張の色は見られない。
足元にあるロジンバッグを再び手にする。
手が滑るのか、念入りに手になじませ、ボールを捏ねる。
少し上体を前に屈ませ、青田のサインを凝視する。
サインが合い、つま先が顔の付近まで上げて2球目を投げた。
今度はインコース低めにツーシームが決まる。
「ストライク!」
手元で蛇行するような軌道のツーシームでワンボール、ワンストライクとなる。
唐澤はバットを構えたまま、左右の手を握ったり離したりを繰り返す。
その様子がバットを小刻みに揺らしている様に見える。
(次は何だ…2球続けてストレートという事は変化球の可能性が高いハズだが)
唐澤は球種を読むのではなく、リリースの瞬間に球種が頭の中に浮かんでくるのだ。
勿論、超能力の様に100%当てる事は不可能だが、打席での集中力を高めると、頭の中で閃いた球種が浮かび上がってくる。
これが天才と呼ばれる所以でもあるのだが、集中力を高める為には外部の雑音をシャットアウトさせなければならない。
ややムラがある性格の唐澤には難しい事だが、それでも球種が閃くというのだから、天才には違いない。
早めのテンポから3球目を投げた。
(低めになるスプリット…)
唐澤の脳裏にスプリットが閃いた。
ボールは低めからストンとワンバンになるスプリット。
これを唐澤は悠然と見送る。
「ボール!」
カウントはツーボール、ワンストライク。
(次はストライクゾーンに入る球だろ)
2-1というカウントから次の球はボールになる事は無いと読んだ。
ましてやマウンド上は初先発のルーキーだ、もう1球外すなんて事は有り得ないだろうと。
(となると、次はストレート…しかも、変化の無いフォーシームだ)
唐澤は珍しく配球を読んだ。
そして4球目を投げた。
「なっ…」
ストレートだと読んだ球は緩くフワッとしたカーブだった。
トップの位置から鋭く速いスイングを始動していた為、バットは止まらない。
「クソっ…」
タイミングを外された唐澤は辛うじてバットに当てたものの、打球は勢いを殺されたサードゴロ。
佐藤が軽快に捌いて一塁へ送球。
「アウト!」
唐澤はサードゴロに倒れ、まずはアウト一つを取った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる