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新生スカイウォーカーズ
16球団構想
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スカイウォーカーズとドジャースが古巣対決をしている最中、日本プロ野球機構は新たに球団拡張を実現する為、企業に呼び掛けを行った。
プロ野球の球団を運営してみたいという企業、または投資家はかなり多い。
しかし、それには厳しい審査があり、その条件を満たしていないと球団オーナーにはなれない。
大物OBは、今まで以上にプロ野球人気を発展させるには、12球団から16球団へ拡張するべきだと主張。
これを日本プロ野球機構が本腰を入れて、球団拡張に取り組んだ。
既に候補地はいくつか抑えている。
後はスポンサーとなる企業の協力を得るのだが、実は既に新たな4球団のうち、2球団はほぼ決まりかけていた。
一つは全国にチェーン店を展開する、外食産業の最大手、丸食という企業。
ここの創始者で、現在は企業の会長に就任している、萬福 出分雄(まんぷくでぶお)が以前から球団経営に興味津々で、この16球団構想の話を聞いて乗り気になり、審査をパスして新球団のオーナーに就任予定だ。
本拠地は萬福の地元、新潟県三条市。
既に新球場の着工を始めている。
もう一つは、投資家の株丸 儲(かぶまるもうけ)が中心となって、複数の投資家が集まり、球団経営を行う。
日本では珍しいオーナーだが、メジャーリーグでは球団オーナーが投資家というケースはよくある。
ちなみに、本拠地は京都府の京都市に決定。
京都に決めた理由は、歴史ある街に球団を設立したいという事らしい。
こちらも既に新球場の着工は始まっている。
残るは後2球団。
いくつかのスポンサーが名乗りを上げているが、審査の段階なので、詳細は不明らしい。
年内に決まれば、来年から16球団になるという。
あまりの急な展開だが、問題は選手をどうやって集めるか。
球団数増加によって、レベルの低下が懸念される。
選手をどう振り分けるのか、その辺がカギとなりそうだ。
余談だが、丸食が親会社となる球団はアポロリーグ、株を筆頭とする投資家達の球団はネプチューンリーグになるようだ。
閑話休題
試合の方だが、1回の表ツーアウトで打席には3番の唐澤。
「トーマ、お手柔らかに頼むよ」
「何言ってんだ、お前らバッテリーの方がよっぽと恐ろしいよ」
唐澤、保坂、梁屋の3人は同じ年で、仲も良かった。
それが敵味方に別れてしまうのだから、トレードは残酷だ。
唐澤の狙いはカーブのみ。
保坂は唐澤をよく知ってるだけに、カーブ狙いを察知する。
マウンド上の梁屋もその事は重々承知の上で、カーブを投げるつもりだ。
(トーマ、スカイウォーカーズではお前に敵わなかったけど、敵となったからには絶対に抑えてやる!)
保坂はどんなサインを出すのか。
梁屋の視線は唐澤を捕えて離さない。
唐澤の視線も梁屋を捕らえている。
左対左だが、唐澤は左投手を苦にしない。
サインが決まり、注目の1球。
先ずはアウトコースいっぱいに146km/hのストレートが決まる。
「ストライク!」
唐澤はあくまでもカーブを狙う。
(ストレートには見向きもしない…これでカーブ狙いだという事は分かった)
保坂はリードに苦心する。
(遊び球は必要無い、次はこれだ)
梁屋は表情を変えず、保坂のサインに頷いた。
速いモーションから2球目を投げた。
アウトコース低めからワンバンになるチェンジアップだが、唐澤はこれも見送る。
「ボール!」
(クソ、この球にも引っ掛からないとは…)
唐澤の集中力が更に一段と増す。
集中力が極限まで増すと、球種が浮かんでくる。
ゾーンに入った唐澤の前では、リードは何の役にも立たない。
(じゃあ、次はこれでどうだ)
梁屋が一旦プレートを外してロジンバッグを手にする。
まだ初回だというのに、手汗でボールが滑る。
ロジンバッグを足元に置き、ノーワインドアップから3球目を投げた。
スピンの効いた球がインコースから生き物の様に方向を変えた。
(カーブだ)
唐澤は素早くバットを合わせた。
ガシッ!という音と共に、打球はバックネット裏に飛ぶ。
「ファール!」
カウントはワンボール、ツーストライク。
唐澤の集中力が極限まで上がった。
(1球外すなんて事はしない、この球で勝負だ!)
保坂は決め球を要求した。
小さく頷き、4球目を投げた。
(間違いなくカーブだ)
インコースやや真ん中寄りの球だ。
唐澤はタイミングをとってバットを振り抜く。
「エッ…」
しかし、ボールは反対側に沈んだ。
バットが空を切る。
ボールはワンバンになって、保坂が腰を落としてキャッチした。
「ストライクアウト!」
梁屋の新球、シンカーで空振りの三振に終わった。
「シンカーをマスターしてたとは…」
球種が頭に浮かんでこなかった。
しかも、梁屋の球種にシンカーは無い。
頭に浮かぶと言っても、持ち球以外は浮かぶハズも無い。
梁屋はトレードされる前からシンカー習得の練習を重ねた。
いくらカーブのキレが良くても、カーブばかりじゃ打たれてしまうと思い、新球にチャレンジした。
1回の表、スカイウォーカーズは三者凡退で終了した。
プロ野球の球団を運営してみたいという企業、または投資家はかなり多い。
しかし、それには厳しい審査があり、その条件を満たしていないと球団オーナーにはなれない。
大物OBは、今まで以上にプロ野球人気を発展させるには、12球団から16球団へ拡張するべきだと主張。
これを日本プロ野球機構が本腰を入れて、球団拡張に取り組んだ。
既に候補地はいくつか抑えている。
後はスポンサーとなる企業の協力を得るのだが、実は既に新たな4球団のうち、2球団はほぼ決まりかけていた。
一つは全国にチェーン店を展開する、外食産業の最大手、丸食という企業。
ここの創始者で、現在は企業の会長に就任している、萬福 出分雄(まんぷくでぶお)が以前から球団経営に興味津々で、この16球団構想の話を聞いて乗り気になり、審査をパスして新球団のオーナーに就任予定だ。
本拠地は萬福の地元、新潟県三条市。
既に新球場の着工を始めている。
もう一つは、投資家の株丸 儲(かぶまるもうけ)が中心となって、複数の投資家が集まり、球団経営を行う。
日本では珍しいオーナーだが、メジャーリーグでは球団オーナーが投資家というケースはよくある。
ちなみに、本拠地は京都府の京都市に決定。
京都に決めた理由は、歴史ある街に球団を設立したいという事らしい。
こちらも既に新球場の着工は始まっている。
残るは後2球団。
いくつかのスポンサーが名乗りを上げているが、審査の段階なので、詳細は不明らしい。
年内に決まれば、来年から16球団になるという。
あまりの急な展開だが、問題は選手をどうやって集めるか。
球団数増加によって、レベルの低下が懸念される。
選手をどう振り分けるのか、その辺がカギとなりそうだ。
余談だが、丸食が親会社となる球団はアポロリーグ、株を筆頭とする投資家達の球団はネプチューンリーグになるようだ。
閑話休題
試合の方だが、1回の表ツーアウトで打席には3番の唐澤。
「トーマ、お手柔らかに頼むよ」
「何言ってんだ、お前らバッテリーの方がよっぽと恐ろしいよ」
唐澤、保坂、梁屋の3人は同じ年で、仲も良かった。
それが敵味方に別れてしまうのだから、トレードは残酷だ。
唐澤の狙いはカーブのみ。
保坂は唐澤をよく知ってるだけに、カーブ狙いを察知する。
マウンド上の梁屋もその事は重々承知の上で、カーブを投げるつもりだ。
(トーマ、スカイウォーカーズではお前に敵わなかったけど、敵となったからには絶対に抑えてやる!)
保坂はどんなサインを出すのか。
梁屋の視線は唐澤を捕えて離さない。
唐澤の視線も梁屋を捕らえている。
左対左だが、唐澤は左投手を苦にしない。
サインが決まり、注目の1球。
先ずはアウトコースいっぱいに146km/hのストレートが決まる。
「ストライク!」
唐澤はあくまでもカーブを狙う。
(ストレートには見向きもしない…これでカーブ狙いだという事は分かった)
保坂はリードに苦心する。
(遊び球は必要無い、次はこれだ)
梁屋は表情を変えず、保坂のサインに頷いた。
速いモーションから2球目を投げた。
アウトコース低めからワンバンになるチェンジアップだが、唐澤はこれも見送る。
「ボール!」
(クソ、この球にも引っ掛からないとは…)
唐澤の集中力が更に一段と増す。
集中力が極限まで増すと、球種が浮かんでくる。
ゾーンに入った唐澤の前では、リードは何の役にも立たない。
(じゃあ、次はこれでどうだ)
梁屋が一旦プレートを外してロジンバッグを手にする。
まだ初回だというのに、手汗でボールが滑る。
ロジンバッグを足元に置き、ノーワインドアップから3球目を投げた。
スピンの効いた球がインコースから生き物の様に方向を変えた。
(カーブだ)
唐澤は素早くバットを合わせた。
ガシッ!という音と共に、打球はバックネット裏に飛ぶ。
「ファール!」
カウントはワンボール、ツーストライク。
唐澤の集中力が極限まで上がった。
(1球外すなんて事はしない、この球で勝負だ!)
保坂は決め球を要求した。
小さく頷き、4球目を投げた。
(間違いなくカーブだ)
インコースやや真ん中寄りの球だ。
唐澤はタイミングをとってバットを振り抜く。
「エッ…」
しかし、ボールは反対側に沈んだ。
バットが空を切る。
ボールはワンバンになって、保坂が腰を落としてキャッチした。
「ストライクアウト!」
梁屋の新球、シンカーで空振りの三振に終わった。
「シンカーをマスターしてたとは…」
球種が頭に浮かんでこなかった。
しかも、梁屋の球種にシンカーは無い。
頭に浮かぶと言っても、持ち球以外は浮かぶハズも無い。
梁屋はトレードされる前からシンカー習得の練習を重ねた。
いくらカーブのキレが良くても、カーブばかりじゃ打たれてしまうと思い、新球にチャレンジした。
1回の表、スカイウォーカーズは三者凡退で終了した。
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