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オールスター投票

REBORN

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それはまるで生まれ変わったかのようだった。

先頭の藤村は3球目をセーフティバントを一塁線に転がす。

ファースト清武がダッシュして捕るが、韋駄天の藤村はあっという間に一塁へ。


早くもランナーを出した緒方は、2番武藤の打席で執拗に牽制を繰り返す。


初球ストレートでストライクを取ると、またもや牽制で藤村を塁に釘付けにする。


しかし、藤村は緒方が投げる際に左肩が一瞬動くクセを見抜き、2球目に走った。


インハイのストレートで武藤は援護の空振りをするが、丸藤は捕ったと同時に速いスローイングで二塁へ。

ショート鷹村がベースカバーに入り、藤村にタッチ。


「アウト!」


丸藤の速いスローイングで藤村は盗塁失敗。


あまりにも速いスローイングにGlanzベンチは言葉を失う。


丸藤はキングダム時代とはうって変わって、正確無比のスローイングで盗塁を許さない。


ワンナウトとなり、2番武藤は4球目のカットボールに差し込まれショートゴロでツーアウトとなり、3番石川はアウトコースへのチェンジアップを引っ掛けピッチャーゴロでスリーアウトチェンジ。


その後も丸藤は緒方を援護するように塁に出る選手を次々と刺した。


守りにリズムが出ると攻撃面にも影響が出る。


0対0のまま、5回を終わりスーパーフェニックスの攻撃は先程藤村を二塁で刺した丸藤から。


Glanzの先発マクダウェルは奪三振0だが、得意の省エネ投法でここまで僅か37球という、驚異的な球数でスーパーフェニックス打線を抑える。


【6番キャッチャー丸藤】


第1打席はファーストへのファールフライで凡退。


今日のマクダウェルはストレートよりも変化球、特にチェンジアップのキレは抜群で、スーパーフェニックスのバッターは分かっていてもチェンジアップに手を出してゴロを打たされる場面が多い。


初球142km/hのツーシームが外角いっぱいに決まってワンストライク。


2球目はインコースへ小さく曲がるカットボールにタイミングを合わせるが、打球はバックネット裏を直撃するファールで早くもツーストライクと追い込まれる。


(外人のピッチャーは遊び球を使わずに次で勝負してくるに違いない)


丸藤はヤマを張った。


3球目、やや外寄りの低いコースからボールになるチェンジアップを投げた。


見送ればボールになる球だが、丸藤は上手く右におっつけた。


打球は一塁線へのライナーでファースト徳川がジャンプしてグラブを差し出すが、ミットをかすめファールゾーンへ転がる。


「フェア!」


一塁塁審はフェアと判定。


丸藤は一塁を蹴って二塁へ。


ライト中山がダッシュでボールに追いつき、二塁へ送球。


しかし丸藤の足が一瞬早くセーフとなる。


    
ここで打席にはマクダウェルに滅法強い足達。


当然、敬遠策かと思いきや、マクダウェルは勝負を選んだ。


初球141km/hのツーシームをインコース低めに投じたが、精密機械と称されるマクダウェルのコントロールミスで甘く入ってしまい、足達はこれを見逃さずレフトスタンドへ第11号ツーランでスーパーフェニックスが2点を先制。


このホームランが決勝点となり、初戦はスーパーフェニックスがGlanzを下す。


続く第二戦はGlanzが片山、スーパーフェニックスはローテーション4番手の佐藤が先発。


この日はGlanzが2回に4番森高が左中間を深々と破るスリーベースヒットでチャンスを作ると、5番吉岡はセンターへの犠牲フライで先制。


4回に片山は姫野にツーベースヒットを打たれ、4番フォスターをチェンジアップで空振りの三振に獲るが、5番清武にはライト前ヒットを打たれ同点に追いつかれる。


しかし、Glanzは6回に8番徳川がランナー二塁の場面で佐藤のスライダーをライトスタンドへ第6号のツーランで勝ち越し、7回には中継ぎエースのアクーニャ、8回は神楽と繋ぎ、最終回はクローザーの降谷がパーフェクトリリーフで3対1と逃げ切る。
のチームメイト、宇田川の先発でスタート。


宇田川は最速146km/hのストレートとスライダー、シンカー、スプリットを武器に6回までGlanz打線をパーフェクトに抑える。


中邑も毎回ランナーを出すものの、要所要所を締めるピッチングでスーパーフェニックスを0点に抑える。


両チーム決め手のないまま試合は延長戦に突入。


そして10回の表、Glanzは2番石川が5番手ピッチャー久保のカットボールをライトスタンドに第14号ソロで待望の1点をもぎ取り、その裏は守護神降谷が3人で締めてこのカードの勝ち越しで終えた。



オールスターゲームのファン投票がスタートし、Glanzでは二塁部門で森高がトップ、三塁部門では吉岡が2位に、外野手では唐澤がトップの投票。


まだ始まったばかりだが、今年は何人の選手がオールスターに選ばれるのだろうか。
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